6.高島平地区小地域ネットワーク

分野:まちづくり

  • 東京都板橋区の高島平地区において、学校を主な活動場所にしながら地域の美化や趣味活動の支援、イベント、学校支援活動などの多様な活動を行なっている事例である。
  • 高齢者の声かけに端を発しながら、最近ではボランティアの地域通貨や「わがまち大江戸舞いまつり・高島平」実行委員など、地区住民の参加を促し、助け合いや地域教育の活動を自ら創出し発展している点が特徴である。

1.主体活動団体

  • 高島平地区小地域ネットワーク

2.関係者・関係団体・活動場所

主催者・主催団体

  高島平地区小地域ネットワーク

協力団体

  高島平第二中学校、大江戸ダンス特定非営利活動法人

ボランティア参加者・参加団体

  主に高島平地区住民

活動場所

  主に高島平第二中学校

3.活動のきっかけ・問題意識

活動に至る経緯

  高島平地区小地域ネットワークは、かつてからの製造業の集積地に近年大規模な新興住宅が整備された板橋区高島平地区において、地域の誰もが安心して暮らせるまちづくりをめざし、地域の美化や趣味活動の支援、イベント、学校支援活動などの多様な活動を地区の住民が主体で行なっている。
  高島平地区小地域ネットワークが現在の活動形態をとる以前から、団地の一人暮らしの高齢者への声かけなどの活動を行なっていたが、必ずしも十分な成果をあげるには至らなかった。その理由として、居住する高齢者がそれぞれ固有の意識やライフスタイルを有していることがあり、この結果、訪問しても敬遠されたり、拒否されたりということが続いた。
  この経験を踏まえ、「こちらから訪問することのではなく先方からドアを開けて来て貰う」ことに発想を転換し、救急救命士講習会やピッキング対策講座、そば打ちなど、高齢者の方にも関心を持ってもらえそうな公開講座や、学校近くの沿道に花を植えるなどの活動に取り組み、高齢者にも参加を呼びかけた。これが現在の活動スタイルの出発点となっており、リフォームや陶芸など様々な活動へと発展してきている。
  その後、学校が完全5日制に移行したこともあり、活動場所である高島第二中学校の生徒と連携した活動が活発化され、学校や生徒だけでなく地域社会にとっても大きな成果を挙げている。

4.事前準備として行った主な取り組み(企画段階)

  高島平地区小地域ネットワークでは、会の目的や活動を会員で共有することを重視し、18条からなる会則の作成に力を入れた。特に、以前の活動の反省を踏まえ、目的や会員心得、活動体制において、互いに「近づきすぎないこと」が念頭に置かれている。
  また、活動の当初から社会福祉協議会と連携しながら活動を推進している。地域住民が主体となってボランティア活動を行なうに当たって、社会福祉協議会と連携が図られていることは、参加者に信頼感を与えるという効果もあった。

5.活動の概要(活動段階)

活動内容・参加者

1.しゃべる倶楽部

  沿道の花壇づくりを行なうもの。誰でも参加しやすく、目に見えわかりやすい活動であり、高齢者から高島二中、高島二小の生徒・児童、幼児まで世代を超えた共同作業を行っている。

2.コンピュータクラブ

  もともと高島二中の生徒を対象に設けられたクラブであったが、地域の高齢者を迎えてサポートする定期講座を週1回、開催している。

3.カーペンターズ倶楽部

  地域の大人が高島二中の生徒をサポートして行なう、学校施設、とりわけトイレなどの軽微な補修活動である。公共施設を大切に扱う心や、自律した考え方を身につけることにも寄与している。

4.にこにこ硬式テニス倶楽部

  地域のテニス愛好家をコーチに迎え、高島二中の生徒を中心に約40名が参加している。

5.陶芸クラブ

  陶芸窯を中学生と地域のお年よりとの交流に活用することを目的に開設された。平成14年度では高島第二中学校の30周年記念に、箸置きを生徒延べ90名と共に製作した。また、平成15年7月開催の「高島平・大江戸舞祭」の際には生徒とともにカレー皿を製作した(本祭は「完全ゴミ無し祭」を目指しており使い捨ての容器を使用していない)。

6.リフォーム倶楽部

  以前にリフォーム公開講座として開催されたが、参加者の要望により倶楽部として発足した。地域の1級洋裁師資格の保有者や洋裁店経営の経験者が中心となり、服のリフォームが中心に行われている。

7.人材バンク

  会員の人的ネットワークを活用した人材バンク。登録者は30名を超え、平成14年度には、高島第二中学校における生徒を対象にした地域講座に講師として会員が参加。職場体験や職場訪問の受け入れも実施している。

8.「ふれあいのまちづくり・協力施設」

  高齢者のための、ひと休み・トイレ拝借・緊急時の対応を、店舗や商店の皆さんに依頼しているもの。板橋区社会福祉協議会と連携し現在8店舗。

9.「にこにこカード」

  エコマネーにヒントを得て、思いやりや感謝の気持ちを地域通貨「にこ」の受け渡しを通じて目に見える形に表現するもの

10.「わがまち大江戸舞いまつり・高島平」実行委員

  わがまち大江戸舞いまつりは、中学生を主役とする祭りを通じて子どもたちが地域社会の中で連帯感を醸成し自立した人間を形成する場をつくることをねらいとして、平成12年頃から東京で始まっている祭りである。
高島平地区小地域ネットワークでは、高島平で大江戸舞祭りを行なうことを企画し、平成15年以降実行委員として活動している。この祭りのため地域の様々な主体と連携し、参加者に振舞うカレーづくりや炊事場所の提供、皿の提供(陶芸クラブ製作)、なども併せて行なわれた。

6.事業の成果

  各クラブとも中学校、地域を巻き込んで安定して活動が行なわれている。

7.活動にあたって留意したこと

  会則を明確に設定し、その下で参加者の主体的な取り組みを重視している。
  中学校を活動の場とし中学生を巻き込んだことにより、それを見て育つ小学生にも大きな影響を与えることができる。一方、会の運営に当たってできるだけ学校に負担をかけないように配慮している。学校に教育に有用な資源を提供する一方で、学校に守ってもらえる良好な関係を構築することに配慮している。
  活動が盛んになるにつれ外部の様々な組織から働きかけがあるが、外部との間には、オープンな関係を構築することを意識している。ものなどを無償で受け取るとその後の活動に制約が出る恐れがあるためである。

8.活動後の評価・今後の課題・展開など

  活動の評価は月1回定例の会を持っており、ネットワーク会員の意見交換、事務局・外部への要望として集約されている。
  わがまち大江戸舞いまつり・高島平の実行委員を行なう前には、発足当初の熱心さからやや新味が失われつつある時期があり、実行委員を行なうことで会に新たな風を吹き込むことができた。このような外部との交流による活性化は常に求めている。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --