33.明治安田生命相互保険会社「愛の声かけ・配食運動」

分野:福祉

  • 会社が支援する社員ボランティア活動として、高齢者や障害者に食事を作り届けるサービスや、高齢者を招いて食事をとりながら交流するサービスを行っている事例である。
  • 東京本社でボランティア登録を行なうが、活動は全国30ヶ所で実施しており、各地域のボランティア団体等と協力して活動できるようにコーディネートしている点が特徴である。

1.主体活動団体・活動行事

  明治安田生命相互保険会社「愛の声かけ・配食運動」

2.関係者・関係団体

  全国老人給食協力会、ふきのとう

3.活動のきっかけ・問題意識

  当社は2004年1月から旧明治生命と旧安田生命が合併した会社で、「愛の声かけ・配食運動」は旧明治生命時代から引き継いでいる活動である。
  90年代前半まで、「ボランティア活動は、本来、個人が自発的に活動するもので、会社が主導すべきものではない」という考えの下、社員のボランティア活動支援を行ってきた。
  確かにそれは理想ではあるが、実際には、社員の大半は、会社の行動指針を見ながら個人の活動のあり方を判断することが多い。
  「社員の自主性に任せる」というだけで会社としての指針を明確に示さないのは逆に社員のボランティア活動を消極的にしてしまっている可能性もある。
  そのため、多数の社員が安心してボランティア活動を実施できるよう、経営方針に沿った「戦略的社会貢献」(特に地域の高齢者福祉の支援)であり、かつ「社会における市民」としての社員の自立を促進するためのボランティア支援策として、1995年4月より「愛の声かけ・配食運動」をスタートすることとした。

4.事前準備として行った主な取り組み(企画段階)

  会社が支援する社員ボランティア活動として、常務会(経営会議)で承認を得た(1995年2月)。
  まずは、プログラム策定のためのフィージビリティ調査活動を実施。配食サービスの専門家や経験者等を交えた委員会を設置、研究に取り組み、福岡・広島・京都・函館・札幌における配食サービス・ボランティア活動の現状を調査した。これは、地域における配食サービス・ボランティアを実践するためのネットワークづくりの基礎となった。
  各地で配食サービス・ボランティアを実施している団体等との協力関係を構築するとともに、社員やその家族にボランティア参加を呼びかけた。
  96年前半までに20名程度のボランティアを確保し、これを足がかりとして96年9月、「愛の声かけ・配食運動」を正式に発足し、全国に通知、登録ボランティア募集を開始した。

5.活動の概要(活動段階)

  • (1)全国30ヶ所にて、本社登録した社員・配偶者等のボランティアが、高齢者や障害者に食事を作り届けるサービスと、元気な高齢者を招いて手作りの食事をとりながら交流を楽しんでもらうサービスを提供している。
  • (2)東京本社(広報部)にてボランティア登録、希望者が地元のボランティア団体等と協力して活動できるようにコーディネートしている。
  • (3)会社がボランティア保険の保険料を負担している。
  • (4)活動は、全国各地の支社・営業所ごとに、それぞれの地域の状況(協力先やボランティア個人の意思等)に即した内容・方法で実施している。
      金沢では、女性営業員が単独で手を挙げ、独自に「明友金沢ボランティアの会」を組織化し、10名程度のメンバーと活動している。
  • (5)社員ボランティアへの直接的な支援ではないが、市民参加型の配食サービス団体に対して「配食サービス団体助成制度」を設置し、毎年、全国老人給食協力会の審査に基づき、資金助成を行っている。

6.事業の成果

  転勤族、特に主婦にとっては、ボランティア活動を通して地域の人たちとのつながりができるなどの効果が見られる。
  「愛の声かけ・配食運動」のボランティア登録制度をきっかけに、社員の自発的なボランティア活動(独自の団体設立等)を喚起し、地域社会との交流・貢献をそれぞれが出来る範囲で実践し始めた(社員や家族の地域参画のきっかけづくりができた)。

7.活動にあたって留意したこと

  営業所や支社単位など、組織を動かして上意下達的にボランティアを募集しても、組織に問題が生じたときに、ボランティア活動は二の次になってしまう。
  ボランティア活動は、組織的に行なうのではなく、地道に粘り強く「自主的な」意思で社員や家族が参画できるような取り組みを行なうことが大切である。

8.活動後の評価・今後の課題・展開など

  登録しても必ずしも条件がそろわないことから、登録者全員がボランティア活動できているわけではない。
  職員のボランティア促進という視点で見れば、果たして「配食運動」だけでよいのか、検討する必要もあろう。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --