分野:まちづくり
こうちTMO(高知商工会議所)エスコーターズ
高知商工会議所、高知女子大学、行政(高知市)
エスコーターズ事業に賛同した各商店街(帯屋町1丁目・帯屋町2丁目・大橋通り・壱番街・京町・新京橋・おびさんロード・はりまや橋の各振興組合、中の橋協同組合)
TMO(タウン・マネジメント・オーガニゼーション)とは中心市街地活性化法に基づく「街づくり機関」で、高知商工会議所がその役割を担っている。
中心部を活性化する方策として商工会議所が地元の高知女子大学に呼びかけ、平成13年4月「エスコーターズ」を組織、中心部の商店街の清掃等の活動を開始する。学生をまちづくりの仲間として位置づけるが、基本活動に対しては手当を支給する。そのため当初は単なるアルバイト感覚で参加する学生もいたが、活動を通じて学生の意識が高揚し、手当てを支給する時間外にも様々な街づくりに関する活動に寄与するようになった。
現在、エスコーターズは高知女子大学のサークル活動としても公認されている。
街づくり機関であるTMOとして、中心部の商業活性化事業を総合的に立案したTMO構想を策定、エスコーターズ事業はその一環として企画された。
エスコーターズは学生アルバイトとボランティア活動の両面を持っている。うち、手当てを支給する範疇は、毎週日曜日に行なう中心部商店街の清掃、案内等の活動と、そのための接遇研修への参加、その他運営会議で認められた事項である。
現在は活動に関する大半の時間がボランティアとしての活動となっている。具体的には以下のものがある。
当初、清掃、案内活動を行ってきたエスコーターズの学生の意識が、商店街や行政などまちづくりを実行する方々や、市民との交流を通じて高揚し、積極的にボランティア活動を行なうようになったことが最大の成果である。活動を通じて学生の成長も見られている。
エスコーターズの活動自体はマスコミ等を通じて大きな話題となり、高知県知事が活動に参加するなど、中心商店街のPRとしては大きな成果となっている。
また、エスコーターズが活動を行なうことで、中心商店街に対して市内で活動している団体から注目が寄せられ、活動の場として中心市街地を選択したり、エスコーターズに協力を呼びかける声が高まったことも成果といえる。
単にボランティアとして呼びかけるのではなく、基盤となる活動は対価を支払い、活動の中で街づくりへの参加意識を醸成していくことを心がけた。
ボランティアとしての活動については、自主的な参加はもとより、他所からの呼びかけに対応することも多いが、学生の自主性をできるだけ重視するようにしている。
こうちTMO(商工会議所)ではエスコーターズを「有償ボランティア」と認知しているが、活動の当初は一部に賃金が発生することがボランティアの原則から外れるとして、全ての活動を否定するような受け取られ方をされることも少なくない。必要以上に「美談」化して報道などがなされることもその一因である。そのことに起因して、現在では多くの団体からボランティアとしての協力の要請が来ているが、中には学生を「無償の労働力」程度に考えているものも少なくなく、学生が参加する事業を選択することを心がけている。
TMOとして活動に公的な補助を受けているが、将来的には活動そのものが自立するために、地元商店街が費用を負担できる形を確保した。しかし、学生を指導、サポートすることができる人材が重要であるため、その役割を担う人材の発掘が最大の課題である。
また、マスコミで話題になったことから、学生の側にも目立ちたいというような意識で活動に参加する者も見られるようになっているため、意識の醸成と教育は欠かすことのできないものだと考えている。
生涯学習政策局社会教育課
-- 登録:平成21年以前 --