都岐沙羅マネー「キサラ」

ツール名 都岐沙羅マネー「キサラ」
方式 紙券方式:紙幣発行型(紙幣は2、1、1/2、1/4、の4種類を発行)
計測基準 1時間=1キサラ
会費 登録費 0円
年会費 0円
団体名 NPO法人 都岐沙羅パートナーズセンター
ツール活用開始年月 平成14年 2月
配付対象者及び人数 限定せず、170人
配付数 2002年度 559.5キサラ
2003年度 2,514.5キサラ

都岐沙羅マネーキサラ

1.会の目的

  私たちは新潟県岩船地域を舞台に、「広がりのある公」をつくるため、それぞれが抱え込んでいる「地域財(知恵や技術、機会や情報など)」を出し合い、誰でも使える共有財産を増やし、持続可能な地域をつくることを目的にして活動している。

2.会の運営方法

  2003年4月に、地域通貨取り扱い店や参加者からなる「通貨発行委員会」を組織し、6~7名で月一回のペースで開催している。委員会ではキサラの発行と流通のための企画を行っており、事務局(NPO法人 都岐沙羅パートナーズセンター)が、キサラ取扱店(現在19店舗)の協力を得て管理運営を行っている。

3.ツール名や形式(方式)の決め方

  岩船地域の愛称である都岐沙羅(つきさら)の一部を取って名付けた。紙幣型は危険度も高いが、流通する時の醍醐味があると考え決定した。

4.ツールの概要

機能

  地域の助け合い活動であれば、どんな些細な活動内容であっても、会員同士で連絡を自由に取り合い、相手が承諾すれば15分単位(1/4キサラ)で助け合い活動が成立する。メニューの有効期間は1年間。紙幣には裏書き制度がある。また地域外の方でも登録することを可能にしている。

インセンティブ

  キサラ取扱店(現在19店舗)において、そのお店や事業所の独自サービスが受けられる他、キサラコミュニティカレッジへの参加費用にも使用できる。

作成費用

  当NPOの事業費収入から拠出している。その他、行政の協力で、岩船地域ニューにいがた里創プラン(県事業)の事業費の一部をこれに充当している。

作成者

  デザインは、NPO都岐沙羅パートナーズセンターのスタッフが作成した。

達成目標

  地域の元気が醸成されていくことを目標にしている。

5.ツールのしくみ

  • キサラ登録用紙に自分ができるメニューを書き込み、事務局か取扱店に提出する。また取扱店登録も同じ方法で専用の用紙に記入して事務局に提出する。
  • 事務局は登録されたメニューを取扱店やキサラメーリングリストにその情報を流すと共に、登録者に登録者全員のメニューや連絡先の入った「キサラメニュー」というファイルを送り、参加を承認する(メニューの内容如何では登録できないこともある)。
  • 登録者は個人責任で連絡を取り合い、自由に取引を開始する。また大量振出も専用の申請用紙に記入して提出し、キサラ発行委員会の承認が得られれば可能になっている。
  • 事務局は「キサラ発行委員会」を毎月開催し、マネーコントロールやキサラに関するイベントなどの企画等を立案する。またそうした情報は、キサラのホームページやニュースレターなどに掲載し、登録者に随時知らせる。
  • 1年が経過すると、裏書きされた取引内容を事務局が集計し、登録者全員に1年間の取引内容等を知らせる。メニューも1年経過した段階で白紙に戻す。その作業を通して、メニューの改善を試みている。

6.導入のきっかけ

  都岐沙羅パートナーズセンターは岩船広域圏の中間支援組織であり、地域を元気にするコミュニティビジネスの市民起業家育成と支援を中心に活動を進めている。そうした観点から、地域コミュニティの再生と新しい地域資金システムを構築しなければいけないという課題が生まれ、地域通貨導入を考えた。準備期間として1998年~2001年をそれに当て、数回の実験運用や小冊子なども作成して、本格導入に踏み切った。
  具体的には、1998年に地域通貨(主にLets)の取り組みが紹介され、翌1999年に有志により大潟町で、エコマネー「ダーコテ」の流通実験を行った(3日間のみ流通、参加者約800名)。また、同年、リストの発行やフリーマーケットの開催等の流通実験を行った。2001年には導入実験準備を開始し、2002年2月から9月までを実験期間とし、全登録者数106名、発行量559.5キサラ、流通量471キサラとなった。
  商店への導入については、説明会の開催、直接お願いに伺う等の形で、趣旨に賛同する方に参加もらった。キサラは広域圏をカバーしているので、裏書が一杯になったキサラの交換や、通貨単位の両替などを引き受ける地域の代理店のような位置付けでお願いしている。

7.主な活動メニューと活動内容

  キサラメニューは大きく「人にしてあげられること」と「人からしてほしいこと」の2つに分けられているが、その中身をそれぞれ以下の7つのカテゴリーに分類している。

  1. 講習・技術指導編
  2. PR・情報提供編
  3. 技術・技能提供編
  4. 物品・飲食・宿泊提供編
  5. 参加・スタッフ補充編
  6. レンタル・斡旋編
  7. 作業請負・代行編

  具体的に行われた取引内容の例として以下のようなものがある。

  • 起業家やNPOが行うイベントおよびPRのお手伝い
  • ホームステイ
  • 引越のお手伝い
  • 各種講習会の講師謝礼

8.苦労したこと、工夫したこと

  • 登録者の顔が見えないことで、取引に不安に思っている方が大勢いるので、キサラパーティや不要品交換会、コミュニティカレッジなど、できるだけ登録者同士の交流機会を増やすことに気を配っている。
  • ホームページやメーリングリストといったインターネットを使っての情報交換が、有効に機能している。管理人がまめに投稿しつつ、キサラでできる仕事や作業などをつくると喜ばれる。
  • マスコミを上手く利用して、市民の意識向上を図ることも大切なことだと考えている。

9.成果

  現在は約170名の登録者、700以上のメニューがあり、まだごく一部ではあるが地域コミュニティが活性化してきた。また行政や企業も関心を示しつつあり、広がりを見せている。また起業家やNPOの方々にとってはとても便利なツールで、活動の一助になっている。

10.今後の課題と展開

  もともと気楽な気持ちで楽しみながら流通させることをモットーにしているので、その点は満足している。取扱店の中にはこのキサラを扱うようになってお客が増えたという店も生まれてきて、地域経済にもほんの少しだけだが寄与できつつあるといえる。課題としては、中で起きているインフレ、デフレに対してどのように対処するかということが挙げられる。

11.参加者の声

  以下のものは、一昨年の秋にまとめた実験報告書からの抜粋である。

  • 行政サービスがメニュー化されると、キサラの価値がもっと上がるのではないだろうか。
  • どんどんネットワークが広がっていくのがすごい。なかなか使えなくて、財布貯金になりそう。まあ心配する額じゃないけどね。本当のお金って実は人間関係そのものなんですね。
  • いろいろな人が地域のため、社会のためにがんばっていることを知りびっくりしました。
  • キサラを稼げる機会(求人募集など)をもっと多くつくりたい。
  • メニューの出し方についても、もっと事務局がアドバイスしたら。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --