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21世紀教育新生プラン(基本的考え方)

  我が国の教育は、第2次世界大戦後、機会均等の理念を実現し、国民の教育水準を高め、経済社会の発展の原動力になりました。しかし、現在の教育の状況に目を向けると、国民や社会の教育に対する信頼が大きく揺らぎ、我が国の教育は危機に瀕しています。
  第1に、少子化や都市化の進展、家庭や地域社会の「教育力」の著しい低下などを背景として、我が国の教育は、いじめ、不登校、校内暴力、学級崩壊、凶悪な青少年犯罪の続発など深刻な問題に直面しています。また、個人の尊重を強調する余り「公」を軽視する傾向が広がり、青少年が「孤の世界」に引きこもる傾向が現れています。
  第2に、行き過ぎた平等主義による教育の画一化や過度の知識の詰め込みにより、子どもの個性・能力に応じた教育がややもすれば軽視されてきました。
  第3に、科学技術の急速な発展、経済社会のグローバル化、情報化など社会が大きく変化する中で、これまでの教育システムが時代や社会の進展から取り残されつつあります。
  こうした教育の現状や課題を踏まえ、内閣総理大臣の下に置かれた「教育改革国民会議」において、昨年12月22日に「最終報告」が取りまとめられました。文部科学省では、「最終報告」の提言を十分に踏まえた各般にわたる必要な取組を行うよう森内閣総理大臣から指示を頂き、このたび教育改革のための具体的な施策や課題を取りまとめたところです。
  この教育新生プランは、「新生日本」の実現を目指し国政の最重要課題の一つに位置付けられる教育改革の今後の取組の全体像を示すものとして、「学校が良くなる、教育が変わる」ための具体的な主要施策や課題及びこれらを実行するための具体的なタイムスケジュールを明らかにしたものです。
  これらの施策や課題への取組として、緊急に対応すべきものについては、関連法案を次期通常国会に提出するとともに、平成13年度予算案において所要の措置を行うこととしています。さらに、新世紀の教育の基本理念を示すための教育基本法の見直しや教育振興基本計画の策定については、中央教育審議会に諮問し取組を進めることとしています。
  教育に対する国民各界各層の皆様の信頼に応えるためには、「最終報告」で指摘されているようにスピーディーな改革の実行が不可欠です。新世紀が始まる本年(2001年)を「教育新生元年」と位置付け、このプランに基づき、改革を果断に実行していく決意です。もとより改革を着実に推し進めていくためには、学校や教員をはじめ産業界、関係機関・団体の積極的な取組はもちろん国民の皆様の御理解と御支援が是非とも必要であります。今後、国民各界各層の皆様の御意見や御提案を十分に頂きながら、教育改革を一大国民運動として展開していきたいと考えています。

  平成13年1月25日
文部科学大臣    町村  信孝

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