学校の概要
|
体験活動の概要
|
近年、本校の就職希望者に対して、社会の国際化・情報化・サービス化等の急速な進展と、産業構造や求人職種の形態の変化に十分対応できているとは言えない面もあった。この社会情勢の大きな変化の中においても、特に観光科で学ぶ生徒が将来に対する明確な展望を持ち、地元の観光産業及び地域振興への貢献を目指す人材の育成にどのように取り組むべきかが課題としてあげられた。
前年度から、地元(十和田湖町・十和田市)、八戸市、秋田県小坂町の3地域での体験活動を継続的に実施し、それぞれの地域の文化や産業の特徴等を比較検討させる「職場・職業・就業に関わる体験活動」を中心に学習を進めた。その結果、生徒の学習する姿は行動から活動へと徐々に変化が見られていた。生徒はこれまでの活動により、感動する機会が増えたことで確実に変化し成長した。
しかし、前年度実施後の課題として、1職業選択のきっかけとなる生徒が少ない。2地元のみならず広い視野で社会と自分との関係の認識が希薄である。の2つがあげられる。
そこで今年度は、昨年度からの主な活動のねらいに加え、1職業への適性や将来設計について考える機会を与え、職業意識の育成を促進する。2交流地域と地元との文化や産業等の差異を体得し、広い視野で現在の自分と実社会との関係について認識を深める。の2つを補足することとした。
この2つのねらいにも重点を置くことによって、更に自分と社会との関わりに対する理解と認識が深まり、自己の在り方・生き方について考え、主体的な職業選択の能力や高い職業意識の育成が促進されると考えた。また、生徒は社会人と接する機会が増えることで、幅広い世代とのコミュニケーションが必要となり、この能力の重要性を理解することも期待し、以下の指導計画を立てた。
対象学年:観光科3学年(37名)
教育課程上の位置付け:課題研究3年次2単位(総合的な学習の時間に代替できる科目)
学習内容:産業現場等における実習に関連付けた体験活動
「体験活動の名称」時期・活動場所 活動内容 |
期間・日数 単位時間数 |
---|---|
「上級救命講習会」5月上旬・学校内
|
4時間×2日 |
「体験型観光施設スタッフ体験」7月中旬・十和田市の道の駅
|
2時間×2グループ |
「シティホテル業務体験・おみやげ品店スタッフ体験」8月下旬・シティホテル、物産販売センター
|
1泊2日 |
「秋田県小坂町での観光施設業務体験・小坂高等学校と合同でのイベント参加」9月上旬・康楽館周辺、交流センターセパーム
|
1日 4時間 |
「バスガイド・添乗業務研修体験」9月中旬・種差海岸
|
1日 |
各体験学習の実施にあたっては、観光科でこれまでも計画的に実施してきた体験活動現場からの特別非常勤講師を活用した授業を事前指導の時間とするとともに、前年度実施の体験学習からの発展的な活動であることを確認させた。
また、教材等で不足している部分は、科目「観光ビジネス」の授業でパンフレットやインターネットを利用して最新の正確な情報を収集し、自分なりにまとめさせる準備時間として補充した。このことは自ら知識や情報を検索し、正しい内容を取捨選択する能力を育てることにつながった。
体験活動の名称 | 「バスガイド・添乗業務研修体験」 |
---|---|
活動の場所 | 種差海岸(バス車中含む) |
指導者 | バスガイド・旅行代理店職員 |
活動のねらい | 八戸地域の観光資源を学ぶとともに、実践を通して職業意識の育成を促進する |
学習活動 |
|
指導上の留意点 |
|
備考 |
|
自ら積極的に体験活動に参加できたか、学習活動の位置づけに沿って活動できたかなど必ず自己評価させるとともに、生徒間での相互評価も設定した。その中から今までの自分と比較し、自分自身の成長を確認することが次回に向けてのモチベーションの高揚になると考えた。
学校支援委員会には、主な活動地域から3名を学校支援委員として招いた。本委員会は必要に応じて委員を招集し会議を持ち、体験活動の内容・実施場所等について検討し、支援活動をすることとした。体験活動後は新たな課題等に対して意見交換を行い、改善のアドバイスをする。
学校支援委員一覧
勤務先・職名 | 備考 |
---|---|
十和田西高等学校・校長 | 代表者 |
十和田西高等学校・教諭 | 主担当者 |
十和田西高等学校・教諭 | 副担当者 |
十和田湖町役場・観光推進課長 | 地元 |
ホテル総支配人 | 秋田県 |
バス会社管理部次長 | 八戸市 |
今年度実施した体験活動については、特に危険を伴う場所での活動がなかったと思われたが万一の場合に備え、活動の最初に「上級救命講習会」を実施し、安全確保の重要性を認識させた。
また、全生徒が等しく活動できるように次の3点にも考慮した。
評価の観点としては、次の2点を中心に実施した。
当初、計画した主な活動のねらいから外れがちの場面もあったため、次の2点を改善した。
今回この活動を実施しているクラスは、真面目だが今までの観光科の生徒と比べても物静かで自分の考えを人前で発言することを苦手とする生徒が多く、1年次から消極的な傾向があると見られがちであった。これまでも観光科では、体験学習や社会人を講師として迎えての授業は実施していたが、この「豊かな体験活動推進事業(地域間交流)」を機会に2年間継続して、集中的に活動する時間を設けることができた。
その結果として、生徒には活動グループの中でリーダーシップを発揮している者、新たに進路目標に向けての資格取得をめざし主体的に活動する者など積極的な面も増えてきた。生徒の感想の中にも「自分たちで調べ学習したことを実際に現場で体験できたことが、3年間観光科で学んで良かったところである」と達成感や充実感を表し、職業観の意識改革につながっている点が大きな成果としてあげられる。また、このクラスの進路志望調査(9月30日現在)で見れば、37名中、進学18名、就職19名(内公務員6名)で、ほぼ例年並の割合である。進路先内定(10月12日現在)の結果は、公務員を除く就職13名中9名(内3名が県外)が確定しているところである。
しかし、この地域間交流では地元のみならず広い視野で社会と自分との関係を知る時間として、現在の自分自身のスキルを確認できる活動に重点を置く必要も感じている。現状では、まだ職業選択のきっかけになったと感じる生徒も少ない。更に効率良く効果的な指導をするために、3年間通しての継続的・発展的な体験活動となる計画を立てるため、全ての特別授業等を再度検討する必要も生じているなど解決しなければならない課題も残る。
初等中等教育局児童生徒課生徒指導室
-- 登録:平成21年以前 --