17.大森工業高等学校

分野:福祉

  • 工業高校の技術力を生かして、車いすのメンテナンスや、玩具の修理などを行っている事例である。
  • さまざまな世代との関わり合いや地域社会とのつながりを持つことが、生徒の自信向上や視野の広がりにつながっている。

1.主体活動団体

  大森工業高等学校(2005年4月より大森学園高等学校に名称変更)

2.関係者・関係団体

  財団法人 日本社会福祉弘済会
  おもちゃ病院連絡協議会

3.活動のきっかけ・問題意識

  平成9年に東京都のボランティア推進協力校として登録したことから生徒会が中心となって活動を開始した。ボランティア推進協力校として登録していない学校が大田区内では同校が最後であった。
  工業高校としての技術を活用するため、当初車いすを作ろうという意見が生徒の間からあがったが、製造物責任法が施行され車いすの製造は難しくなったことから、特別養護老人ホームが利用する車いすのメンテナンスを始めた。
  平成12年に同校の活動を知った日本社会福祉弘済会から声がかかり「空飛ぶ車いす」事業への参加が決まった。

4.事前準備として行った主な取り組み(企画段階)

  特別養護老人ホーム、おもちゃの病院への訪問を行った。おもちゃの病院に関しては、学校での実施前は品川消費者センターに訪問して取り組んでいた。

5.活動の概要(活動段階)

(1)車いすのメンテナンス

  近隣の大田区立特別養護老人ホームで使用されている約100台の車いすのメンテナンスを引き受けている。

(2)「空飛ぶ車いす」事業への参加

  全国の工業高校が参加して、車いすを発展途上国に届ける運動「空飛ぶ車いす」事業に参加して車いすを提供している。

(3)おもちゃの病院

  学校と近隣の児童館、公民館等で壊れたおもちゃを直す「おもちゃの病院」事業を展開している。また関連した事業として、インターネット上で公開する「おもちゃの病院教科書づくり」事業も展開している。

(4)インターネット無料体験教室

  近隣のお年寄りを対象にインターネットの無料体験教室を実施している。
  (1)から(3)の活動は生徒会主導で行われており、毎年活動参加者を募集している。車いすのメンテナンスは24名、おもちゃの病院は20名が参加している。(4)の活動はPC部が行っており、部員数は10名となっている。

6.事業の成果

  車いす、おもちゃなどの修理を通じて自分の技術を人に見せる機会を得ることで、生徒の大きな自信につながっている。
  幼児や高齢者と触れ合う機会が増え、生徒の世界が大きく広がった。
  インターネット無料体験教室はPC部が「自分たちも何かがしたい」ということから始めた活動であり、生徒会のボランティア活動が広がりを見せた。平成11年から開始している活動であるが、40人の募集に対して200人の応募がある等大きな反響があった。
  車いすや幼児などへの意識が高まり、生徒の視野が広がった。
  空飛ぶ車いす事業で平成15年に同校が修理した車いすの台数は52台。現在集計中であるが、平成16年には大幅に伸びている。

7.活動にあたって留意したこと

  特別養護老人ホームへの訪問の際には、外部から人がやってくることが入居者の負担になるとの配慮から、入居者の目に触れないように会議室で作業をしていた。年に1度の夏祭りの準備の手伝い等を通じて少しずつ活動が知られるようになったことで、現在では入居者の部屋に直接タイヤの空気を入れに行くなど、良好な関係を築いている。

8.活動後の評価・今後の課題・展開など

活動にあたって障害になったこと

  特に障害は感じていない。私立校ということと、校長がボランティア活動に理解があることから、予算の確保も公立高校に比べて恵まれている(ボランティア推進校として3年間10万円の補助金、その後大田区の社会福祉協議会で延長の手続きを取り2年間補助金を受けていたが現在では終了している)。
  空飛ぶ車いす事業に関しては、同校から空港まで1台当たり輸送費2,000円がかかるが、「空飛ぶ車いすを応援する会」ができたことで負担が軽減された。
  修理したおもちゃの受け渡しをどこで行なうかが問題となったが、学校の事務局が全面的にバックアップしている。

事後評価について・今後の展開・課題

  新聞やTVの取材も頻繁にあり、周囲からは非常に高い評価を得ていると感じている。
  今後もこれらの活動を継続していくこととしている。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --