29.麻布大学 環境保健学部村山ゼミ「淵野辺ボンバイエ」

分野:イベント・交流

  • 麻布大学の学生が地元商店街のイベントに参加してきた経緯から、参加型交流イベントである「淵野辺ボンバイエ!」を企画・運営している事例である。
  • 大学生、子ども、地域住民のほか、NPO・NGO、市民活動家、企業、行政など様々な主体が参加し、地域との連携をテーマにしたプログラムを展開している点が特徴である。

1.主体活動団体・活動行事

  麻布大学 環境保健学部村山ゼミ「淵野辺ボンバイエ」

2.関係者・関係団体

  相模原市、NPOサポートセンター、相模原市・町田地域連携方策研究会

3.活動のきっかけ・問題意識

  麻布大学は、1890年に東京都港区南麻布に設立され、1947年より現在地である相模原市淵野辺に移転している。獣医学校として設立された同校は獣医学部、環境保健学部を有し、環境教育に注力してきた大学である。
  同大学の学生は、従前より地元地域の活動に参加してきた経緯がある。具体的には、以下のような活動がある。

  1. 淵野辺駅周辺商店街主催の地域住民の交流イベント「ふちのべ銀河まつり」で実施されるごみ分別ボランティアを、同大学環境政策学科の学生と小学生とが共同して行った。
  2. 商店街のナイトバザールで缶バッチの販売やストリートパフォーマンスで参加することで大学生と地元の学校、商店街とのつながりが深まってきた。

  地元のNPO、学校、企業が相互に連携し活動していくことがまちづくりや環境対策には必要であるとの考えは以前より持っていたが、これらの活動を通じて、相互理解が深まり、さらなる活動への意欲となったことが、2003年5月に開催されたイベント「淵野辺ボンバイエ!」へとつながった。

4.活動の概要(活動段階)

  村山ゼミの有志が主催し、参加型交流イベントである「淵野辺ボンバイエ!」を企画・運営している。
  このイベントは学生、子ども、地域住民、NPO・NGO、市民活動家、企業、行政が集い、新たな交流・新たなつながりを創ることによって、参加者一人一人が新たな可能性をみつけること目的とした交流イベントである。
  「淵野辺ボンバイエ!」という名称は、楽しんで参加でき、また勢いのあるイベントの雰囲気を表している(『ボンバイエ』とはアフリカの言葉で、「敵を倒せ」とか「やっちまえ」という意味で、プロレスラーのテーマソングやイベントに使われ、広く知られている。地域を知らない子ども、子どもを知らない学生、学生を知らないNPO、NPOを知らない地域、このような負の連鎖を生み出す『無関心』という敵を倒し、新しいつながりを紡ぎたいという思いからイベント名として使用している)。
  「淵野辺ボンバイエ」は2003年5月に第1回目が開催され、第2回目は2005年1月に開催された。
  イベントの趣旨は第1回、第2回ともに同様で、いずれも村山ゼミの有志の主催であるが、第1回で実績を作っての2回目のイベントは、参加者も増え、内容的にも充実したものとなっている。
  なお、第2回目のイベントに関わった学生は40人。村山ゼミ以外にもごみの分別を行なうボランティアサークルのメンバーが協力している。
  第2回目のイベントでは以下のような取り組みが行われた。

  • NPO、大学、行政の関係者が話し合う「大学地域連携プラットフォームシンポジウム」
  • 学生と商店街との活動を紹介する「淵野辺スライドショー」
  • エコツアーに参加した子どもたちが中心となって行なう「子供エコ探検ツアー報告会」
  • 参加各団体のブース展示

  すべてに共通するのが、地域との連携をテーマにしたプログラムであるということである。それに加え、麻布大学と青山学院大学の学生が歌や踊り、ジャグリングを披露するステージパフォーマンスやゲーム等のエンターテイメントも行われ、イベントに華を添えている。

5.事業の成果

  目に見える成果としてイベントの規模の拡大があげられる。第1回目では企業等の参加は一切なかったが、第2回目の参加団体は相模原・町田大学地域連携方策研究会の他NPO・NGO等14団体、企業4団体、教育関連7団体と全26団体がブース出展するに至っている。
  また、参加する学生も増えている。主催する麻布大学だけではなく、近隣の桜美林大学や青山学院大学の学生が、「淵野辺ボンバイエ!」に参加している(なお、これらの学生は地元商店街のナイトバザールなどにも参加するようになっており、そちらもひとつの成果と捉えている)。
  来場者は、第2回目の本イベントで230人。商店街での「ふちのべ銀河まつり」等で小学生や親に「なぜごみの分別が必要なのか?」を具体的に説明してきたことで目的意識を持った活動へ変化し参加者が大幅に増えたことも要因のひとつである。このことからは、小学生自身が自発的にプルトップを集め福祉団体への寄付を企画するなど他の活動にも広がりを見せている。
  活動が認められ、相模原市と大学の補助金により商店街の空き店舗を利用した学生のコミュニティスペースが確保され、交流の場となっている。活動の場が与えられたことで、環境問題への取り組みを実践することができるようになった。
  また、教育的側面からは、イベント等の活動において学生が外部と積極的に交流するだけではなく、責任のある活動を行なうことで、非常に成長したと感じている。

6.活動にあたって留意したこと

  この事業は、「学生たちの自主的な活動」という点が最も重要な要素であり、あえて教員側から手を貸したりはしないようにしている(実際には「淵野辺ボンバイエ!」には村山ゼミの学生が全員参加しているが、あくまで個々の自主的な活動であることから、「有志」によるイベントとしている)。
  但し、学生自身が楽しんでできる活動であることは、周囲からは単なる遊びに見える場合もあり、地域や関係団体などの「大人」の理解が得られないケースも生じる。そのような場合には、活動の意義や目的を積極的に説明するという支援を行っている。

7.活動後の評価・今後の課題・展開など

活動上の課題

  資金面で多少苦労した部分もあるが、障害には至っていない。第一回目の開催時には文部科学からの支援を受けるなど、運営面で工夫する等で解消している。したがって特に障害となったことはない。
  但し、NPO団体等との関係においては、学生を「無償の労働力」として利用する、という考えを持つ団体もあり、そういった考えを払拭することに時間がかかっている。

今後の展開

  平成17年6月には企業、大学、市民、行政が参加する環境フォーラムの開催、また平成18年度には相模原市に「環境情報センター」の設置がそれぞれ予定されており、「淵野辺ボンバイエ!」のイベントをきっかけとして地元における環境意識の高まりが具体化されつつある。
  特に「環境情報センター」は、今後学生ボランティア活動のインターンシップの場となることが期待でき、今後学生の活動の場が広がっていくことが予想される。
  あくまでも教育の一環としての活動であり、学生が環境に対する取り組みの場を確保し、実践を通じて環境への意識を高めることが大切である。
  学生が主体となるイベントでは、どうしても継続性に難が生じがちである。「淵野辺ボンバイエ!」についても今後の継続は未定であるが、指導する教授の立場からは、イベントが継続することより、学生の意識が継続し、社会人になっても環境やまちづくりの意識を持ち続ける効果が得られればよいと考えている。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --