7.あじさいの会「さくら弁当」

分野:福祉

  • 外出することが困難な高齢者に対して、地域の有志が手作り弁当の配達サービスをボランティアで行っている事例である。
  • 高齢者にとっては、栄養バランスを配慮した作り立ての手作り弁当を手軽に食べられるだけでなく、配食サービスを介したボランティア会員との交流が心の拠り所となっている。また、地域にとっても、配食サービスを介して高齢者の目配りができるという利点がある。

1.主体活動団体・活動行事

  • あじさいの会「さくら弁当」

2.関係者・関係団体・活動場所

主催者・主催団体

  あじさいの会

協力者・協力団体

  横浜市並木地域ケアプラザ

活動場所

  横浜市並木地域ケアプラザ(平成17年度からは横浜市富岡東地域ケアプラザにて活動予定)

3.活動のきっかけ・問題意識

活動のきっかけ・背景・活動のねらい

  コープかながわからの助成金の下、現代表の芦川氏を含めた50名程度が福祉講座を開催したことが活動に至るきっかけとなった。その後、福祉講座で得た知識を活かして何か活動をおこしたいと考えた10名によって、給食・配食に特化したボランティアグループ「あじさいの会」が平成3年に発足することになった。
  並木地区は団地が多く、また並木地区以外の区内は坂の多い地形のため、一人暮らしの高齢者や介護を必要とする高齢者にとって外出することが大きな負担になっている。出前や従来の配食では、栄養バランスが偏ったり、料理が冷えてしまったりするという問題があった。そこで、介護や在宅生活が必要な高齢者に対して、バランスの取れた温かい家庭料理を食べてもらうことを狙いとしたボランティア活動を始めるに至った。

4.事前準備として行った主な取り組み(企画段階)

活動の経緯・連携・協力

  発足当時は主に民生委員を通して独居老人の申し込み情報を得ていた。現在は横浜市並木地域ケアプラザの組織である並木地域支えあい連絡会の構成員(ボランティア・民生委員・ケアマネージャー・金沢区社会福祉協議会・福祉保険センター、並木地域ケアプラザの職員から構成される)から、手助けの必要がある高齢者の情報を知ることができる。さくら弁当の配達希望者も民生委員やケアマネージャーを通して募ることができる。

活動団体の概要

  会員55名のうち調理担当者は45名、配達担当者は10名である。このうち運営に関わる者は10名程度である。年会費は1,000円である。

募集方法

  地域情報誌やホームページにボランティア募集の情報を掲載している。口コミによる入会希望者も多い。

活動資金・資材の確保

  年間130~140万円程度の予算で活動している。主に食材の調達、弁当箱などの備品の購入に使用している。なお、会費だけでは活動が困難であり、予算のうち約30~40万円は、横浜市社会福祉協議会、よこはまあいあい基金、善意銀行、赤い羽根共同募金などからの助成金である。

5.活動の概要(活動段階)

活動内容・参加者

  毎週水曜日、昼食用に、希望のあった高齢者(特に虚弱高齢者)に継続して弁当を販売している。弁当は主食、主菜1品、副菜2品、汁物、デザートをすべて手作りで、材料の調達から調理、配達まで、すべて会員によって無償でなされている。配達もすべて会員の自家用車で行っている。販売価格は1食500円で、四角いお重に詰め、ポットに温かい汁物を入れ、花と手紙を添えて渡している。お弁当箱の回収は次週に行っている。
  配達の際、一人暮らしをしている高齢者の安否の確認や健康状態の確認の役割も担っている。応答がなく渡せなかった時や、表情や反応などに気付いたことがあった場合は、横浜市並木地域ケアプラザに連絡を取っている。
  なお、さくら弁当の総責任者となる“担当者”が毎週1名決められており、配達希望者の取りまとめから、材料調達、調理、配達のすべての過程で中心的な役割を担う。“担当者”は運営に関わる会員10名が順番に担当している。

6.事業の成果

活動による効果

  日頃話す機会が少ない在宅の高齢者にとって、配達員との会話は心の拠り所となっており、感謝の手紙を数多くもらっている。弁当も高齢者向けの食材や味付けなどがとても好評である。

7.活動にあたって留意したこと

活動に関して

  高齢者が不足しがちな栄養素を考慮し、食べやすい食材の選択や味付け、調理の仕方について配慮している。

安全面に関して

  食中毒などの脅威があるため、在宅支援総合保険に加入している。

8.活動後の評価・今後の課題・展開など

活動にあたって障害になったこと

  調理を行なうボランティアの人数は足りているが、運営に関わるボランティアが不足している。運営に関わる会員は現在10名弱であり、年々負担を感じるようになってきている。
  また、調理では、現ケアプラザの調理室や器具が多量の料理を作るのに向いていないため、時間内に作れる弁当数(36食程度)が限定されてしまう。常時5、6名の利用希望者が待機していて、2、3ヶ月程度待ってもらっている。ただ、少しでも希望者の要望に応えたいと思い、年々配食数は増やしている。

事後評価について

  数年前、弁当の価格を400円から500円に変更する際、配食サービスを受けている高齢者に対してアンケートを行ったことがある。その際に得られた料理の大きさややわらかさについての意見や、食品アレルギーに関する情報などを現在も有効に使っている。なお、調理・配達後に“担当者”を中心として昼食をかねた反省会を行っている。

今後の展開・課題

  今後の展開としては、平成17年4月から、富岡東ケアプラザの調理室にて50食を目標とした体制を作ることを考えている。
  また、今後の活動に向けて後継者育成が課題となっている。若い世代の会員は仕事や育児の合間を縫ってボランティア活動を行っているために、運営側の仕事は避けることが多い。そのため、後継者が育たず、今後の活動に不安がある。リーダーシップを発揮してあじさいの会を引き継ぐ人材を求めており、若い世代のボランティアへの積極的な参加をどのように促していくかが課題である。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --