金沢市ママさんカレッジ事業(石川県金沢市)

金沢市ママさんカレッジ事業

1  自治体・団体名: 石川県金沢市

2  自治体・団体の概要
 中核市  人口 455,497人,世帯数 184,019世帯(平成19年1月現在)

3  地域の特徴
 金沢市では,住民相互の高い連帯意識に支えられ,相互に力を合わせて住みよいまちづくりを進めてきた公私協働の土壌が古くからあり,善隣館(戦前から続く地域福祉の拠点),町会(町内会のこと),義勇消防団,公民館などの住民活動が盛んで,近年は,NPOなど市民による自発的な取り組みも活発になってきている。本市における地域福祉・生涯学習活動は,こうした公私協働の上に成り立っているといえる。

4  連携の取組状況
 現代においては,地域社会のつながりの希薄化や核家族化などにより,「子育て」の知恵や方法が伝承されていないことから,子育てに不安や困難を感じる親が増えているといわれている。
 このことから,金沢市の次世代育成支援対策行動計画である「かなざわ子育て夢プラン2005」では,重点的な取り組みのひとつとして,ライフステージに応じた親育ち支援を掲げた。この具現化事業として,平成17年(2005年)7月から開講したのが,「金沢ママさんカレッジ」である。
 このカレッジは,子育て中の親,これから親になる人,そして子育て支援を希望する市民を対象に,基礎講座とステップアップ講座の二段階の講座を通じて,子育てに関する知識や方法,親としての生き方などを学ぶもので,もちろん「パパ」も参加できる。
 基礎講座は,子どもの遊び,心と身体の発達,病気と事故防止などのほか,親子のコミュニケーションや子育ての悩みなど,講義型から参加型まで様々な内容と形式の講座となっており,基本的な内容の講座は複数回開催している。(講座テーマは別表のとおり) 講師は,市の専門職員(医師,保健師,保育士など)を中心に,一部外部講師も依頼している。
 一方,ステップアップ講座は,市民グループに講座の企画を公募し,その運営を委託するもので,特に,育児サークルを結成している親たちに,自分たちが受けてみたい講座の企画運営を通じて,持てる能力を発揮してもらい,「ステップアップ」することをねらいとしている。しかしながら,育児サークルが発展し,支援される側から支援する側へ活動の幅を広げた子育て支援団体も多くあることから,母親グループといった当事者団体に限定せず,広く子育て支援活動を行っている市民グループを公募対象としている。
 応募のあった企画(1グループにつき,複数の企画や連続開催の単一企画の提案も可能)は,主任児童委員,保育士,幼稚園教諭,助産師,育児サークル代表などで構成する審査会で評価し,委託先を選考している。なお,この審査会では,委託先の選考だけではなく,各企画に対するアドバイスやママさんカレッジに対しての提言もいただいている。
 平成18年度には,7つのグループから合わせて9つの企画提案があり,審査の結果,5つの企画が選ばれた。スタディものから,レクリエーションもの,親子で参加するものまで,バラエティーに富んだ講座の開催となった。(別表のとおり)
 ステップアップ講座の企画や運営については,行政あるいは専門職の人間では思いもつかないアイディアに担当者はいつも感心させられており,市当局に対する良い刺激材の役割も担っているといえる。また,行政と市民とのネットワークの広がりにも寄与している。企画運営するグループにとっても,市の支援を受けることにより内容の充実はもちろん,新たな取り組みを始めるきっかけになり,また市の事業という位置づけと市広報のPRによって,参加者の幅も広がることになる。ただ,講座の企画運営委託が「子育て支援団体活動への補助」と誤解されたり,予算の使い方や運営方法に関して企画運営グループと市の思いがかみ合わず,直前まで調整に追われることもあり,行政と市民の協働のあり方についてはまだ試行錯誤が続くと思われる。
 基礎講座・ステップアップ講座とも,親子参加型ものを除いて託児付きで,一部講座での教材費を除き無料となっている。また,講座を開催するごとに受講申込みを受け付けており,毎回多数の申込があるため,抽選で受講者を決定している。
 受講者のほとんどは保育所・幼稚園に入園していない乳幼児を持つ母親で,子育ての知識を得るだけでなく,客観的に自分の子育てを顧みる機会となっているようである。孤独な中で子育てに追われ,自分の子育ては間違っているのではないかと疑心暗鬼に捕らわれていたお母さんたちから,「まず,自分たちのペースで子育てをすればいいんだということを教えられ,自信を持った」といった感想が聞かれた。
 ママさんカレッジと併せ,金沢市では,子育てに関する学習の推進を図るため,学習テーマや学習内容などの指針をまとめた「かなざわ親育ち学習指針『子育て金沢カリキュラム』」を作成した。親育ち学習のための一種の学習指導要領と考えている。詳細は,本市ホームページに掲載してあるので御参照いただきたい。
http://www.city.kanazawa.ishikawa.jp/kosodate-kanazawa.pdf)(PDFファイル)
(※金沢市ホームページへリンク)

5  今後の方向性や展望
 基礎講座については,2年間の実績をふまえて,テーマや内容をある程度定式化し,新米ママなどが参加しやすいよう,年間スケジュールを明確にした定期的な開催をめざしていきたい。また,ステップアップ講座については,できるだけ様々なグループに委託し,親育ち支援のネットワークを広めていきたいと考えている。

《金沢ママさんカレッジ》講座テーマ

【基礎講座】   かっこは講師
  「一緒にあ・そ・ぼ 子育て講座」かっこ市の保育士)
「知っておきたい子どもの病気と事故防止」かっこ市の保健師)
「どきどき子育て講座-子どもの心と身体の発達-」かっこ市の小児科医)
「こどもの緊急時の予防と対処」かっこ市消防局の救急隊員)
「親と子のコミュニケーション」かっこ親業シニアインストラクター)
「子育てから人との関わりを考える」かっこ市の心理士) *17年度
「保育カウンセラーと考える 子育て・孫育て」かっこ市の心理士) *18年度
「言いたい!聞きたい!フリートーク」かっこ小児看護学の大学教授) *17年度
「完璧な親なんていない」かっこ小児看護学の大学教授) *18年度
「はじめての読み聞かせ」かっこ市の図書館司書) *18年度
【ステップアップ講座】
平成17年度
「布でつくるおもちゃ」
「人づきあい・子どもとの関わりが苦手なママのための
 多様性・スキルアップ・トレーニング」
「子どもが自分で守る自分の心と体」
「金沢の伝統でつくる手作り小物」
「女の和太鼓講座」
平成18年度
「カヌー体験」
「夫と向き合う,子どもと向き合う,私を知る」
「母こそ元気に -バランスボール-」
「ママたすパパイコールほっこり楽しい家族づくり」
「金沢スタイルで国際交流 -和菓子作り-」

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  担当者連絡先
金沢市福祉健康局こども福祉課
  (住所) 石川県金沢市広坂1丁目1番1号 〒920-8577
(電話) 076-220-2299   (FAX) 076-220-2360
(URL) http://www.kanazawa-kosodate.net/
(※金沢子育てお役立ちWEBホームページへリンク)
E-mail kodomo@city.kanazawa.ishikawa.jp

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