第2部 地域資源を活用したボランティア活動の先進事例

青森県立平内高校ボランティア委員会が地域の高齢者に贈るクリスマスカードの写真
  青森県立平内高校ボランティア委員会が地域の高齢者に贈るクリスマスカード
  (右はみちくさボランティアのきっかけとなった、牛乳パックの再生紙で作成されたはがき)

1.地域での取り組み事例

分野:育児・子育て

1.西予市ボランティアセンター「乳幼児ふれあい体験教室」

  • 西予市内の中高生が、父母が子育て講座に参加している間の子どもの世話をボランティアで行っている事例である。
  • 父母に対しては、子どもに気兼ねなく講座に参加できるためのサービスとして機能していることに加え、育児と関わりの薄い中高生が参加することによって、地域全体に新たな交流を生み出している点が特徴である。

1.主体活動団体・活動行事

  西予市ボランティアセンター「乳幼児ふれあい体験教室」

2.関係者・関係団体・活動場所

【主催者・主催団体】

  西予市教育委員会、西予市保健福祉課

【協力者・協力団体】

  保育専門家(元保育士)

【ボランティア参加者・参加団体】

  宇和中学校、宇和高等学校

【活動場所】

  西予市中央公民館、西予市保健センター

3.活動のきっかけ・問題意識

【活動のきっかけ・経緯】

  平成14年に宇和町の単独事業として教育委員会社会教育課(現生涯学習課)と保健福祉課が連携・協力し、父母を対象とする家庭教育講座「うわっこわくわく子育て講座」を開設した。講座開催にあたり、父母の講習中に子守り(1~3才の乳幼児)の必要があるため、中高生による子守りボランティア「乳幼児ふれあい体験教室」を並行して行なうことを企画した。

【背景・活動のねらい】

  地域の中高生が楽しく子守りボランティアを体験できることと、子育て講座に参加する父母が講座に集中できる環境を提供したかったことが背景にある。
  また、子守りボランティアを中高生に経験してもらうことには、以下のようなねらいがある。

  • 生命の大切さを体験し家族について考える機会を持ってもらうこと
  • 将来の職業について考える機会を持ってもらうこと
  • 完全学校週5日制の移行に伴う土日の有意義な過ごし方を知ってもらうこと

4.事前準備として行った主な取り組み(企画段階)

【募集方法】

  宇和中学校と宇和高等学校に対して「乳幼児ふれあい教室」の開催とボランティアとして参加してくれる生徒のとりまとめを依頼した(家庭教育講座の開催については、全戸配付の広報誌に掲載した)。各学校では校内の掲示板を使ってボランティアの告示を行った。なお、各学校に対しては予め当日参加する乳幼児に合わせたボランティア人数の上限を知らせることで、子守りを必要とする乳幼児とのバランスを調整した。

【活動資金・資材の確保】

  「市町村奉仕活動・体験活動の推進整備事業」の指定を受けており、愛媛県からの助成金で活動している。

5.活動の概要(活動段階)

【活動内容・参加者】

  「乳幼児ふれあい体験教室」は「うわっこわくわく子育て講座」と並行する形で開催する。子守りボランティアの開催回数は、土日や学校の夏期休暇中などを中心に年4回開催しており、1回のボランティア活動は、2~3時間程度である。
  市内の中高生が子育て講座に参加する父母の子ども(1~3才の乳幼児)の子守りボランティアを行なう。また、ボランティアに参加する生徒は、当日の朝、保育士の経験を持つ講師からおしめの取替えや乳幼児とのふれあい方などについて指導を受ける。
  各年の参加者は以下のようになっている。なお、16年度は合併が行われたため講座開催数が少なくなっている。

  • 平成14年度
      年間4回開催、参加者延べ数(中学生12名、高校生16名)
  • 平成15年度
      年間4回開催、参加者延べ数(中学生11名、高校生15名)
  • 平成16年度(市町村合併があったため、1回のみの開催となった)
      年間1回開催、参加者延べ数(中学生5名、高校生9名)
      平成16年4月1日に近隣の5町が合併し西予市となった後も開催しているが、旧宇和町地区のみの活動に留まっている。西予市では市内全地域における活動を目指しているが、活動場所までの交通手段が乏しいなどの点がボトルネックになっている。

6.事業の成果

【活動による効果】

  ボランティア参加後の生徒は一様に子育てに対する意識の変化が見られた。活動後の主な感想は「母親の大変さを理解した」、「子どもにもさまざまな個性があることを学んだ」「保育士を目指すうえで良い勉強になった」というもので、ボランティア活動のねらいが効果的に生徒に伝わっていることがうかがえた。

7.活動にあたって留意したこと

【参加のしやすさに関して】

  中高生が参加しやすいように、土日や夏期休暇中に講座を開催した。また、南予地方(愛媛南西部)はもともと地域のつながりが強く、ボランティア活動への意識が高いことも活動が続いている理由の一つだと考えられる。

【運営に関して】

  初めて参加する生徒が戸惑わないように、保育の専門家(元保育士)を講師に招いてボランティア指導の時間を設けている。講師の選抜については、市の保健士が持つ情報やボランティア活動センターの登録情報から得ている。

【安全面に関して】

  いまのところ保険はかけていない。ただし、平成17年度からは公民館総合補償制度で対応していく方針である。

8.活動後の評価・今後の展開・課題

【活動にあたって障害になったこと】

  学校の休業日に開催する必要があるため、開催回数が少なくなってしまう。

【事後評価について】

  乳幼児ふれあい体験教室および子育て講座の終了後に、参加者の感想を収集している。感想は当日のうちに主催の教育委員会生涯学習課と保健福祉課によって開かれる反省会で用いられ、次年度以降の方針の検討を行なう。

【今後の展開・課題】

  ボランティア参加の中高生からも、子どもを預けた父母からも良い反応があり、今後はボランティア活動の機会を増やしていくことを検討中である。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --