分野:教育
伊万里市民図書館
現在の図書館の設置を願う市民活動が契機である。
それまでの小さな図書館に不満を持つ、子どもを持つ母親を中心とした市民が、もう一歩進んだ図書館サービスを望むために「図書館を学ぶ会」を結成。わずか5名で結成されたグループは急速に参加者を増やし、短期間で150名に至った。「学ぶ会」は昭和61年に「図書館づくりを進める会」となり、図書館の使い方、他都市の先進事例の見学会、外部講師を招いての図書館サービスのあり方等の勉強会、設置要望の行政への働きかけなどの活動を、平成2年に図書館建設が決定するまで行った。
建設までの過程には、自動車図書館の展示などを行い、実現に向けての働きかけを行った。
新図書館建設決定後は、その具体的計画の策定のため、市の幹部が中心となる「図書館建設委員会」と住民が中心となる「図書館懇話会」が設置された。「懇話会」では、住民の立場からの提言を行なうなど、積極的に関与を行った。
図書館建設後は、「進める会」は「図書館フレンズ伊万里」に改組、運営に対し協力や提言を行っている。
この「図書館フレンズ伊万里」が中心となり、他の具体的な活動を行なうボランティア、サークルなどが生まれるに至っている。
「図書館フレンズ伊万里」が図書館の応援団として活動している他、以下の活動がなされている。
これらの活動には、いわゆる「市民サークル」的な側面もあるが、活動の目的が大きくは「図書館を舞台にした社会貢献」であることは間違いなく、図書館としては広い意味でのボランティアと捉えている。
また、図書館に対するボランティアとして、地元ライオンズクラブの有志が月に2度、図書館の清掃活動を行っている。
こうした活動の基盤を支えているのは「図書館フレンズ伊万里」であり、コーディネーター的な役割を担うとともに、図書館の施設の一角で古書の販売などを行い資金を集めている。また、各ボランティアグループに年間1~3万円程度の活動費助成を行っている。なお、「図書館フレンズ伊万里」は250名の会員から徴収する年会費(1,000円)のみで運営しており、公的な補助などはなされていない。なお、「図書館フレンズ伊万里」を除く各グループへの参加者の総数は約200名となっている。
現在の伊万里市民図書館は、「図書館づくりを進める会」を中心とした市民と行政との協働の形で成り立っている。
現在、「図書館フレンズ伊万里」への参加者は約250人、図書館でのボランティアに参加している市民は200人近くになる。(双方に参加している場合も多い)これらの活動により、図書館の魅力が格段に向上していることは間違いない。
伊万里市民図書館の取り組みは、市民参加の図書館として注目を集め、多方面に紹介され、視察も相次いでいる。
図書館のもともとの役割は、「本と人との出会い」であるが、さらにそれを進めて「人と人との出会いの場」となることによって生涯学習の拠点となり、よりよい市を作っていくことに寄与するものと考えている。
実際に当初の「図書館づくりを進める会」の活動では、それまで比較的交流のなかった新住民(外部からの転入者)と旧住民が共通の目的の元に会したことで交流が生まれるなどの効果がもたらされ、そのことは現在の各ボランティアグループにも引き継がれている。
図書館の価値を高める展示などは外部の力を借りることでより良いものができるため、図書館では引き続き多くの人間が集う「場」としての機能を高めていきたい。
これまでの「地縁」、「血縁」に加えて、「文化縁」とでもいうような新しい人間関係を目指している。
生涯学習政策局社会教育課
-- 登録:平成21年以前 --