学校の概要
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体験活動の概要
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豊かな体験に裏付けられた知識・理解によって、児童の興味・関心はさらに高められ、自ら考え、判断し、新しい課題へ挑戦していく意欲も出てくるものと考える。児童はこれまで、総合的な学習の時間を核として、自ら問題を見付け、その解決をめざして活動してきたが、ともすれば、インタビュー、書籍、インターネット等を利用しての調査活動とそのまとめに止まっていることも多かった。また、体験活動にしても、子どもなりの発想で挑戦しようとするものの、物的、時間的な制約等で、十分に納得できる活動が行われてきたとは言えないところもあった。
そこで、地域の教育環境を改めて見直し、地域との連携を一層強化してふるさとの豊かな自然や風土、先人の築いた歴史、守り伝えられた郷土の文化等を題材として、本物の体験活動を積極的に推進することによって、さらに広く郷土への理解を深め、ふるさとを愛する心と生涯学習の基礎となる豊かな人間性を育成していきたいと考え、全体計画を立て直した。
大坪小学校の目標 | 総合的な学習で目指す児童像 |
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輝く子どもたちを求めて …いきいき楽しい学校づくり |
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本校の総合的な学習の時間の目標 | 中学年目標 |
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ふるさとに目を向け、自然や社会、人々とのかかわりを通して、各教科等で学習した知識や技能、態度の総合的発展を図り、自ら学ぶ力と共生の基礎、そして、自己の生き方について考える能力をはぐくむ。 | 自然や社会、人々とのかかわりを通して、課題を見つけ、追求し、自分の生活の中に活かす能力をはぐくむ。 |
領域 | 領域の目標 | 内容 | 中学年の目標 |
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郷土・文化 | 郷土の伝統や文化に関心をもち、その大切さを理解し、それらを尊重し、継承する態度、新しい文化等を創造する資質や能力をはぐくむ。 |
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「『オンリーワン』のさが体験活動支援事業」は、豊かな自然に恵まれ、様々な地場産業が盛んであるにもかかわらず、子どもたちの理解が不十分で、また、直接体験する機会等も乏しくなっていることから、佐賀ならではの、また、地域ならではの特色に応じた「オンリーワン」の体験活動を行うことにより、豊かな感性を育むとともに郷土への理解と愛着を深め、ふるさと佐賀のよさを実感し、誇りに思う気持ちを育てることを目的とした佐賀県独自の事業である。本校で掲げる中学年の「郷土・文化」領域における活動に大いに役立つものと考え、4年生の焼き物体験活動に取り組んだ。
焼き物博士になろう 第4学年 総合的な学習の時間(MIRAIタイム) 全85時間
総合的な学習の時間の活動の流れ | 活動の内容 | 時数 | 活動の場所 | 評価 |
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出会う |
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1時間 | 学校 |
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醸成する |
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2時間 | ||
自己課題をもつ |
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2時間 | ||
課題追究 |
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12時間 |
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5時間 | |||
ものづくり体験活動 |
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20時間 | 大川内山伝統産業会館飛龍窯(武雄市) |
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中間報告会 |
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5時間 | 学校 |
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修正・再挑戦 |
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4時間 |
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6時間 | |||
成果発表 |
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6時間 |
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情報発信 |
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16時間 | ||
反省会・振り返り |
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6時間 |
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4年生の児童は、1学期の間、各自で持ち寄った窯元の案内パンフレットや資料、インターネット等を利用しての調査活動で焼き物の歴史や作り方などを調べた。その成果発表会等を通して、「自分の手で焼き物を作ってみよう」という意欲が高まってきた。
時間 | 学習活動 | ||
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6 |
窯元をたずねてみよう
活動場所:大川内山伝統産業会館
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4 |
土練りから体験してみよう
活動場所:武内町飛龍窯(武雄市の運営)
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4 |
自分の素焼きに絵付けをしよう
活動場所:武内町飛龍窯(武雄市の運営)
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4 |
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飛龍窯に協力依頼 ただし、作業は学校で |
活動日:検討中 活動費等:事業費から |
郷土愛を育てていくためには、今回実施した体験活動によって得られた知識や意欲・関心の高まりを、自らが学ぶ意欲をもってふるさとを見つめる姿勢へとさらに高めていくことが必要である。そのために、ホームページでの情報発信、新たな課題としての焼き物作りへの再挑戦、そして、ふるさと伊万里のよさを他にも求める活動へつないでいくことにしている。
本校では、総合的な学習の時間の評価として、疑問、願い、感じたこと、まとめたことに対する継続的な自己評価を記録していく「ポートフォリオの機能を生かした評価」を行っている。今回は体験活動の前に「期待度と意欲」を、活動後に「満足度と感想」のアンケート形式の評価も行った。教師側の評価とするとともに、児童自身が変容をとらえるための資料としてもそれを用いて、体験活動の振り返りを行った。「ゆう薬をかけると、なぜつるつるになるの?」「他の市や県の焼き物と比べてみたい。」等の記述が多く見られるなど、体験活動から感じたことを次の新たな課題として捉えている児童も多かった。今後の活動において、さらに追究させていきたい。
体験後のアンケート結果は下に示すとおりである。楽しかったという答えが多かったことはいうまでもないが、自分で考えて行動できたと答えた児童が7割近くに上るなど、積極的なかかわりがみられたことが分かる。また、感想の多くに、「自分特製の焼き物ができてよかった。」「もっともっといろんな物を作って焼き物名人になりたい。」が見られるなど、焼き物に対する親しみが増していることが分かった。さらに、「私は伊万里が好きです。とてもきれいな焼き物があるから。だから他の町の人にも見に来て欲しいです。」「焼き物作りは大変だけど、楽しいです。おくが深いです。焼き物のことをたくさんの人に知ってほしいので、ホームページ作りをがんばります。」など、焼き物作りに誇りを持つと同時に、それを多くの人に広める活動へと意欲を持つ児童も出てきている。活動のねらいに迫ることができているものと考える。
専門的知識が必要なことや活動の場が特殊なことから、今回は、特に家庭との連携は取らなかったが、活動への協力や情報の提供などを広く家庭へ呼びかけることで、新たな方法が見いだせたかもしれない。体験活動を学校だけの活動に終わらせないためにも、今後、家庭・地域との密着した取組が行えるよう、全体計画等をさらに見直していきたい。
初等中等教育局児童生徒課生徒指導室
-- 登録:平成21年以前 --