推進地域・推進校 【中学校・ボランティアなど社会奉仕に関わる体験活動】 地域とともに取り組む心豊かな体験活動 沖縄県平良(ひらら)市立池間(いけま)中学校
学校の概要
- 学校規模
- 学級数:3学級
- 生徒数:17人
- 教職員数:12人
- 活動の対象学年:1,2年生・11人
3年生は職場体験学習は行わない。
- 体験活動の観点などからみた学校環境
- 宮古本島の北西に位置する周囲19キロメートル、面積2.79平方キロメートルの馬蹄形の島である。
世帯数384戸、人口773人。
- かつてはカツオ一本釣り漁が隆盛で漁業中心の生活であったが高齢化と人口減少で衰退し、現在は農業や市街地への勤めが多い。
- 平成4年に橋がかかり宮古島本島と往来が自由になったが生活が便利になる中で島内にもポイ捨てゴミ等が見られるようになった。
- 生徒たちは自然環境に恵まれているもののその保護やゴミ問題などの身近な環境に対する関心はやや薄い。
- 島内は雇用の場が極端に少ないため生徒の将来の進路や職業への意識は非常に薄い。職場体験学習はそれらの意識変換の動機づけや進路指導を図る上で有効である。
- 平成15、16年度平良市教育委員会「環境教育推進校」として指定を受けている。
- 連絡先
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体験活動の概要
- (1)ボランティアなど社会奉仕に関わる体験活動
- 活動のねらい
- 島の環境問題に関心を持ち、よりよい環境の保全・創造に主体的に取り組み行動できる生徒の育成。
- 地域住民とともに環境問題を考え、自然を大切にし、ふるさとを愛する気持ちを育てる。
- 活動内容と教育課程上の位置付け
環境TIME〔19時間〕
- ア.530運動(特活4)
- イ.海浜漂着ゴミ調査(総5)
- ウ.廃油石けんづくり(特活3)
- エ.校内美化作業(総2)
- オ.島内公衆トイレ清掃(総2)
- カ.池間大橋クリーンアップ作戦(総3)
- (2)職場・職業・就業に関わる体験活動
- 活動のねらい
- 地域の職業環境を理解し、実際に職場を体験することで職業観と勤労観を身に付け将来の進路選択に役立てる。
- 活動内容と教育課程上の位置付け
- 1、2年生による3日間の職場体験学習の実施〔18時間〕
- 2月2日~4日の3日間1、2年生による職場体験学習を行う。生徒の希望職業調査により市内8事業所の協力のもと実施する。
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1 活動に関する学校の全体計画
総合的な学習の時間は100時間〔毎週水2時間、金1時間の3単位で実施〕
環境TIME〔19時間〕
(1)活動のねらい
- 様々な環境問題に対して関心が持てる生徒の育成
- 環境に対して、豊かな感性をもつ生徒の育成
- 自分の責任や使命を理解し、積極的に行動できる生徒の育成
- 実践活動に必要な知識・技能を身につけ、家庭や地域社会で活動できる生徒の育成
(2)全体の指導計画☆印が体験活動時数
- 活動の名称「環境TIME」と計画
学期 |
月 |
時数 |
取組の名称 |
1 |
4 |
総1 |
環境TIMEガイダンス |
5 |
☆(体験活動時数)特活4 |
530運動 |
6 |
☆(体験活動時数)総5 |
海浜漂着ゴミ調査 |
7 |
☆(体験活動時数)総3 |
廃油石けんづくり |
2 |
10 |
総6 |
環境(エコ)探求学習発表会 |
11 |
☆(体験活動時数)総2 |
校内美化作業 |
12 |
☆(体験活動時数)総2 |
島内公衆トイレ清掃 |
3 |
3 |
☆(体験活動時数)総3 |
池間大橋クリーンアップ作戦 |
- 実施学年 第1学年~第3学年
職場体験学習〔18時間〕
(1)活動のねらい
- 個々の生徒がしっかりとした職業観、勤労観を身に付け、主体的な進路選択自己の将来の生き方を考える手だてとする。
- 働く人々と実際に関わることでその職業のやりがいや規律、礼儀作法を学ぶと共に働くことの楽しさ、生きがい、厳しさに気付く。
- 自分の住む地域社会における職業環境を理解し地域を見直す機会にする。
(2)全体の指導計画
- 活動の名称「職場体験学習」
- 実施学年 第1・第2学年(11人)
指導計画全34時間のうち体験活動は18
月日 |
取組内容 |
時数 |
12月19日 |
生徒の職場体験希望調査 |
特活1 |
1月7日 |
オリエンテーション |
総合1 |
1月12日 |
事業所への受け入れ願い |
総合2 |
1月14日 |
名刺作成と職業調べ |
総合1 |
1月12日 |
履歴書作成 |
総合1 |
1月21日 |
業者担当との日程調整 |
総合1 |
1月25日 |
業者担当の打ち合わせ |
総合2 |
2月1日 |
最終打ち合わせと出発式 |
特活1 |
2月2日~2月4日 |
☆職場体験学習本番 |
☆総合18 |
2月9日 |
作文、お礼状 |
総合2 |
2月16日 |
体験新聞づくり |
総合2 |
2月18日 |
アンケートとまとめ |
総合2 |
2 活動の実際
(1)事前指導
環境TIMEとしての6月の環境月間を前に取り組みのガイダンスを行い、内容とねらいを確認する。スタートとなる530運動については生徒会役員とともに島内のゴミの不法投棄箇所をチェックし島民へのボランティア参加を呼びかけて、環境月間取り組みへの動機づけを図る。
(2)活動の展開
ア.「530運動」池間島クリーンアップ作戦第一弾 (特別活動4時間)
- 6月の環境月間を前に全国的に行われている「530運動」を主体的に計画し実施。
- 島内の美観を損ねている場所を生徒とともに調査し、前浜(マイバイ)の護岸下への不法投棄地域を地域住民(約100人参加)と一緒になってボランティア清掃を行う。
- 清掃に先立ち、地域の親子ラジオ放送で生徒会より広報活動を行い協力を呼びかける。
- 回集したゴミは市の清掃センターへ地域ボランティアとともに搬出する。
- 海、海岸への不法投棄の現状を訴える機会となった。(新聞報道)
イ.「海浜漂着ゴミ調査プログラム」池間島クリーンアップ作戦第二弾(総合5時間)
月日(曜日) |
単元時数 |
時間 |
学習活動(生徒) |
先生の支援用意するもの |
スナップ |
6月9日(水曜日) |
総1 |
50 |
「海浜漂着ゴミ調査」プログラム 事前ガイダンを行い4年連続の海浜漂着ゴミ調査についての意義を確認し、積極的な活動を促す |
来る18日の海浜漂着ゴミ調査の連絡。 |
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6月16日(水曜日) |
総1 |
50 |
ひげ先生の書簡 「漂着ゴミ 海岸線の今をおって」を資料活用した事前学習=学校 |
海浜漂着ゴミ調査の意義を理解させる。興味・興味、関心の喚起 |
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6月17日(木曜日) |
道1 |
50 |
総合的な学習の時間と横断させた教科
- 領域面での環境に関する単元の授業
道徳(全学年)「飛べアホウドリ」
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【道徳】 環境保護に取り組む姿勢、使命感を養う |
6月18日(金曜日)
9時30分
9時45分
11時45分
12時30分 13時45分 |
8時40分 総1 |
45 |
平良海上保安署署長による講義
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平良海上保安官による講義 ワークの用意 |
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移動 |
15 |
準備とカギンミ浜への移動 |
学校車で移動 |
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総1 |
約120分 |
☆ 体験活動 カギンミ浜の清掃
- 島の北東にあるカギンミ浜に打ち上げられた漂着ゴミを回集し、ゴミの種類に応じた分別と数量をチェックする。
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- ※ 安全管理手袋必着
- ※ 健康管理
帽子、タオル
- ※ 水分補給(熱中症)
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総1 |
総1 |
総1 総1 |
45 45 |
集計記録 写真撮影 漂着物アート作品づくりのためのウキなどの水洗い |
【美術】関連 |
ウ.「親子廃油石けんづくり」(総合3時間)
- 各家庭から出る廃油をリサイクルし、石けんづくりを実施
- 講師は母親委員に務めてもらい親子共同で製作
エ.「島内公衆トイレ清掃作戦」池間島クリーンアップ作戦第三弾(総合2時間)
- 池間島内にある公衆トイレを5グループにわけ全校生徒で清掃
- 観光客が多数訪れる池間大橋側のトイレや周辺清掃も行い、使用心得などのポスターを掲示。
オ.「池間大橋清掃大作戦」池間島クリーンアップ作戦第四弾(特別活動4時間)
- 島のシンボルともなっている池間大橋の清掃を行う。3月16日予定
(3)事後指導
1学期の体験活動をもとに2学期は10月31日(日曜日)に「環境(エコ)探求学習発表会」を実施。グループで環境問題に関するテーマを設定し、課題を追求していく中で体験活動と各教科・領域等で身に付けた知識や技能が相互の関連づけられた総合的な学習へと深化させる。
3 体験活動の実施体制
(1)学校支援委員会の体制
- 地域環境教育推進委員会(PTA会長、整美部長、自治会長、子ども会会長、漁協組合長、漁協婦人会長、老人クラブ会長、校長、教頭、研究主任、地域連携部)を組織し、530運動や島内クリーンアップ作戦等の環境TIMEへ協力していただいている。
- 平良海上保安署、市の生活環境課、市栽培漁業センターとの協力し連携する。
(2)配慮事項
- 日本体育学校健康センターの傷害保険のほか市教育委員会の保険を活用する。
- 危険が伴う体験活動における保護者、地域の方へは予め学校側で傷害保険加入をしている。
4 体験活動の評価の工夫と指導の改善
身につけたい力と観点別の具体的項目をのせた総合的な学習の時間の「個人支援カルテ」を活用し、支援教諭と各項目に関して自己評価やアドバイスを通して評価を行う。
5 活動の成果と課題
(1)生徒のアンケート結果から
質問 次の各項目に、はい、いいえで答えなさい。→はいと答えた割合をパーセントで表示
1.自分は環境問題に関心が高い |
2.道路や海にゴミを捨てるのは許せない |
3.ゴミを分別して捨てている |
4.一人一人の努力で地球環境は救える
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(2)成果(変容)
- 総合的学習を中心に教科、領域を網羅した学習と地域と密着した体験活動が結びつき、全項目で環境問題への意識が高まっている。最初のアンケート実施時には、生徒自身が空缶のポイ捨てをしたり、地域の不法投棄にも無関心であったが身近な問題としてとらえ、環境TIMEでのボランティア清掃なども自分たちで企画し実践する等積極的にかかわるようになった
- 座学から抜け出した体験活動において生徒が積極的になり、「環境(エコ)探求学習発表会」では各グループが創意・工夫を凝らし、地域住民への環境問題への提言を行うことができた。
- 学校での環境問題の取り組みが地域に浸透し、地域住民の関心が高まった。
(3)課題
- 環境TIMEにおける体験活動事業の開拓。地域環境推進委員会の定期的開催の他、地域人材バンクの登録者を増やし、より充実した体験活動を推進する。
- 事前、事後の指導の他、評価等に要する時間の確保。
- 2年次計画に向けて、教育課程への位置づけや教科への関連づけを充分練り上げた上で年間計画を作成する。