県独自の取組 【体験活動に関する施策・取組】 びわ湖フローティングスクール事業及び琵琶湖・淀川流域小学生交流航海事業 滋賀県教育委員会

地域の概要(当事業開設当時の背景)
  • フローティングスクール誕生の初動機
      我が国最大の湖をもつ滋賀県は、
    1. 昭和44年から「滋賀青年の船」、昭和55年から「びわ湖少年の船」の各事業を毎年実施し、青少年の資質の向上とリーダー養成に大きな成果を上げてきた。
    2. 昭和52年7月の小学校学習指導要領の改訂により、特別活動の目標に「望ましい集団生活を通して、心身の調和のとれた発達を図り、・・・」とされ、各校においても、青少年宿泊施設などを利用しての集団宿泊による野外活動が積極的に取り入れられるようになった。
    3. 日本最大で世界でも3番目に古い琵琶湖は、高度成長と歩調を合わせるかのように汚染が進んだ。美しい碧い琵琶湖を取り戻そうと、昭和54年、「琵琶湖富栄養化防止条例」が制定された。
        昭和57年3月、これらの実績に学び、今日的課題である青少年の健全育成をはかるため、学校教育の一環として、滋賀県で船を建造し、県下の小学生を乗せるという提案が県議会で審議され決定された。
  • 連絡先
      〒520‐8577
      ※滋賀県大津市京町4丁目1番1号
      滋賀県教育委員会事務局学校教育課
      電話:077‐528‐4576
      fax:077‐528‐4953
      〒520‐0047
      ※滋賀県大津市浜大津5丁目1‐7
      びわ湖フローティングスクール事務所
      電話:077‐524‐8225
      fax:077‐524‐8226
体験活動の概要
  (びわ湖フローティングスクール事業の概要)
  • 船の学校、「琵琶湖に浮かぶ学校」
      学校教育の一環として実施
  • 学習船「うみのこ」
      総トン数:928トン
      長さ:65メートル
      幅:12メートル
      高さ:20メートル
      喫水:1メートル
      速度:8~9ノット
  • 滋賀県内の小学5年生全員が乗船
      公立・国立・私立小学校、障害児教育諸学校、外国人学校
      約250校 約1万5千人
      年間90回の航海
  • 複数校で乗船
      大規模校は2回に分かれて乗船
      平均乗船児童数:160名(120~200名)
  • 宿泊する
      1泊2日(約30時間船での生活)
  • 体験学習・「湖の子」環境学習を行う
  • 母なる湖:(日本一大きい)琵琶湖が舞台
       琵琶湖の写真

1 活動に関する全体計画等

(1)取組のねらい等

1 教育方針-夢を抱き、たくましさを持って、共に生きる人づくり-

  学校教育の一環として、学習船「うみのこ」を使い、母なる湖:琵琶湖を舞台に日常生活では得がたい宿泊体験型の教育を実施し、青少年に夢を育み、滋賀に新たな淡海文化を築いていく気概とたくましさを培い、人や自然と共に生きる人間形成に寄与する。

2 意義と目的

◇ たくましく生きる力の育成

  環境に関わる力を育む (身近な地域の環境問題の解決に参加・行動していく力を育む)
  健やかな心身を育む (夢ををもち、生き生きとした生活が送れるように、心をみがき、体を鍛える)

◇ パートナーシップにより教育力を高める

  地域との連携 (学校・家庭・自治体・NPO他 広く本事業の啓発を図り、事業の理解を深めながら、連携して青少年健全育成の気運を高める)
  多様な参画・参加 (学習支援ボランティア他 専門的な知識や技能等を有する人たちの参画・参加を得ながら、本事業の充実発展を図る)

3 琵琶湖・淀川流域小学生交流航海事業の趣旨等

  • 淀川流域の小学生との交流学習を通じて、直接琵琶湖に触れて水環境を共に考え、学びあう活動を展開する。
  • 体験を通して琵琶湖に学び、地球規模の自然環境に対する認識を深めあうことをねらいとする。

(2)全体の計画等

  • 平成16年度の運航回数(1泊2日:91航海 1日11航海 計102航海)
    そのうち、児童学習航海(小学5年生対象) 1泊2日 90航海
  • 琵琶湖・淀川流域小学生交流航海事業
    京都府・大阪府各3校、計6校が滋賀の小学校6校と交流
    平成11年度から実施 3年間の交流

2 体験活動の実施状況(びわ湖フローティングスクールの教育内容)

(1)びわ湖環境学習

テーマ

  琵琶湖に学ぶ 琵琶湖を通して学ぶ

ねらい

  琵琶湖への興味や関心を深め、今、琵琶湖がかかえている問題に気づいて、母なる湖・琵琶湖を大切に守っていく態度や心を育てる。

主な活動

  魚釣り、魚の観察、水草観察、水生生物観察、水鳥観察、ヨシ笛・水草のしおり作り、深層水調べ、透明度調べ、プランクトン観察、水の濁り調べ、えり漁・地引き網体験、外来魚調理、湖岸探検、琵琶湖展望・4つの島展望、カッター活動 等

(2)ふれあい体験学習

テーマ

  郷土・人とふれあう 共に学びあい行動する

ねらい

  友だちや様々な人たちとのふれあい・交流すること、また、淡海文化にふれること等を通して、友だちとの友情や郷土を愛する心を育む。

主な活動

  学校紹介、名刺交換、綱引き・ゲーム大会、色紙づくり、手旗、甲板みがき、ロープワーク、カッター活動、タウンウォークラリー、竹生島見学 等

(3)「湖の子」船内生活

テーマ

  集団生活をおくり、くらしをみつめる。

ねらい

  船内生活を通して、約束やルールを守ったり、互いに助け合い、協力しあったりして、規則正しく気持ちのよい生活を送り、社会的な態度や豊かな心を育む。

主な活動

  乗船指導、オリエンテーション、避難訓練、出港見学、開・閉校式、船内見学、係活動、班活動、「湖の子」掃除 等

(4)琵琶湖・淀川流域小学生交流航海 実施校について

  • 平成11~13年度
    • 草津市立笠縫小学校と宇治市立平盛小学校(京都)
    • 栗東町立大宝小学校と島本町立第一小学校(大阪)
  • 平成12~14年度
    • 大津市立真野小学校と八幡市立橋本小学校(京都)
    • 大津市立長等小学校と高槻市立三箇牧小学校(大阪)
  • 平成13~15年度
    • 守山市立立入が丘小学校と大山崎町立第二大山崎小学校(京都)
    • 守山市立小津小学校と高槻市立五領小学校(大阪)
  • 平成14~16年度
    • 栗東市立葉山東小学校と宇治市立大開小学校(京都)
    • 草津市立山田小学校と島本町立第四小学校(大阪)
  • 平成15~17年度
    • 大津市立瀬田小学校と宇治田原町立田原小学校(京都)
    • 大津市立真野北小学校と高槻市立南大冠小学校(大阪)
  • 平成16~18年度
    • 野洲町立北野小学校と大山崎町立大山崎小学(京都)
    • 守山市立守山小学校と高槻市立上牧小学校(大阪)
  • 平成17~19年度の予定
    • 草津市立渋川小学校と京都府宇治市立北槇島小学校(京都)
    • 栗東市立治田小学校・県立聾話学校と大阪府島本町立第三小学校(大阪)

3 体験活動の評価・指導の改善・成果等

◇ 乗船後の引率教師による状況報告書より(平成15年度の評定集約)

※ 4段階(4:たいへんよかった 3:よかった 2:あまりよくなかった 1:よくなかった)での評価では、次のような結果がでている。

  • 船内生活 平均3.1点
  • 食事 平均3.2点
  • びわ湖環境学習(各項目の平均) 3~3.6点
  • 交換・交流活動(各項目の平均) 3.5~3.7点
  • 寄港地での活動(各項目の平均) 3.2~3.4点

※ 主な感想からは、下のようなことが書かれてある。

  • 学校の枠をはずして、交流を深め友だちと力を合わせることの大切さや喜びを味わうことができた。
  • 湖上からびわ湖や滋賀を見つめることにより、今まで以上に自分たちのふるさとに愛着がもてたのではないだろうか。
  • 琵琶湖を守っていくために身近なところから気をつけていこうとする意識が定着してきている。
  • 共同生活により自主性をのばせた児童が多かったように思う。
  • 名刺を交換した後、年賀状を送るようである。
  • 学校生活における集団のマナーやルールを高めることができた。
  • 「友だちがいっぱいできた。うれしかった。」と話してくれ、何事にも積極的に取り組めるようになった。

◇ 児童への体験学習後の調査結果より(平成15年度)(22小学校で1,757人に調査)

※ 乗船前の関心・期待度や意欲、課題等の把握について

  • 初めて出会う友だちが70パーセント、みんなと寝ることが53パーセントで関心あり
  • びわ湖環境学習に興味関心を持つは、95パーセント
    複数校乗船であることが児童にワクワクドキドキ感を引き出すと言える。

※ 乗船中の集団生活の心構えやルール・約束ごとの実践度等の把握について

  • 3つの「あ」(あいさつ・あとしまつ・あんぜん)の意識化と実践、楽しい食事、友だちと交流、係の仕事、すべての項目でできた
  • だいたいできたが85パーセント以上
  • 特に、友だちとの交流が95パーセント
    約束については、生活の大切な部分。学校での事前指導や乗船時の指導の場面をさらに工夫・改善する必要がある。また、乗船前から友だちへの関心が高かった児童は、乗船後も友だちに関心を持って関わることができている。

※ フローティングスクールで学んだ満足度・充足度の実態把握について

  • 心に残るものとなったが、96パーセント
  • もう一度乗ってみたいが、90パーセント

  フローティングスクールの魅力を児童なりに感じ取っている。

4 今後の課題と取組

  友だちと協力しあい、共に学びあいながら、いきいきと活動に取り組む子どもたちに近づけるために、次の3つの課題があると考えている。

1.体験のための体験で終わらない

  • びわ湖フローティングスクールでの体験学習の広がりと深まりをもたせる。
    学校からびわ湖フローティングスクールから学校の一連のつながり
    (フローティングでの活動で終わらないために、事前指導・事後指導の充実)

2.びわ湖環境学習の充実

  • 学習プログラムの教材開発
    新たな学習プログラムの作成、学習方法の工夫や改善
  • びわ湖フローティングスクールでの体験のあり方の見直し
    限られた時間を生かし、じっくりと取り組む手だての工夫

3.学習活動支援の充実

  • 「湖の子」サポーターの参画
    きめ細かな指導体制、専門的な指導により、興味関心が高まり、意欲的・積極的に取組、活動の幅を広げる。

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室)

-- 登録:平成21年以前 --