5‐3‐3 重点課題に対するプロモーション手法の提案

  ここでは、図表 5_6で整理したプロモーション手法に対し、取り組み事例に対して特に工夫の余地があると考えられる重点課題について、他分野のプロモーションに関する先進事例も参考としたプロモーション方策について提案する。

(1)日常生活でボランティアの認知機会を提供するための手法

雑誌販売による全国規模のボランティア情報誌の販売

概要

  英国にはホームレスの自立を促進する目的で、雑誌を作成・販売を行なう仕組み11があり、我が国でも同様の取り組みが始まっている。
  ボランティアの社会的気運醸成においても、類似の仕組みを検討する。様々な助け合いの活動、市民参加を必要とする課題、企業の社会貢献活動やコミュニティビジネスへの取り組み等を特集した雑誌を作成し、全国の郵便局や駅等の公共施設等で販売する。その収益は雑誌作成の運転資金以外は、社会的課題解決に向けて寄付される仕組みを構築する。
  雑誌購入者には、ボランティアの気運を高める各種の情報が提供されると同時に、その購入自体が「募金」という「ちょぼら」につながり、これがボランティア活動への入り口となる。

イメージ

図表 5_8 ボランティア情報誌の販売の展開イメージ

図表 5_8 ボランティア情報誌の販売の展開イメージ

  11 社会問題等を特集した雑誌を、自立生活の誓いを立てたホームレスが自ら販売し収益の半分を自らの生活費として蓄積していく、さらに一部は事業の運転資金、ホームレス救済のための基金として蓄積する仕組み。購入者にとっては一種の寄付行為となるだけでなく、記事を通じてホームレスの問題についての情報と考えるきっかけが提供される。

(2)体験機会を発掘・拡大するための手法

民間求人誌方式の援用による地域におけるボランティアの開発と求人誌作成・普及

概要

  地域の様々なボランティア募集のニーズを収集し求人広告誌として集約する。これをボランティア促進のキャンペーン記事とともに魅力的なタウン誌として作成し、新聞折り込みで無料配付する。民間企業の広告を併せ掲載し、経費の補足とする。複数地域の合同で体験活動ボランティア活動支援センターのコーディネーターとNPOと連携して実施する。
  これまでボランティア募集広告は、募集意思のある団体からの意思表明でのみ成立していたが、この方法はボランティア募集の提案営業を行うことで、例えば「学校支援ボランティア」等の新たな場を開発していく効果を持つ。また広告を掲載する継続的なボランティアの場合必ず「体験日」を設定してもらうことで、ミスマッチを防ぐとともに、「体験の場」を促進することができる。

冊子の構成イメージ

(1)冒頭;特集記事

  冊子冒頭には、毎号例えば「地域で子どもを育てよう特集!」といった学校ボランティアへの参加を啓発するキャンペーン記事を組む。そこで、学校支援ボランティアの活躍する様子や生の声、と子どもとのふれあいの様子等を魅力的に伝える。

(2)中盤;紙上ボランティアガイダンス

  自分には何ができるか、何をやったらよいのか分からない人のためのアドバイス。読者の声の掲載等

(3)後半;ボランティア求人広告
  1. 魅力的なキャッチコピー(学校支援ボランティアの例)
    • 「中学校の学級だよりのイラスト(毎月1回)をご担当くださる方2名募集」
    • 「OB・OG集まれ!小学校の卒業式でバックミュージシャンとしてピアノを弾いてくださる方募集」
    • 「腕自慢の方!書き初めのお手本づくりをお手伝いいただけませんか?」
  2. 確実な内容 活動内容、場所、時間、参加者に求められる能力、連絡先 等
  3. 参加を促進するインデックスの工夫
    • 募集期間・・・「たった1日だけの募集」、「週1日の募集」、「長期募集」
    • 提供内容・・・「仕事の経験を活かしませんか?」、「部活の経験を活かしましょう」
    • 提供場所・時間・・・「自宅でもOK」、「仕事の行き帰りに参加可能」
(4)最終ページ;協賛企業の顕彰、広告

  ※ その他;問い合わせ相談窓口を体験活動ボランティア活動支援センターに一括

(3)個々人のライフスタイルなどに応じた、ふさわしいボランティアの具体的な検討を支援する手法

情報通信の活用による「ボランティア・レコメンデーション」事業

概要

  余暇生活、家庭生活の意義が喧伝され、NPO活動等が普及した今日、多くの社会人はボランティアの存在や意義等についてはある程度認識していると推測される。この段階でさらに必要なのは、「自分に適した活動は何か」を具体的に知り、具体的な一歩を踏み出すことへの意欲を盛り上げ、「背中を後押しする」支援である。このため、各種イベント・メディア活用等により各種キャンペーン活動と連動して、情報通信網を活用して、個々人のニーズに適したボランティア活動を個別情報として提供・推奨するシステムを構築展開する、個人別のプロモーション方策を考案した。

展開方策

1.第1段階;各種のイベント等によるボランティア活動への気づき促進から、ボランティア総合情報ポータルサイトへのアクセスを促進

  各種イベント等のプロモーション等を展開し、社会人のボランティア活動の意義についての気づきを拡大するともに、並行して「ボランティア総合情報ポータルサイト(仮称)」を構築する。このサイトは、ボランティア地域ごと、テーマごとに分類された各種のボランティア関連情報への入り口となる総合的サイトとする。イベント開催や各種メディアによる情報発信に付随して、当該サイトへのアクセスを促す。

2.第2段階(ボランティアに関心を抱き、顕在的ニーズを表明する);ボランティア活動ニーズの登録・分析システムの構築・提供
  • a)ボランティア活動ニーズの登録・分析
    「ボランティア総合情報ポータルサイト(仮称)」には、各地のボランティアの事例、企業、活動者の声等を掲載するとともに、「アンケートサイト」を付設し、活動に関心を持つ人々を登録するとともに、そのニーズ(例;性別、年齢、職業、自己の保有能力、性格、希望活動内容、地域、時間帯、参加の目的・動機、課題等)を収集分析する。
  • b)ボランティア受け入れニーズの登録・分析
      一方で、各地の公共施設、NPO、ボランティア団体等からも、ボランティアの受け入れ希望(希望する性別、年利、ボランティアの活動内容、地域、時間帯、活動者に対する希望等)を登録してもらう。
3.第3段階(試行から行動への意思決定支援);ボランティア希望者のニーズに即したボランティア・レコメンデーション情報の発信
  • a)個々のボランティアニーズに適合した「推奨情報」の提供
      希望者に対して、PCあるいはモバイル・携帯端末を通じて、各種ボランティアへの参加を促すトピックを情報提供する。これとともに希望者の個別ニーズを分析した上で、これに適合したボランティア活動をリストアップして、直接的に情報提供(求められる活動内容、代表者、連絡先等)する。この時リストアップするボランティア活動の情報は、単に形式的情報を記載するに留まらず、「このボランティアに参加すると、あなたにとってどのような意義があるのか等」を記載した「推奨情報」とともに提供する。
  • b)最寄りの体験活動ボランティア活動支援センターへの誘導
      この時同時に、ボランティア希望者にとって最寄りの体験活動ボランティア活動支援センター等の支援機関を紹介し、希望に即して、対面による個別詳細の情報提供・相談や仲介、ボランティア活動への参加を促す。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --