16.長浜観光ボランタリーガイド

分野:まちづくり

  • 我が国における観光ボランティアガイドの先進的な事例である。
  • 単にボランティアガイド会員が観光客に情報提供を行なうだけでなく、観光資源でもある長浜の伝統文化の保存、まちづくりにも会員が積極的に参加している点が特徴である。

1.主体活動団体

  長浜観光ボランタリーガイド協会

2.関係者・関係団体・活動場所

主催者・主催団体

  長浜観光ボランタリーガイド協会

協力者・協力団体

  長浜市 社団法人長浜観光協会ほか

ボランティア参加者・参加団体

  一般住民

活動場所

  長浜市を中心とする湖北地域

3.活動のきっかけ・問題意識

活動に至る経緯

  長浜市は滋賀県北東部に位置し、戦国時代には長浜城の城下町、江戸時代には大通寺の門前町、北国街道の宿場町、生糸や浜ちりめんの商工業都市、明治時代に入ると陸運と水運の要衝として栄えてきた。近年では古い町なみを活かし、ガラス製品を中心とした黒壁スクエアなどの新しいな観光資源を核として、観光のまちづくりも盛んである。
  長浜観光ボランタリーガイド協会の設立は、昭和58年に長浜城が再興されたことを契機に行なわれた。当時パンフレットやサインなど観光案内の環境が必ずしも十分でなかったことから、市内の文化財などを観光客によりわかりやすく紹介することを目的として市民と行政とで検討を重ね、翌昭和59年に長浜観光ボランタリーガイド協会が設立されている。この当時、観光ボランティアは全国的にも少なく先駆的な取り組みであった。
  ボランティアは市民から公募による会員制をとっており、設立当初のボランティアガイドは40名程度であったが、近年では70名近くにまで拡大している。

4.事前準備として行った主な取り組み(企画段階)

事前準備

  発足に向けた準備段階では、ボランティア参加者への研修として長浜の歴史や文化に関する講座を合計6回実施した。その後も新人会員をターゲットとした講座(現会員も聴講可)を6回程度実施している。年によっては、話し方や接遇などに関する講座を実施したこともあるが、基本的には接遇に関するスキルは先輩ボランティアから学ぶことが多く、講座は長浜市の歴史・文化の学習を中心にしている。
  ボランティアガイドとして活躍するためには、事前にこれらの研修を受ける必要があるため、ボランティアガイドの新規募集は随時行なうのではなく、例年春に行い5~8月頃にかけて講座を開催している。
  講座の他、他地域の観光ボランティアや長浜の歴史とも関連の深い地域への視察研修も年数回実施している。

活動資金・資材の確保

  運営費用は会員からの会費(年会費1,000円)と長浜市からの補助で行われている。

5.活動の概要(活動段階)

1.観光ガイド

  69名(平成14年度末時点)のガイドが長浜市を訪れる観光客に対する観光案内を行なう。ガイド希望者は事前にFAXで日時や希望訪問先などを伝え、これに沿った形でコースを設定し案内する。
  平成元年からは定期観光バスのガイドも行っている。
  ガイドの費用に関しては、案内料は無料であるがガイドの交通費として1,000円を負担してもらっている。

2.奉仕活動

  昭和63年から、市内の文化財や駅周辺などの清掃活動を行っている。

3.他の事業への参加、交流

  長浜市や長浜城歴史博物館などの実施する事業への参加、協力や、会員の持つ知識を活かして長浜を紹介するマスコミの取材に協力を行なうことなどを積極的に実施している。また、地元小学校と連携し、課外授業で長浜の歴史を学ぶ際に、同行してガイド活動も行っている。

4.研修活動

  ガイドとしての知識のさらなる獲得のため、先に挙げた新人会員の養成講座のほか、月例の研修会や関連団体が主催する講座に参加している。

6.事業の成果

  長浜市を訪れる観光客自体が増加したこともあり、会が発足した昭和59年時点では出動人数265名、案内人数2,917名(会員数40名)であったものが、平成15年では出動者人数965名、案内人数36,900名(会員数65名)に達しており、会員数、出動人数、案内人数ともに順調に増加している。

7.活動にあたって留意したこと

  単に観光案内に徹するのではなく、会員は長浜市のまちや文化の振興に積極的に参加することを重視しており、清掃活動や市の事業などへの積極参加などの具体的な取り組みも積極的に行なっている。
  また、ガイドに関しても地域の言葉を大事にしたり、ガイドブックに掲載されていないような穴場を紹介するなどして、プロのガイドとの差別化を図っている。
  安全に関わるようなアクシデントはこれまで発生していないが、ボランティア保険には全員加入している。

8.活動後の評価・今後の課題・展開など

  活動開始から20年が経過し、以下に挙げたような課題が見えてきている。

  • 観光ガイド(特に乗車ガイド)が休日に集中すること
  • 会員によってガイドに参加できる回数が偏ってしまうこと
  • 外国語を話すガイドの需要が高まっていること
  • 観光客にも歴史・文化に精通した方が増え、ガイド側もさらに研鑚を積む必要があること
  • ボランティアガイド養成講座を受けた方が必ずしもガイド登録していないこと

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --