8.スノーバスターズ

分野:福祉

  • 豪雪地帯の岩手県沢内村において、住民がスノーバスターズを結成し地域の高齢者宅の雪かきを行なっている事例である。
  • 地域の極めて重要な課題に対応すべく始まった取り組みであるが、近年では他地域の住民からのボランティア参加にも取り組んでいる点が特徴である。

1.主体活動団体

  沢内村スノーバスターズ

2.関係者・関係団体・活動場所

主催者・主催団体

  沢内村スノーバスターズ

ボランティア参加者・参加団体

  一般住民

活動場所

  沢内村内

3.活動のきっかけ・問題意識

  沢内村は秋田県との県境、日本でも有数の豪雪地帯に位置する人口約4,000人の山村である。冬季には1日で数十センチも雪が積もる日もあるため、特に高齢者世帯などの雪かきは大きな問題となる。
  平成2年からは、沢内村の青年会活動として一人暮らしの高齢者宅の雪かきをはじめた。平成5年には社会福祉協議会が実施していた「地域福祉座談会」において、高齢者にとって雪かきが重労働であるという話題がでたことが具体的なきっかけとなり、青年会活動をより組織的に行なうことをねらいとし、「スノーバスターズ」の結成に至った。

4.事前準備として行った主な取り組み(企画段階)

  村内を10班に分け班長を決定する。活動日は第一日曜日としているが、雪が多く降った場合はこの活動日以外にも雪かきを行なう必要があり、班長の判断により出動する。
  雪かきを希望する世帯を把握するために、民生委員と連携し雪かきが必要な世帯を把握できるようにしている。

5.活動の概要(活動段階)

参加者の状況

  現在の活動者は村民が約130名であり、うち89名が一般住民、他は中高生、知的通所授産施設の所生である。
  また、村外からも150名~200名程度が参加している。村外からの参加者は近隣の北上市盛岡市などの住民、高校生などが多い。また、岩手県職員のボランティア組織ハーティネットワークが月1回参加している。最近は、どこかでスノーバスターズの情報を聞き参加してくる方も増えている。
  平成15年度には沢内村民と都市部の学生との交流を目的とする事業を立ち上げ、その中で東京の学生を招き雪かきを体験してもらった。また、知的通所授産施設ワークステーション湯田・沢内で企画している吹雪体験ツアーに参加する都市住民に雪かきを体験してもらっている。

村外参加者への配慮

  雪かきのスコップの使い方には慣れが必要であるため、初心者が行なう場合には班長他2~3名が指導役として着くようにしている。
  村外参加者にはインセンティブとして、湯田町、沢内村からなる西和賀地域では地域通貨「わらび」を発行しており、村外からのボランティア参加者は1時間につき100わらびを得ることができる。獲得したわらびは地域内の商店、宿泊施設などで利用できる。なお、わらびはスノーバスターズに限らず他のボランティア活動に参加した場合にも獲得できる。
  なお、除雪の必要がない場合でもスノーバスターズの班員や郵便局員で対象世帯を訪問し、見回り・安否確認を行っている。

6.事業の成果

  地域住民にとって共通の重要な課題を扱っていることから、主催者側が細部まで段取りを行わなくても、各班長のもとで主体的に活動がなされている。参加者にとってボランティア、地域への参加の“入門”として位置づけることができ、地元中学生や村外からの参加も多い。村外参加者でも、特に近隣市町村からの参加者には毎年参加している方も少なくない。
  青年会で実施していた時期に比べ、事務局機能が強化されたことから、村外参加者をどの班に配置するかなどをスムーズに対応できるようになった。

7.活動にあたって留意したこと

  安全面への配慮と、民家に傷をつけないことを最重要視し、以下のようなルールを設定している。

  • 屋根の上の雪かきは危険なため、ボランティアは屋根には登らせない
  • 3月は村外からの参加者は積雪状況によって受け入れを見合わせる事もある
  • 軒下に入る時は頭上を注意して活動を行なう
  • 道路の横断に留意することを徹底する

8.活動後の評価・今後の課題・展開など

活動後の評価

  年1回、集約会議を開催し、問題点・課題を討議している。

今後の課題

  村外の参加者が増加する一方で、村内の参加率が低下する傾向がある。人口そのものが減少傾向にあり、村民(特に高校生)の参加促進は大きな課題になっている。
  スコップなどの消耗品を更新する資金も課題になっている。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --