32.塚原の雑木林を守る会(富士ゼロックス株式会社)

分野:環境保全

  • 富士ゼロックス株式会社塚原研修所にある、同社所有の雑木林の保全活動に取り組む事例である。
  • 富士ゼロックス株式会社員だけの取り組みではなく、社員とOB、地元住民・町内会等が連携して「塚原の雑木林を守る会」を設立した点が特徴である。

1.主体活動団体

  塚原の雑木林を守る会(富士ゼロックス株式会社)

2.関係者・関係団体

  富士ゼロックス塚原研修所、富士ゼロックス及び関連会社社員・OB、地元自治会、消防団等

3.活動のきっかけ・問題意識

  塚原研修所(神奈川県南足柄市)の西北側には約1,000坪のスギ・ヒノキが植えられた所有林があったが、その隣の畑に日が当たらないため、上端部を伐採した。
  しかし、林本来の姿を取り戻すことも重要であるとの考えから、地域全体が協力して、畑の環境を良好に保ちつつ、林を守る活動をすべく、グループ社員・OB、そして地元自治会・町内会等に呼びかけてボランティアを募り、2002年11月に「塚原の雑木林を守る会」を立ち上げた。

4.事前準備として行った主な取り組み(企画段階)

  財団法人日本自然保護協会主催「自然観察指導員講習会」の講師や神奈川県自然環境保全センターの方々のアドバイスを得ながら、冬になると葉が落ちて畑に日が当たるような落葉広葉樹(コナラ、クヌギ等)を中心に、どのような樹木が適切かを検討した。
  そして、今後、15年~20年かけて、周辺環境に配慮し地域と共存できる雑木林として修復する計画を立てた。
  その計画(伐採と植林、里山の育成等)を実践するためのスタッフとして、社員(グループ含む)・OB、地域住民等にボランティア参加を呼びかけた。

5.活動の概要(活動段階)

  • (1)社員・OBのほか、地元自治会・町内会、消防団関係者等、約20名が中心となって、2002年11月より活動開始。
  • (2)第1次計画:研修所の保有する土地の1割にあたる約3600平方メートルにて実施。
    • 2003年3月に植樹祭実施(約1,100本を植栽)。
    • 伐採には県内NPOの協力を得た。
    • 枝払い、伐採林の移動、下草整理等の作業をボランティアが実施。
  • (3)植樹後は、近隣に住む「守り人」が交代で苗木の生長を見守るとともに、ボランティア等による雑草取りなどの作業を実施。
  • (4)第2次計画:東南側のヒノキ・スギ林の130本を伐採し、低木を中心に植栽、さらに西北側~東側の約3,500平方メートルの草原を1,100本程度の雑木林に拡大する計画。

6.事業の成果

  活動スタートから2年が経過し、研修所の一部を利用した狭い環境でも、地域の人々や社員ボランティアによって環境保全活動に取り組めるモデルができつつある。

7.活動にあたって留意したこと

  まずは安全第一に心掛けている。植樹地が高台であるため、転落事故が起こらないよう、活動のスタートにあたり、防護フェンスの敷設や階段の補強などをまず実施した。
  また日常の作業にあたっては、経験豊富なメンバーから鎌やナタなど用具の使用や作業方法などについての指導を徹底している。
  さらに万が一に備え、活動日毎に会社が全参加者にボランティア保険を掛けている。

8.活動後の評価・今後の課題・展開など

  雑木林になるまで少なくとも20年近くかかる活動であり、さらにその先の維持に為にはボランティアメンバーは常に新しい世代の参加が必要となる。また全てをボランティア活動に任せるだけでなく、会社としても参加者募集などの組織的なバックアップを継続的にしたい。
  地元の方々とコミュニケーションする機会がまだまだ少なく、植樹などの作業以外でも、四季折々の自然観察会への参加などを呼びかけていきたい。
  当初計画にあった2次植樹予定地が将来の研修施設拡張の対象になる可能性が発生し、グランドデザインの変更を余儀なくされた。研修施設内の限定された活動であり、会社とボランティアの情報・意見交換は常に密接にする必要がある。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --