長期宿泊推進校 【長期宿泊に関する体験活動】 長期宿泊体験活動(セカンドスクール) 福岡県宇美(うみ)町立桜原(さくらばる小学校)
学校の概要
- 学校規模
- 学級数:17学級
- 児童数:500人
- 教職員:29人
- 活動の対象学年:5年生・86人
- 体験活動の観点などからみた学校環境
- 人口約4万人の宇美町は、福岡市の周辺地域として、都市化が進み人口が増加してきている。
- 校区は、古くからの住宅地と新興住宅団地に分かれている。古くからの地区には、お十七夜などの行事が残っており、子どもたちが参加している。また、団地でも花いっぱい運動やハロウィーンの行事など地域起こしの行事が活発に行われている。
- 核家族や共働き家庭が多く、週末も子どもだけで過ごす家庭もあり、自然体験活動や社会体験活動など機会が少ない。
- 連絡先
|
体験活動の概要
- 活動のねらい
- 集団生活の中で発生する様々な問題を解決しながら、今まで以上にまわりの人の良さに気づき、自分のよさを知ってもらうことにより、まわりの人とのよりよい関係を作ることができるようにする。
- 困難な体験を克服してやり遂げることにより、自分に自信を持つことができるようにする
- 自然体験を通して、自然の豊かさに気づき、その恵みによって自分たちの生活が支えられていることに感謝し、自然を守るために自分のできることをしようとする。
- 活動内容と教育課程上の位置付け
- 活動計画を立てよう(総合 6単位時間)
- 感動を伝え合おう(国語 2単位時間)
- 自然からの贈り物(図工 4単位時間)
- 自然からの贈り物(道徳 2 1/3単位時間)
- ピアサポート(学級活動 4 2/3単位時間)
- 自然探検・自然に学ぼう・自然を味わおう(総合的な学習の時間18 1/3単位時間)
- セカンドスクールの思い出○○作り(総合 4単位時間)
- 実施時期
平成16年10月4日(月曜日)~8日(金曜日)4泊5日
|
1 活動に関する学校全体計画
(1)活動のねらい
学校や家庭では、直接体験することができない教科・道徳・総合的な学習の時間(自然活動体験)の内容を教室以外の場所で、担任・児童・社会教育施設職員・ボランティア・ゲストティーチャー・保護者が一体となって地域のひと・ものを生かしながら学習を進めていくことをセカンドスクールと名づけた。
セカンドスクールでは、次のような子どもの育成を目指した。
- 集団生活の中で発生する様々な問題を解決しながら、今まで以上にまわりの人の良さに気づき、自分のよさを知ってもらうことにより、まわりの人とのよりよい関係を作ることができるこども
- 困難な体験を克服してやり遂げることにより、自分に自信を持つことができる子ども
- 自然体験を通して、自然の豊かさに気づき、その恵みによって自分たちの生活が支えられていることに感謝し、自然を守るために自分のできることをしようとする子ども
このセカンドスクールでの活動を十分に保障するためには、本校が従来実施していた2泊3日の『自然学習教室』では、不十分だと考えた。しかし、4泊5日の長期宿泊体験を実施するには、以下のような問題点があげられた。
- 児童や保護者がお互いに会えないという不安感への対応
- 病気やけがなどの緊急時の対応
- 費用
- 固定した学習室の必要
- 自然体験活動などに対する社会教育施設職員の支援の必要
- 生活面などのボランティアによる支援の必要
そこで、福岡県内の県立社会教育施設と独立行政法人国立夜須高原少年自然の家を比較検討し、以下の点から、県立社会教育総合センターに決定した。
- 同じ郡内で、車で30分以内で行ける距離にある。
- かかりつけの病院を利用できる。
- JRが利用でき、費用が安くつく。
- 県立社会教育総合センターが共催してくれる。
- 県立社会教育総合センターでボランティア経験のある大学生の協力が得られる。
(2)全体の指導計画
- ア 活動の名称:セカンドスクール
- イ 実施学年:5年生
- ウ 活動内容と教育活動上の位置づけ
- 活動計画を立てよう(総合 6単位時間)
- 感動を伝え合おう(国語 2単位時間)
- 自然からの贈り物(図工 4単位時間)
- 自然からの贈り物(道徳 2 1/3単位時間)
- ピアサポート (学級活動 4 2/3単位時間)
- 自然探検・自然に学ぼう・自然を味わおう(総合的な学習の時間 18 1/3単位時間)
- セカンドスクールの思い出まるまる作り(総合 4単位時間)
- エ 実施時期:平成16年10月4日(月曜日)~8日(金曜日)4泊5日
2 活動の実際
(1)事前指導
- セカンドスクールの活動計画について話し合った。
- ア 県立社会教育総合センター職員をGTとして招き、環境や施設、活動例を話してもらい、セカンドスクールのイメージをつかませた。次に、全体のテーマ、学級テーマ、個人テーマを決めた。
学年全体のテーマ「豊かにかかわろう!心をかわそう!」
- 1組のテーマ 「のびのび自然とふれあい、とことん楽しみ、しみじみ友だちと仲良くするセカンドスクールにしよう!」
- 2組のテーマ 「楽しく学び、楽しく遊ぼう。そして、友だちと協力できる自分になろう!」
- 3組のテーマ 「お互いの成長を感じることができるように協力してたくさんの感動をつくりだそう」
- イ 活動計画を立て、係や当番を決め、活動の準備をした。
(2)活動の展開
(3)事後指導
- セカンドスクールで味わった感動を話し合い、感動を伝える方法について話し合いをおこなった。この学習には、県立社会教育総合センター職員にGTとして参加してもらい、子どもたちが4泊5日の間に成長したことを伝えてもらった。自分の成長をGTに認めてもらったことで、自信を持ったようだ。そして、『感動を伝えるものを作ろう』という次のめあてをもつことができた。
- 次の時間から、1組は、ビデオメッセージ。2組は、5年2組思い出ビデオ、思い出文集。3組は、セカンドスクールニュースを作成していった。できあがったビデオや文集は、県立社会教育総合センター職員、GT、九州女子短期大学の学生、元の担任などに送付した。
3 体験活動の実施体制
(1)学校支援委員会の体制
1.学校内の推進体制
セカンドスクール推進委員会を校務分掌に位置づけ、校長・教頭・5年学年主任・研究副主任で構成し、運営委員会の前に開催した。
2.運営委員会
本校の推進委員、県立社会教育総合センター学習サポート班長瓜生 郁義氏、同指導主事田中 廣志氏、九州女子短期大学講師永渕 美法氏をメンバーとして、運営委員会を設置し、セカンドスクールの実施前に2回、実施後に1回開催した。
3.打ち合わせ会
県立社会教育総合センター職員、5年生担任、九州女子短期大学の学生等で5回打ち合わせ会を開催した。
(2)配慮事項等
- 施設外の活動では、3回下見を行い、夜の活動では、同時刻に下見を行い、安全確保のための体制を検討した。
- 刃物や火を使う場合は、県立社会教育総合センター職員やGT、九州女子短期大学の学生等の協力を得て、5~6名の児童に1名の割合で大人が付いて活動を実施した。
4 体験活動の評価の工夫と指導の改善
- 1日の活動の終わりにふり返りタイムをもうけ、自分のテーマの反省をさせた。
- 体験活動については、各体験毎にふり返りメモに作品の写真を張り、感想を記入させた。
- まわりの人との関係については、ピアサポートの実施や心のノートの記入で自分を見つめさせ、それを交流することで自己成長を促した。
- 事後の活動では、県立社会教育総合センター職員にGTとして学習に参加してもらい、子どもの成長した様子を伝えてもらい、子どもの自信を持たせた。
- 保護者に関しては、セカンドスクール実施後に学年懇談会を開催し、ビデオを写しながら活動の様子を知らせ、感想を述べてもらった。
5 活動の成果と課題
(1)成果
- 自然の大切さ、友だちとの関わりの重要性・協力、家族愛への気づきを高めることができた。
- 自分の成長を自覚させることができた。
- 基本的生活習慣や集団生活のルールを学ばせることができた。
(2)課題
- ピアサポート、道徳の時間の位置づけと、指導方法の検討
- 毎日のふり返りの活動の視点の与え方と、ふり返りの内容を共有する場の工夫
- 子ども自らの課題を追求する活動となるように、事前、事後の活動のあり方の検討