分野:イベント・交流
沖縄尚学高等学校 地域国際交流クラブ
地域国際交流クラブの活動に至るきっかけは、顧問である与座教諭の授業である。与座教諭はJICA(ジャイカ)国際協力事業団(現 独立行政法人国際協力機構)の海外開発青年(現在は日系社会青年ボランティアと呼称)第8期生として、中南米日系社会の活性化を目的にアルゼンチンで活動した経験を持ち、そうした体験や国際交流についての話題を授業で紹介することも多かったため、それに興味を示す生徒がいた。
最初の活動は、数人の学生が授業を通じて興味を持ち、近隣の浦添市にあるJICA(ジャイカ)の沖縄国際センターを見学に出かけたことである。それがきっかけとなり、国際理解セミナー、ODA民間モニター報告会という国際交流に関するイベントに積極的に参加することとなる。
このような活動の中で、活動を正式にクラブ活動化しようという意見が生徒の中から生まれ、その結果、2000年1月に正式にクラブ活動として認可、活動を開始することとなった。
クラブは当初、「地域国際交流研究クラブ」という名称で発足している。現在のクラブ名に「研究」が加わっていのは、学校教育の一環として、生徒の学ぶ機会を重視し、研究活動を行おうとする意図があったためである。
当初の部員数は10名。最初の活動は、沖縄フィリピン協会の協力を得てフィリピンについて研究を行なうものだった。単に研究に終わらず、尚学高校の学園祭でパネル展を実施、同時に募金活動を実施、アルゼンチンの民族料理の模擬店を出店しての収益金を合わせてフィリピンのスモーキーマウンテンに寄付を行った。
その後、「地域国際交流クラブ」は3年生の引退もあり、部員がわずか1名に減少するようなこともありながらも、活動を維持。在日韓国人、在日外国人の問題等を研究する活動を続けていく。
活動が転機を迎えるのは、2001年に沖縄県の主催で実施された「第3回 世界のウチナーンチュ大会」である。これは海外移民の多い沖縄県ならではの大会で、海外の県系人を結びつけ、世界的なネットワークを形成することを目的として、1990年に第1回が開催され、継続的に行われているものである。そのプレイベントである移民の子弟を対象とした「ジュニアスタディツアー」の歓迎イベントを沖縄尚学高校地域国際交流研究クラブが全面的に請け負い、大成功を収めた。
このことから、活動を通じて生徒が成長することを実感、実践できるクラブ活動とするためにクラブの名称から「研究」を省き、現在の「地域国際交流クラブ」として、積極的に校外活動を行なうこととし、活動を行っている。
正式な部活となる前には、沖縄国際センター、国際理解セミナー、ODAモニター報告会等の施設やイベントの見学と、事前研究を任意のグループとして行った。
地域交際交流クラブは現在部員数41名で活動している。既に引退している3年生が30名いるので、クラブ活動としてはかなりの大人数である。
2001年度~2004年度の活動は以下の通りである。
また、この他、地域の観点を重視するというスタンスから、沖縄の伝統芸能や諸外国の民族舞踊にも取り組んでおり、交流活動などの際の発表や、義援金造成の際の公演に役立てている。
これらの活動の経費や、寄付を行なう際の資金の調達は、活動の根幹を成す重要な課題である。
日々の活動資金については、クラブ活動費として学校から支給される額の他、学園祭での模擬店(民族料理の提供)の収益の一部を活動費に当てている。しかし、校外活動が増えるとそれだけでは足りないため、活動費の多くは自己負担となり、多くの生徒の保護者が負担している。
それ以外には、企業等の理解による現物支給での寄付などもあり、沖縄本島以外で活動する際に航空運賃や宿泊費の減額等の協力が得られる場合もある。
義援金の拠出の際には、校内での募金活動や、場合によっては外部からの募金を募る場合もある。特に、公演による義援金の収集はクラブの技法として確立しつつある。地元の市民ホールを借りて父兄や卒業生、地元企業等に広告の出稿、チケットの購入の協力を要請し、資金を作る手法である。
ブラジル・アルゼンチン沖縄県人移住95周年のチャリティー公演ではこの手法で当初の目標を大幅に上回る70万円の寄付が可能となった。
高校の部活動で行なうボランティア活動であるため、活動を通じて社会の役に立つだけではなく、その経験が生徒の成長につながることが重要である。
そのため、どの活動についても事前の研究に時間をかけることを意識している。
クラブの活動については、学校も校長が旗振り役を勤めるなど、協力的である。校外活動の中でも療養施設との交流などは、受け入れ先の都合により平日しか活動できない場合があるが、その場合にも参加した部員を公欠扱いにするなどの措置が取られている。
後述する各種の表彰や、マスコミでの紹介などは学校の評価をも高めるものであるため、学校の理解は進んでいる。
なお、受賞した表彰は以下のとおりである。
現状の活動のチャンネルを維持しつつ、(観光の風評被害のような)時事的に発生する課題に対応できる体制を作っていきたい。現在も既にスマトラ沖地震に対する支援活動を開始している。
高校での取り組みでは生徒は常に入れ替わっていくものである。そのため、活動の承継は何より大切なことだと位置づけている。
生涯学習政策局社会教育課
-- 登録:平成21年以前 --