長期宿泊推進校 【高等学校・長期宿泊に関わる体験活動】 海外修学旅行を中心とする体験活動 愛知県立三好高等学校

学校の概要

  1. 学校規模
    • 学級数: 18学級(内普通科12学級スポーツ科学科6学級)
    • 生徒数:668人
    • 教職員数:53人
    • 活動の対象学年:2年生・222人
  2. 体験活動の観点などからみた学校環境
    • 人口5万余人で自動車産業の工場が三つある。町(ちょう)には高校が一つしかなく、地元の期待も大きい。協力には積極的である。
    • 三好町、豊田市、名古屋市周辺の3地域からの生徒が中心である。スポーツ科学科は全県内から生徒が入学し、さまざまな、環境の異なる生徒が集まっている。
  3. 連絡先

体験活動の概要

  1. 活動のねらい
    「国内外の異文化にふれ人間関係を創り出す」をテーマに、高校入学時より発達段階に応じてさまざまな文化や価値観に触れ『人間関係』を創り出すため、クラスの仲間・学校生活・地域貢献・社会意識・日本文化・国際理解にかかる体験活動を1、2年次に実施し、自己確立・進路実現を目指す3年次の活動の実質化を図る。
  2. 活動内容と教育課程上の位置付け(修学旅行以外は総合的な学習の時間で実施)
    • 1年春の体験学習4月中旬〔長野県2泊3日12単位時間〕
    • 1年秋の体験学習10月上旬〔清掃活動2単位時間〕
    • 1年冬の体験学習11月下旬〔ボランティア活動6単位時間〕
    • 2年春の体験学習〔日本文化・国際理解体験9単位時間〕
    • 2年夏の民族衣装体験〔3単位時間〕
    • 2年秋の国際体験〔6単位時間〕
    • 2年冬の体験学習〔海外修学旅行4泊5日同20単位時間〕

1 活動に関する学校の全体計画

(1)活動のねらい

  本校では平成12年度後半から泊を伴う学校行事の見直しを図るため、教育活動企画委員会を設け、教育活動の骨子及び3年間の具体的な体験活動の内容について検討した。その骨子は、生徒が高校3年間を通して『開かれた』人間関係・社会関係を発達段階に応じて体験する機会を創り出すこと、他人を受け入れることのできる自己を確立していくために社会生活の中で具体的な実体験を通し、多様な人々と接し、相互理解に努め、自分とは異なったさまざまな文化や価値観に触れることとした。平成13年度から、1年生春の村民体験・秋の収穫体験・冬の地域体験、2年春の日本文化体験・秋の国際理解体験・冬の海外修学旅行、3年春の総合体験等を段階的に進める、具体的な計画の推進を図った。これら一環の体験活動の中心的プログラムとしての海外修学旅行については、三好町国際交流協会、OISCA等の関係団体の協力も得て、東南アジア独特のマレーシア文化とIT革命の先進国であるシンガポールを見聞することに決定し、次のようなねらいを設定した。

  • ア 「異文化にふれ人間関係を創り出す」をテーマに、海外に赴き国際感覚を醸成するとともに、国際人としての態度を養い、国際社会でも自発的な「人間関係」を創り出すことができる能力を養う。
  • イ 他国の文化を知るとともに自国の文化を再認識した上で発信することを通して、広い視野を持った自己を確立する。
  • ウ マレーシア・シンガポールの現地事情を学ぶとともに、現地での交流を通して友好を深め、平和的な国際社会を創造する礎を築く。

(2)全体の指導計画

ア 活動の名称:

  海外修学旅行を中心として、異文化に触れることを通して豊かな人間関係を創り出す体験活動

イ 実施学年:

  1年生~2年生

ウ 活動内容

-1年次-
  • a 春の体験学習・・・長野県武石村でのデイステイ
  • b 秋の体験学習・・・三好町内の福祉施設、保育施設でのボランティア活動
  • c 冬の体験学習・・・県内の職場指導者による職業講話の実施
-2年次-
  • d 4月からの授業(古文、英語、世界史、日本史、家庭科等)で、東アジア、日本の歴史や伝統文化について事前学習を行い、興味と理解を深めながら日常英会話能力をつける。
  • e 春の体験学習1・・・日本文化体験(木綿・和紙・陶器等の製作)
  • f 春の体験学習2・・・国際理解体験(マレー人によるマレー語の講義)
  • g 夏の体験学習・・・マレーシア民族衣装製作体験(バジュ・クロンの製作)
  • h 学校行事・・・文化祭出展品製作(マレーシア・シンガポールの生活・文化資料や模型等の展示物製作)
  • i 秋の体験学習・・・国際体験(マレーシア・シンガポールの文化研究、マレー語研修、シンガポール政府観光局及び同航空乗務員の講義を含む)
  • j 冬の体験学習・・・今回の実践指定体験活動-海外修学旅行(テメロー村でのデイステイ、シンガポール現地大学生との交流等)4泊5日

2 活動の実際

(1)事前指導

-1年次-(上記a~c)

  • a 平成16年4月21日(水曜日)~23日(金曜日)〔2泊3日〕(村民体験-白樺湖・武石村)
     人口4,000人の山村にデイステイし、全く知らない場所で全く知らない人と出会い、山村の生活体験をとおし、「異文化」にふれ、新たな「人間関係」を創り、高校3年間の心の糧とする。
  • b 平成16年10月28日(木曜日)1日(地域体験-三好町各施設でのボランティア活動)
      さまざまな人に出会うことによって、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を培うために、地域の社会福祉施設・児童福祉施設等にて、一日体験に取り組み、社会に寄与する態度を養う。
  • c 平成16年12月4日(木曜日)2時間(社会体験-LT時に職業別講話を一人2種類聞く)
      社会の一員として働くことの意義を理解し、職業の実態を実感するため、職業講話を通して、自己の適性や進路を考え、職業意識の涵養を図る。

-2年次-(上記eとi)

  • e 平成16年5月28日(金曜日)1日(日本文化体験-県内)
      地域の伝統工芸を知るとともに、体験活動をとおして作品を作成し、海外体験活動の際に持参する。また、日本文化の一端を学ぶことによって、これを国際社会の一員として発信できる態度を養う。
  • i 10月28日(木曜日)2時間(LT時シンガポール政府観光局及び同航空乗務員の講義)
      我が国の地域社会の姿だけに止まらず、「異文化」を学ぶことにより、国際理解を深め、視野を広げ、国際人としての認識を高め、様々な価値観を受け入れることのできる態度を養う。

(2)活動の展開(海外修学旅行)

  • 12月7日(火曜日)
    • 6時30分 学校集合、名古屋空港から15時55分 チャンギ空港(シンガポール)へ、17時25分 MH608便にてマレーシアへ
  • 12月8日(水曜日)
    • 9時20分 バツー洞窟の見学
    • 12時10分 テメロー村でのディスティ(班別行動)・昼食(5単位時間)
    • 19時30分 民族舞踊鑑賞(夕食を兼ねる)
  • 12月9日(木曜日)
    • 8時30分 ホテル出発・クアラルンプール市内研修(5単位時間)
        「王宮」「天后宮」「国立回教寺院」の見学
        「KLCC(大型ショッピングセンター)」にて、昼食及び散策
        「新都市-プトラジャヤ」の見学
    • 16時 クアラルンプール空港着・夕食
    • 18時50分 SQ117便にてシンガポールへ
  • 12月10日(金曜日)
    • 9時 ホテル出発。シンガポール市内研修
        国際交流(地元大学生と班別自由行動)(5単位時間)
        「マーライオン公園」「中華街」「リトルインディア」等・昼食
    • 16時 ホテル着(休憩)
    • 22時20分 チャンギ空港(シンガポール)着
  • 12月11日(土曜日)
    • 1時15分 SQ982便にて名古屋空港へ
    • 8時25分 名古屋空港着
    • 10時30分 学校着
    海外修学旅行の写真1  海外修学旅行の写真2

(3)事後指導

-1年次-(上記a~c)

  • a 事後の生徒・職員・村民へのアンケート結果による情報交換、村民からのたより紹介(各自で体験活動報告の提出とデイステイ先への礼状作成)
  • b 生徒・職員・各施設へのアンケート集約と次年度への申し送り事項の確認、各施設からのたより紹介(活動記録と反省文の作成)
  • c 働くことの意味や努力が必要なことを含め、将来の職業観や具体的な職業意識の育成、進路目標の設定についての進路面接等を実施

-2年次-(上記d.i.j)

  • d 作成した作品の説明のために、各クラスで自主学習のテーマに沿って調査学習を深めさせる(英文の自己紹介文の作成とマレー語学習)
  • i グループ活動(マレーシアでのデイスティ、シンガポールでの交流活動)の目的から具体的な計画の立案(日程の確認、自主的な活動、現地での活動内容をより具体化した綿密な計画作成)
  • j アンケート集約と次年度への申し送り事項の確認、体験学習から学んだことを通して、将来の進路を考えさせる指導を3学期から実施(学年集会、LT時)(クラスごとに旅行記作成、自分たちの経験から学んだ反省点等を事後の授業で発表)

3 体験活動の実施体制

(1)学校としての推進体制

  • ア 平成13年1月より教育活動企画委員会を設け高校3年間を見通した体験活動の企画。この時、同委員会で長期宿泊体験を2年生で実施することを企画・提案
  • イ 教育課程委員会で体験学習を総合的な学習時間として位置づけ、実施
  • ウ 平成15年4月よりPTA専門委員会・学校評議委員会の理解と協力、評価と助言
  • エ 教育活動企画委員会での企画骨子に基づき、実施学年で細案立案
  • オ 平成16年4月より学校支援委員会(9名)設置(三好町教育委員会学校教育課長、三好町国際交流協会事務局長、三好高等学校PTA副会長、校長、教頭、主任3名)

(2)配慮事項

  • ア 旅行前事前安全確認事項
    • (ア)外務省「危険情報」の確認
    • (イ)旅行業者シンガポール・マレーシア支店、シンガポール共和国大使館・在マレーシア日本大使館との電話連絡と情報交換
    • (ウ)県内及び近県の今年度同一方面実施校からの参考情報
  • イ 衛生上の留意点(飲料水の持参)

4 体験活動の評価の工夫と指導の改善

  2年前の海外修学旅行では交流体験が少なかったため生活体験を通した人間関係創出面の評価が低かった。これを改善し、1年前の長崎県修学旅行(SARS(サーズ)のための国内代替案)では現地留学生との交流体験を加えた。その結果、人間関係の構築で高い評価を得たので、今回はシンガポール現地大学生との交流体験を追加し、生活体験を通した新しい人間関係創出面を充実させた。

5 活動の成果と課題

  (1)活動の成果:体験学習を始めて今年で4年目。この間の学校の一番の変容は、外部からの苦情の減少、特別指導(窃盗等の非行)生徒数の減少、そして転退学者数の減少である。また、1年の地域体験や2年海外修学旅行の体験がきっかけで、介護福祉系や外国語国際関係系への大学進学数が増加した。

  (2)課題:1年前のSARS(サーズ)問題やテロ事件等、国際関係により活動先が変更されること。

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室)

-- 登録:平成21年以前 --