30.明海大学 学生支援室

分野:まちづくり

  • 大学の副専攻・キャリアアッププログラムとして、実際の活動実施を含んだボランティアの授業を設置している事例である。
  • 浦安市から40を超えるボランティアのメニューが提供され、そこから学生が自由に活動を選択することができ、また活動終了後には市から「活動証明書」が発行されるなど、市が大きくバックアップしている点が特徴である。

1.主体活動団体

  明海大学 学生支援室

2.関係者・関係団体

  浦安市

3.活動のきっかけ・問題意識

  2001年度より副専攻・キャリアアッププログラムとして、「ボランティア活動A・B」を設定した。当初は稼動していなかったが、授業内容を検討するため2002年度に「ボランティア活動推進専門委員会」を設立し、その推進のための施設の一つとして授業内容の具体的な検討に入った。
  従来から浦安市に同校の活動内容の相談を行っていたことが功を奏し、2002年10月に「明海大学学生の社会貢献活動の推進に関する協定書」を浦安市と締結し、市の紹介を通じた学生ボランティアの受け入れ先が実現したことから2003年度より「ボランティア活動A」の科目を本格的に開講した。

4.事前準備として行った主な取り組み(企画段階)

  ボランティア活動に対する単位認定を本格的に開始する前に、当時の1年生を対象にボランティア活動及びボランティア活動に対し単位認定をすることについての関心の有無についてアンケート調査を実施した。7割の学生から関心を持っているという回答を得たことで、単位認定の基準を定め2003年度から単位認定に踏み切った。

5.活動の概要(活動段階)

  「ボランティア活動A」のカリキュラムを履修している学生は現在約50名。そのうち2004年度に単位を修得した学生は16名である。単位修得の条件は、1事前の講習会(90分かける2)を受講していること、24年間の間で40時間以上の活動を行なうこと(この活動時間については受け入れ先担当者が認定)、3活動の日誌を受け入れ先担当者に提出すること、42の条件を満たした後、レポートを提出すること、5ボランティア活動報告会(年4回開催)に参加すること、である。
  また、ボランティア活動終了後、浦安市から「活動証明書」が発行される。
  現在浦安市から提供されたボランティアのメニューは特別養護老人ホーム、保育所、公民館などの29施設、42メニューであり、そのメニューの中から学生が活動したいものを選択する方式となっている。
  2004年度の学生の活動実績は42件であり、うち28件が完了、10件が継続中、4件が調整中である。また、5件が中止となった。

6.事業の成果

  市民との連携という意識が高まり、2005年度より学内にボランティアセンター(仮称)を設置し、ボランティアに関する情報提供の他、地域と共同した防犯・防災の活動の拠点づくりへと広がっている。浦安市内の4つの高校と同校とで学生防犯ボランティアの活動も始まる予定である。
  活動終了後の学生のレポートや報告会を通じて学生のボランティアに対する意識が非常に高まっていることが認識されている。
  2004年11月から12月にかけ、国際ボランティア、災害、地域との連携に関する特別講演を行い、1,000名以上の出席者があった。出席者を対象にアンケートを行い、新潟県中越地震被災地復興支援活動に興味のある学生を抽出した。彼らに向け情報発信を行い、2月26日~3月7日の日程で中越地震の被災地に行き、仮設住宅の除雪等のボランティア活動を行なうことになった。この活動には30名以上の学生が参加する。
  学生支援室業務の柱の一つとしてボランティア活動が認知されてきている。

7.活動にあたって留意したこと

  受け入れ先と学生とのマッチングに非常に留意している。市との協定に基づくボランティア活動に応募した学生に対して、「ボランティア活動推進専門委員会」の委員が個別面談を行い、学生の活動に対する意識や心構え、マナーの指導を行っている。また、受け入れ先にも担当者を決めてもらい、受け入れ側からも車いすの使い方など活動の際に必要な知識等の事前講習を実施してもらっている。
  市との協定ということで、学生が希望した時期にボランティアを必要としない施設が無理に受け入れている場合もこともあることから、各施設の事情にあった無理のない受け入れを各施設に委員が回って伝えた。
  大学において通常の委員会のメンバーは各学部から人数が割り振られて構成されるが、「ボランティア活動推進専門委員会」では福祉関連に知見のある、あるいは意識の高い教員を厳選してメンバーになってもらうなどの配慮をした。

8.活動後の評価・今後の課題・展開など

活動にあたって障害になったこと

  特に障害となるものはないが、市と大学との連携によるボランティア活動ということで、特に各施設の利用者に対しトラブルが発生しないよう配慮することが求められている。委員会による学生個別面談は2004年度から開始しているものであり、前年度の反省から導入された。このように模索しながら活動を進めている状況である。
  ボランティア活動は無償であり対価を得ないものであるという観念が根強い中では、その活動を推進する一策として単位の認定を導入することに関し、大学としての考え方を明確にする必要があった。大学ではこの単位認定を学生が学生時代に貴重な経験を得るための「動機付け」とするとともに、真摯な活動に対する正当な評価であると位置づけている。

事後評価について・今後の展開・課題

  一般的に、大学生および大学に対する地域の評価は低くなりがちであるが、活動を通じて地域の評価・期待が非常に高まったと感じている。
  2005年度より「ボランティア活動B」のカリキュラムを開始する予定である。初期段階としてはCIEEの海外ボランティアのメニューを利用した活動となる予定である。
  国内でのボランティア活動においては、今後浦安市との連携事業だけでなく民間の団体との連携を図り、活動の幅を広げていく意向である。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --