地域間交流推進校 【中学校・地域間交流に関わる体験活動】 都市部におけるふるさとPR体験活動 岩手県東和(とうわ)町立東和(とうわ)中学校

学校の概要
  1. 学校規模
    • 学級数:10学級(内特殊学級1学級)
    • 生徒数:279人
    • 教職員数:29人
    • 活動の対象学年:三年生・104人
  2. 体験活動の観点などから見た学校環境
    • 東和町は北上山地の丘陵に囲まれた田園の町である。人口約1万1千人。JR釜石線と国道283号線が横断。最近東和インターが開通した。インターのすぐ隣に東和温泉がある。
    • 成島の毘沙門天立像、縄文遺跡群、舘山公園(土沢城址)、本校に隣接する萬鉄五郎記念美術館等が歴史と文化の町を形作っている。
    • 郷土芸能への取り組みをはじめ、さき織体験、和紙づくり体験、無人駅の美化ボランティア体験等にも取り組んでいる。
    • 学校は高台に位置している。春は隣接する舘山公園から鶯の声、夏は蝉時雨、秋は赤トンボの群れと虫の音等、季節感を感じ取れる環境にある。
  3. 連絡先
    • 〒028‐0114
      岩手県和賀郡東和町土沢5区20番地
    • 電話:0198‐42‐4221
    • FAX:0198‐42‐4222
    • 電子メール:towachuu@michinoku.ne.jp
体験活動の概要
  1. 活動のねらい
    • 都市部での体験活動を組み立て、豊かな人間性や社会性を育む。
    • コミュニケーション能力を高める。
    • 人前で臆せず発表できる力を養う。
    • 体験活動を通し、気づいて適切に動ける力を高める。
  2. 活動内容と教育課程上の位置付け
    • 総合的な学習(30時間)及び学校行事(10時間)で実施。
    • ふるさと村で舞う「立石百姓踊り」の練習
    • 事前PRポスターの作成
    • 自分たちの町の調査に基づく観光スポットチラシ、町についてのアンケートの作成
    • お礼のおみやげ作り(ハーブ石鹸・木工キーホルダー)
    • 学校紹介ビデオの作成
    • 東和ふるさと村でのPR活動(立石百姓踊りの披露・もちつき・おにぎり作り)
    • チラシ配付、アンケート調査の実施
    • 神奈川県川崎市立東高津中学校との交流(自己紹介カードを活用してのゲーム交流・学校紹介ビデオの活用)
    • 文化祭での取り組み内容の発表

1 活動に関する学校の全体計画

(1)活動のねらい

  • ア 異なる環境における豊かな体験活動という視点から、農村部で生活している生徒が都市部での体験活動を行なうことを通し、豊かな人間性や社会性を育む。
  • イ 地域の方から指導いただく場面や、製作活動に取り組む場面を設定し実践することを通し学ぶ姿勢、お互いに支えあう姿勢を高める。
  • ウ 活動に関わる人と人との関係を通し、コミュニケーション能力を高める。
  • エ ふるさと村での発表披露、アンケート依頼等の活動を通し、人前で臆することなく、堂々と発表できる力を養う。
  • オ 体験活動に取り組むなかで、気づいて適切に動ける力を高める。

(2)全体の指導計画

ア 活動の名称

  「ふるさとPR体験活動」

イ 実施学年

  第3学年

ウ 活動内容

  • 地域のもつ特色についての調査研究
  • 学校紹介ビデオの作成、お礼のおみやげ作り
  • 立石百姓踊りの習得
  • 東和ふるさと村でのPR活動
  • 神奈川県川崎市立東高津中学校との交流

エ 教育課程上の位置づけ

  • 事前事後の学習は総合的な学習の時間で実施。当日部分は学校行事として実施。

オ 実施期間

  4、5月及び9、10月。総合的な学習の時間(30時間)学校行事(10時間)。そのほか昼休み、放課後等の時間に郷土芸能の練習に取り組んだ。

2 活動の実際

(1)事前指導

ア 神奈川県川崎市での体験活動の組み立て

  東和町と神奈川県川崎市とは昭和63年からリンゴの産直活動を通してさまざまな交流がある。川崎市の小学生が来町してのサマ-キャンプ、川崎市東高津中学校二年生による本町での農家生活体験学習なども行なっている。
  また、本校三年生が修学旅行時に川崎市にあるアンテナショップ「東和ふるさと村」を会場として、東和町を都会の人々にアピールする体験活動、東和町についてのインタビューをする体験活動等を通し、活動のねらいにせまるよう組み立てた。
  また、これまで来町しての交流のあった川崎市立東高津中学校を訪問し、双方向の交流になるよう進めることとした。

イ 東和ふるさと村(産直センター)のイメージつくり及び体験活動の企画

  ふるさと村元村長の町役場農村振興課課長さんから、東和ふるさと村の活動について詳しく説明していただきイメージをもたせることからスタートした。

(2)活動の展開

ア アンテナショップでの活動及びその周辺での活動に向けての取り組み川崎市にある「東和ふるさと村」の場で東和町をアピールするため、郷土芸能「立石百姓踊り」を披露することを企画。

  総合的な学習の時間に地元の方から指導いただいた。それ以外にも、休み時間、放課後等に練習を積み重ね、踊りの習得に励み、当日披露した。

立石百姓踊りの写真

イ 事前PRポスター作り・東和町観光スポットチラシ作り・東和についてのアンケート作り

  • 修学旅行時にふるさと村で郷土芸能披露等のイベントを行なう旨のポスター(大2枚)を作成。ふるさと村に事前に届けて掲示していただいた。

ウ チラシ配付・アンケート調査

  • 「まほろばの里東和」のPRに役立てるため、町内の観光スポットを調べ、東和町観光スポット紹介チラシを作成した。
      修学旅行当日、新丸子駅と元住吉駅、武蔵小杉駅にそれぞれグループに分かれて、東和町観光スポット紹介チラシを配付するとともにアンケート調査を行なった。修学旅行団としての取り組みであることが分かるように、東和中学校の幟旗(学校名と校訓「真理を求め友愛に生きる」が示されている)を使って行なった。
      最初は呼びかけの声も小さかったが、なれるにしたがい、進んで声かけができるようになった。ただしアンケート自体を拒否される場合も多く「都会の人は冷たい。自分も将来都会に住んだらこうなるのかと思うと悲しくなる。」という印象を持った生徒も少なからずいた。

エ お礼のおみやげ作り(アンケートにこたえてくれた人へ)

  • 「ハーブ入り手作り石鹸」作製
  • 「木工キーホルダー」作製

オ 餅つき・おにぎり作り

  • ふるさと村の職員の指導をいただきながら、当日、杵と臼を使って昔ながらの餅つきを行なった。きな粉をまぶし、きな粉餅を作り、お客さんにふるまった。東和米を使っておにぎりも作り東和の味を味わっていただいた。
    餅つきの写真

カ 東高津中学校との交流

  • 今まで東高津中との交流は、農家生活体験学習で来町した時のみ。今回はじめて修学旅行時に訪問し双方向の交流となった。自己紹介カードを活用してのゲーム交流、応援団からのエール、学校紹介ビデオでの相互理解。

(3)事後指導

  体験活動に関わる個人新聞を作成し、生徒たち自身の体験のふりかえり活動を行なうなかで、学んだこと、気づいたことを確認した。
  あわせてテーマにそってグループごとにまとめ、文化祭での発表につなげた。
  東和町と都会を比較するなかで、人々のくらしや住環境の違いなど、ふるさと東和のもつよさについて考えさせた。

3 体験活動の実施体制

学校支援委員会の体制

  町内各学区で教育振興運動に取り組まれている方や民生委員等をメンバ-とし、体験活動の組み立てについて意見交流し体験活動の充実につなげた。
  町教育委員会を通し川崎市にある東和ふるさと村と連携するなかで、活動内容の充実を期した。

配慮事項等

  • 都会地でのグループ別自主行動については、グループ代表に携帯電話をもたせ、安全面、健康面で連絡をとりあいながら実施した。
  • 移動に際しては、ルート、電車賃、所用時間等について、一人でも動けるように事前に調べ確認した。また、安全への配慮を要する場面、箇所をチェックし実施に備えた。

4 体験活動の評価の工夫と指導の改善

  • 一人一人の役割分担に基づく取り組み状況を自己評価するとともに、個人新聞の作成、グループごとのまとめを行ない相互評価につなげた。
  • 困難点もふくめ、見通しをもたせながら、どの生徒も自分の役割を達成し成就感を感じとれるよう、取り組み過程における声がけに配慮した。

5 活動の成果と課題

(1)成果

  • 修学旅行時の神奈川県川崎市での体験学習のテーマは、「外から見た東和のよさを知ろう」であった。
      修学旅行へ行く前の取り組み、当日の取り組み、事後の取り組み(まとめ)など多くの体験を積み重ねたが、それぞれ努力と工夫と根気がいるものであり、相互に協力しあおう、支えあおうとする心の姿勢づくりにつながった。
  • 田園の町、東和の子どもたちが、都会地でふるさとPRの体験活動を行なうことを通し、人と人とのコミュニケーションの大切さを感じ取るとともに、人前で臆せず表現しようとする力、気づいて適切に動こうとする姿勢が培われた。
  • 自然や人情豊かなふるさと東和町のもつよさを再認識できたことは大きな収穫であった。

(2)課題

  • 異なる環境のもとでの体験活動を進める上では、当該地域との綿密な連絡調整が必要になってくる。早期からの準備を進めていきたい。
  • 交流で学びえたものを、日常の生活場面に活かす取り組みを進めていきたい。
  • どういう力を育むためにどういう活動を組み立てるか、という原点に立ち、実施した活動内容を検討し改善につなげていきたい。

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室)

-- 登録:平成21年以前 --