27.北海道医療大学 ボランティアセンター「ゆうゆう24」

分野:福祉

  • 地元にボランティア活動の拠点を設置する必要性から、町の中心商店街の活性化も兼ねて空き店舗を利用したボランティアセンターを設立し、学生に対し福祉分野を中心としたボランティアの斡旋などを行っている事例である。
  • 学生の自主性が培われセンター外での活動を行なう学生が増加したり、社会福祉士の資格取得の意欲が高まって合格率が向上するなどの成果が得られている。

1.主体活動団体

  北海道医療大学 ボランティアセンター「ゆうゆう24」

2.活動のきっかけ・問題意識

  ボランティアセンター設立のきっかけは当別町の現町長が就任する際に、北海道医療大学横井教授が、町長に対して町内にボランティアの拠点を設置することの必要性を説き、働きかけを行ったことによる。
  同大学はそれまでも、看護福祉学部として実地体験の必要があることから、ゼミの活動やサークル活動を通してボランティア活動を行っていたが、活動場所は当別町にはなく、札幌市や江別市等、近隣の町を対象としていた。
  人口2万人の町に1,000人の学生がいるにも関わらずまったく交流がない状態であった町は、学生の活動を社会的資源として活用することで地域の活性化につながるのではないかという意識を持つに至る。この背景には中心商店街が衰退化し、何からの形で活性化が必要と模索されていたこともあった。町は補助金を支出、地元に活動拠点である「ボランティアセンターゆうゆう24」を設置、2002年5月から活動を開始している。

3.活動の概要(活動段階)

  センターに登録したボランティア希望の学生に対してボランティアを斡旋している。
  空き店舗を利用したセンターでの活動の他、地元の介護施設やデイサービス、小学校など活動の場は非常に広い。そのため活動内容も障害児を預かるレスパイトサービスを中心としながらも、教育委員会等と連携した児童や高齢者との交流の橋渡しや、介護施設でのボランティアなど多岐に渡っている。
  代表的な活動内容は下記のとおりである。

  • (1)障害児の家族支援の一環として障害児の一時預かり(レスパイトサービス)
  • (2)知的障害者のためのオープンカレッジセミナー
  • (3)当別町の「地域教育力活性化事業」及び小中学生に対する福祉教育
  • (4)福祉施設の行事の支援
  • (5)当別町母子通園センターでの介護補助
  • (6)高齢者デイサービス

  また、大学からの実習の受け入れの場としての機能を果たしており、2004年度より実習費として大学から委託料を受けている。

4.事業の成果

  現在の登録者は約330名、設立当初の200名は看護福祉学部の学生がほとんどであったが、現在はうち3割程度が歯学部・薬学部等の学生となっており、学校全体に活動が広がっている。2003年に「特色ある大学教育支援プログラム」に認定されたことが寄与しているものと見ている。
  レスパイトサービスの利用時間も、長期休暇中のメニューを整備したことで2003年度200時間に対し2004年度は1,000時間と拡大している。
  これらの活動の結果、学生の自主性が培われており、センター外での活動を行なう学生が増えてきた。また、社会福祉士の資格取得に対してもその必要性を実感できることから、全国平均では3割程度の合格率だが同大学では約75パーセントと非常に高まっており、資格取得への意欲の向上に大きく寄与している。
  これらの活動は、2005年3月よりNPO法人を立ち上げ、より拡大する形で引き継がれることとなった。活動が地元で認められ、運営の基盤ができたためである。今年卒業する学生を含め4人の職員が従事する予定となっている。人員を確保することは、活動にとって非常に重要なことであると同時に、地元に雇用を創出するという面でも、大きな成果と言える。

5.活動にあたって留意したこと

  学生のセンターへの登録は1年次から可能であるが、1年生には介護・福祉に関する知識が十分ないことから、一般教養に介護・福祉に関する授業を設け、知識とスキルの向上を図るようにしている。
  ボランティア活動は人同士の信頼関係の比重が高い。すなわち、属人的な要素が強いということであるが、学生が行なう活動である以上、卒業による引退、交代は避けられない。そのことによって利用者の信頼を失わないよう、4年生が引退する秋に向けて、4月から引継ぎを開始し十分な対応ができるような体制を整備している。
  なお、センターが行なう事業の中で、レスパイトサポートに関しては小額ながら1時間あたり400円の費用を徴収し、これをバイト料として学生に支払っている。これは、教育の側面から、あえて有償にすることで、ボランティアといえども責任の発生する「仕事」に就いているという自覚を促すためである。

6.活動後の評価・今後の課題・展開など

活動にあたって障害になったこと

  事業立ち上げ時の費用面の苦労が最大の障害であった。
  空き店舗を利用した活動ということで当別町から家賃援助として3年間に限り年間96万円の補助を受けていたが、センターの改装、運営にかなりの金額がかかることから、それだけでは不足であったためである。対策として、地域住民や大学、日本財団等から寄付や補助金を集め、費用をまかなった。また大学内においても教授、職員に対して会費という形で資金集めを行った。

事後評価について・今後の展開・課題

  ボランティアセンターも地域のコミュニティの場として機能しており、地元の住民からは非常に高い評価を得ている。
  読売新聞北海道版でユニークな大学の活動として取り上げられ、また日本テレビの24時間テレビでの町民が3,000人参加したイベントへの支援等、社会的な評価も高くなっている。
  現在は介護を必要とする障害者を持つ家族への支援を目的とした活動が中心となっているが、NPO法人ができたことでその幅を大きく広げることが可能となった。今後は障害の有無に関わらず子どもを持つ家族に対する支援を行っていきたいとしている。
  正規の職員がいることで町の各団体とより密接に連携して活動することを目標としている。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --