4.北光クラブ

分野:教育

  • サークル活動を通じ、地域住民自らが楽しむとともに、その活動の成果を還元する形で地域の小中学校で学校支援活動を行っている事例である。
  • 学校支援活動を「サークル活動の結果としての活動」と位置付け、無理なく継続して取り組めるように留意している点が特徴である。

1.主体活動団体

  • 北光クラブ

2.関係者・関係団体・活動場所

協力者・協力団体

  学社融合研究所かぬま、北部地区青少年健全育成連絡協議会

ボランティア参加者・参加団体

  スクールアシスタント、北光家庭クラブ、北光ワールド、PPC(ペアレントパソコンクラブ)、手話サークル、ベルマークボランティア、地域人材バンク登録者、作新学院ボランティアセンター

活動場所

  北小学校、北中学校、近隣の自治会館、市民情報センター

3.活動のきっかけ・問題意識

発足の背景・経緯

  1996年頃、北小学校の学区には公民館がなく、地域住民と学校(子ども)が交流する拠点がない状態であった。そのような中、当時の北小学校長の大野公先生が、保護者にも地域にも「開かれた学校」づくりを目指し、地域と学校を結ぶ組織をつくることを構想した。
  これと同じ時期に、市生涯学習課の働きかけでKLV(鹿沼ライブラリーボランティア)が生まれ、北小学校の図書館で活動していた。また、学校側でもこの頃から地域人材を授業支援に活用することを進めており、それらの人材が教職員の働きかけに応じて、1997年にスクールアシスタント、1998年に北光家庭クラブを結成した。
  その後、様々なサークルが発足して活動が活発化してきたため、これらのサークルをネットワーク化する検討がなされ、2000年4月に北光クラブが発足した。

活動のねらい

  一番大切にしていることは「自分たちが楽しむ」ということである。地域住民が自らの活動を楽しみ、また生涯学習として学ぶことを最大の狙いとしている。その上で、学校を利用して活動を行っていることから、学校にもメリットを還元することが必要との考えに基づき、自らの学びの成果を生かして無理のない形で学校支援活動を行っている。ただし、それはあくまで「結果としての学校支援活動」という位置づけである。
  また、学校を利用することで、保護者や地域の人々は学校内での子どもたちの様子を見ることができ、安心感をもつことができるという利点もある。

4.事前準備として行った主な取り組み(企画段階)

連携・協力

  北光クラブは北小学校の施設を利用して活動するサークルなどのネットワークであり、クラブの組織自体が学校・地域-クラブ事務局-サークルというつながりを持った連携体となっている。
  北光クラブ事務局は、学校からの教育支援依頼を受け、それに適したボランティア・講師を探すというコーディネート機能を担っている。ボランティアは、北光クラブを構成する6つのサークルなどからだけではなく、それ以外のサークルや、クラブが管理・運営している地域人材バンクの登録者など、ネットワークの範囲を超えて広く適任者を探すことにしている。
  活動場所は、活動の拠点である北小学校の教室・施設を利用させてもらうのが中心だが、そのほか学区内の自治会館を無償で貸していただいたり、講師の自宅を会場として利用させていただくなど、こちらも地域内での連携を図っている。

募集方法

  北光クラブ事務局では、2001年から地域人材バンクの管理・運営を行っており、チャレンジスクールやサマースクールなどで子どもたちの活動を支援してくれる「ボランティアティーチャー」を募集している。人材バンクへの登録は、北小学校の全家庭及び教職員、学区の自治会へ回覧する「北光クラブNEWS」などを通じて呼びかけている。登録人数は35分野37人(うち団体3)となっている(2004年8月現在)。
  2002年からは、登録している地域の人々により主体的な関わりを持っていただくため、ボランティアティーチャー説明会を開催し、チャレンジスクールやサマースクールの講座の企画立案をお願いしている。

活動資金・資材の確保

  資金は、北小学校からの援助と、北部地区青少年健全育成連絡協議会からの助成金(2003年から)が中心となっている。また、受益者負担の考え方から、活動に参加する子どもたちから数百円の参加費を徴収している。それ以外では、フリーマーケットでの売上や、ガイドブックの売上などで資金を得ている。
  活動用の資材は、基本的に講師側で準備してもらっている。

5.活動の概要(活動段階)

活動内容・参加者

(1)サークル活動

  北光クラブの活動の基本は、ネットワークを構成する6つのサークルなどの活動にある。これらはそれぞれ独自に計画を立てて活動を行っている。

<各サークルの概要(数字は2004年8月現在の人数)>
  • スクールアシスタント(10人)…学校と先生の業務のスリム化を目指し、その活動を支援する。各種コンクールの作品募集や夏休み自由課題の作品整理、就学時健康診断のサポート(子どもたちの誘導)など。
  • 北光家庭クラブ(19人)…調理や小物づくりなど、調理室や被服室での活動。
  • 北光ワールド(6人)…国際理解協力を支援する。外国人講師による料理教室など。
  • PPC(49人)…自らのパソコン学習と、その成果を活かして児童のパソコン授業のアシスタントを行なう。
  • 手話サークル(30人)…手話の学習、及び手話体験授業の支援を行なう。
  • ベルマークボランティア(7人)…ベルマークの回収・集計を行なう。

  活動は平日の昼間に北小学校の空き教室を利用したり、土日に学校や自治会館などを利用して行っている。

(2)学校支援・授業支援活動

  これらのサークルは、自分たちの学習活動のほかに、学校支援・授業支援活動も行っている。これは、自分たちの活動のために学校を使わせていただいていることから、学校に何かを還元したいという気持ち、また、先生の負担をできるだけ軽減し、先生にもっと子どもたちに目を向けてもらいたいという願いがその発端となっている。授業支援活動は、各先生からの希望に基づき年間の支援計画を立案して行っている。
  近年は、中学校に進学した子どもたちの様子が見たいという地域の人々の希望から、北小学校の児童の半数近くが進学する北中学校において、総合的学習の時間に「生涯学習体験」としていくつかのサークルが授業支援活動を行っている。
  この他、ネットワークを生かした活動としてサマースクールとチャレンジスクールがあり、サークルのメンバーや地域住民が講師として子どもたちに貴重な体験の機会を提供している。サマースクールは夏休みに開催する子ども向け(一部親子向け)講座で、1999年に始まった。チャレンジスクールは学校週5日制の実施に伴い、子どもたちの余暇を有効活用して充実した時を過ごしてもらおうという目的で2002年から始まった、土日に開催される講座である。
  2004年から、これら2つのスクールに作新学院ボランティアセンターの高校生の企画立案による講座も開設され、より広域のネットワークが形成されてきている。

6.事業の成果

  クラブが様々な支援を行なうことにより、まず子どもたちには、地域の人々と触れ合う機会が増え親しくなった、学習に対する意欲が増した、チャレンジスクールにより休日を楽しく有意義に過ごせるようになった、などといったメリットが生まれている。
  また、教師側にとっても、学校支援・授業支援活動によってゆとりが生まれ子どもたちと触れ合う機会が増えた、ボランティアの人々から多くのことを学び視野を広げることができた、などの効果が表れている。

7.活動にあたって留意したこと

参加のしやすさに関して

  たくさんの地域の人にチャレンジスクールなどのボランティアティーチャーとして活動に参加してもらうため、いくつかの工夫を行っている。

  • 北光クラブNEWSやホームページなどにより、活動の紹介や人材募集などの広報活動を積極的に行なう。
  • 人材バンクの管理・運営を学校ではなくクラブで行なう。学校で人材の募集をしてもなかなかうまく活用できないことが多い。
  • サマースクールなどでは、講師の自宅で講座が開かれる場合もある。これは、講師の利便性だけでなく、参加する子どもたちにとっても、より身近な場所での開催による参加しやすさ、また「この家に行けばまるまるができる」というように講座開催日以外でも交流・学習が可能であるなどの利点がある。

安全面に関して

  活動の終了時間が変更になりそうな場合は、参加している子どもの各家庭に連絡をして、迎えに来てもらうなどの対応をお願いしている。
  子どもの保険については、小学校入学時に入っている育成会の保険を活用するために、当日の活動を育成会行事としてもらっている。それ以外の地域の人については、自分の希望した活動をしているということから、自己責任という考え方で保険はかけていない。

交渉や役割分担に関して

  組織構成の上では、北光クラブ事務局と各サークルの間に運営委員会というものが存在する。運営委員会は各サークルの代表、学校職員、事務局メンバーによって構成され、活動内容の報告など定期的に意見交換をしている。このため、事務局は学校と各サークルのコーディネーターに徹し、各サークルの活動には一切関与しないことにしている。

8.活動後の評価・今後の課題・展開など

事後評価について

  サマースクール、チャレンジスクールなどでは、1つの活動が終わった都度、事務局と講師の方で反省会を行っている。

活動上の課題

  学校行事や授業の支援をして先生の負担をスリム化する、という活動を行っているため、その分事務局の負担が増えている。

今後の展開

  今後の活動の展開として、以下のようなことを考えている。

  • 人材バンクをより活性化させ、きめ細かな支援を行えるようにする。
  • 各町内の自治会館を利用したチャレンジスクールを、さらに広い地域に展開する。
  • 各サークルを始め地域の人々の「発表の場」となるような、地域で何らかの祭り(イベント)を開催する。これは親睦を深めるほかに、活動資金の確保という狙いもある。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --