地域間交流推進校 【中学校・地域間交流に関わる体験活動】 自然とのふれあいを通して生きる力の育成を 大阪府大東(だいとう)市立大東(だいとう)中学校

学校の概要
  1. 学校規模
    • 学級数:13学級(内養護学級1学級)
    • 生徒数:406人
    • 教職員数:26人
    • 活動の対象学年:2年生・135人
  2. 体験活動の観点などから見た学校環境
    • 大東市は大阪平野の東部に位置し、高度成長期に急速に宅地化した地域である。学校は、公営集合住宅の中にあり、自然環境には恵まれていない。
    • 生活指導が困難な時期があったが、関係諸機関との連携や教職員の努力の中で克服しつつある。
  3. 連絡先
体験活動の概要
  1. 活動のねらい
    • 生徒が生活する住環境は、自然環境に恵まれていないので、学校が意識的に自然体験活動を推進しないと、自然とふれあう機会は少ない。
    • 滋賀県のマキノ町は自然豊かな地域である。地域間交流を通して、生徒が豊かな自然体験をし、そのことを通して豊かな人間性や社会性を育むことを目指す。
    • 地域間交流として、マキノ町立マキノ中学校マキノ町観光協会、マキノ高原民宿組合との交流を推進する。
  2. 活動内容と教育課程上の位置付け
    • 自然体験活動
      総合的な時間 23時間
      理科 2時間
      社会科 1時間
      美術科 1時間
    • 農業体験
      技術家庭科 22時間
    • 職業体験
      総合的な時間 12時間

1 活動に関する学校の全体計画

活動のねらい

平成15年度当初、滋賀県近江八幡市との地域間交流を計画したが変更を余儀なくされ、秋からはマキノ町での交流活動を進めてきた。マキノ町立マキノ中学校の生徒との交流も深め、現地からもらって帰ったコスモスやひまわりの種を育て、自分の学校の環境改善に役立たせた。また、学校近隣の休耕田を借り受けタマネギの栽培に取り組んだ。林間学校を中心に豊かな自然環境のマキノ町での体験活動を推進し、生徒に豊かな人間性と社会性を身につけることをねらいとした。

全体の指導計画

  • 活動の名称 自然とのふれあいを通して生きる力の育成を
  • 実施学年 第2学年
  • 活動内容、教育課程上の位置付け、単位時間等
  活動内容 教育課程上の位置付け・時間
「交流花壇」作り 前年度の交流でマキノ中学校よりもらったひまわりとコスモスの種を植える。 総合的な学習 5時間
たまねぎの収穫 前年度11月に植え付けた近隣の休耕田のたまねぎの収穫。 総合的な学習 3時間
バケツ稲栽培 JAと連絡を取り校庭でバケツ稲の栽培に取り組む。 技術家庭科 22時間
林間学校 登山・農業体験 総合的な学習 15時間
マキノ町の産業について 社会 1時間
里山の自然について
メダカ池作成と飼育
理科 2時間
杉細工 美術 1時間
職業体験 約40カ所の事業所で職業体験 総合的な学習 12時間
車いす・アイマスク体験 校内において、全員が模擬体験 総合的な学習 1時間

2 活動の実際

事前指導

  • 平成15年11月8日(土曜日)事前学習として各クラスの班の代表33名と校長・教諭でマキノ町訪問。マキノ中学校では生徒との交流と共に学校園でコスモスの種を採集し、ひまわりの種と共におみやげとしてもらって帰った。後日、「交流花壇」として大東中学校で栽培を始めることとなった。その後、マキノ町観光協会、マキノ高原民宿組合の方々と顔合わせとあいさつを行い農業体験の第1歩としてキャベツの取り入れ体験を行った。
  • 平成15年11月12日(水曜日)、学校近隣の休耕田を借り、タマネギの植え付けを行った。
    交流花壇の写真

活動の展開

活動内容
4 21 豊かな体験活動推進委員会 発足
「交流花壇」「メダカ池」「バケツ稲」「タマネギ栽培」委員会
林間学校推進委員会
各学級正副委員長含め32名
30 花壇・池作り作業
メダカとホタルの飼育についての学習会
講師 学校協議会委員
メダカと川砂をもらう
5 10 稲のもみを水に浸す
14 バケツの土入れ・苗の移し替え
28 タマネギの収穫とシチュー作り
6 14~16 林間学校 (クラスごと4件の民宿に分宿)
  赤坂山登山、ホタル鑑賞、星の観察、キャンプファイアー
  農業体験 田植え・田圃の草取り、大根とソラマメ取り入れ、リンゴの摘果、サクランボとブルーベリー摘み
保護者あてのはがき記入と投函
マキノ中学校との交流 ビデオ交換・ドッジボール大会
マキノ中学校よりソバの種をもらう

事後指導

  • 林間学校後 班新聞「林間学校版」特集作成
  • 民宿へのお礼の手紙を送付
  • 8月16日 登校日にプールでマキノ産のスイカ割り大会
  • 9月13日 マキノ町へ稲刈り
    林間学校の写真

3 体験活動の実施体制

学校支援委員会の体制

  • 学校には、豊かな体験活動推進委員会を設置し、PTAの支援も受けた。また、学校協議会が豊かな体験活動支援委員会を兼ねることとし様々な支援を受けた。
  • 一方、マキノ町では、マキノ町立マキノ中学校、マキノ町観光協会、マキノ高原民宿組合の協力を得た。
  • 大東中学校区には、地域的な教育力再生を目指す地域教育協議会(幼稚園・小学校・本校・高等学校、校区各自治区、子ども会、青少年指導委員会、民生児童委員会その他から構成)があり様々な活動を行っている。そのメイン活動に大東中学校区約1,000人が集う「ふれあいまつり」があり、そこの一角に観光協会と民宿組合による産地直送の野菜販売の模擬店を設置して好評を得た。また、PTA2年学年委員会の協力も得て「そばうち体験活動」を行った。今後の地域間交流継続の糸口になったと考える。

4 体験活動の評価の工夫と指導の改善

  • 教育課程上の位置付けに基づき、技術家庭科、社会科、理科、美術科の評価基準に照らして評価をする。豊かな体験活動全体として各活動への自己評価表を書かせると共に、感想文・班新聞作り・民宿へのお礼の手紙作り・保護者への手紙作りを通して、自らを振り返り、評価し、自らの課題を見つけ出す自己評価を行った。

5 活動の成果と課題

  • 日常生活では接することのない自然とのふれあい、里山での生活体験を通して、今まで育ち生活してきた地域とは違う環境について学ぶことが出来た。また、宿泊を含めた集団活動を通して自然との関わりを体験できたことも貴重である。この経験が、日常生活のある学校、家庭生活、地域への再認識につながったと考える。
      また、集団活動を通した取組の中で仲間を思いやる気持ちも発揮され、不登校で学校に来ることのなかった生徒が、級友の働きかけの中で結果的に登校するようになったのも成果の一つである。生徒全体の表情が明るくなり、教師との関係も取組以前と比較して良好に変化したように感じる。学習規律の確立などまだまだ課題は多く残るが、体験活動の成果が今後の生徒の学校生活に活かされるものと確信する。
      さらに、地域や支援団体の関係では大東中学校区地域教育協議会等とマキノ町観光協会、民宿組合などの地域ぐるみの交流が可能な関係が構築できたと考える。
    ふれあいまつりの写真

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室)

-- 登録:平成21年以前 --