教科書・教材のデジタル化を効率的に推進するためには(情報技術的な側面からは)、現在、情報技術のフロンティアで急速に開発普及が進行しているクラウド・コンピューティング技術を活用すべき。セキュリティ水準の高いクラウドサービスによるSaaS(Software
as a Service)等によるアプリケーションやコンテンツの共同利用は、教育システム全体の費用を削減することに寄与するはず。デジタルな検定教科書や準拠教材は、できるだけ一貫性を持った形で集約され、国民がだれでも知っている基幹的な知識の体系を提供するものとなることが望ましい。教科書・教材コンテンツの多様性への要求は、(フィルタリングされるとは言え)インターネット接続と意見表明や批判を重視する教育手法によりいくらでも満たせるようになっているからである。
まず、21世紀の学びの場における教員の役割、教員の持つべき知識・スキル・経験のあり方を明確にしていくことが重要。教員の忙しさはどこから来るのか、個々の教員によって忙しさの内容にどのような違いがあるのか、校務書類の種類やフォーマットの問題、その他ICTを校務支援に本格導入して使えるようにするには、total
system solution のための分析が重要。校務は非定型業務が多いため、教職員が本格的に使ってくれる校務支援システムのソフトウェア設計には工夫が要る。これを実施するには協力校が必要。本格的に協力してくれる学校があれば、校務支援へのICT導入の有効性は十分実証可能。
韓国では、KERISが全国共通の校務情報システム、NEIS(National Educational)を開発、地方教育委員会が管理、運用している。他方、英国では、SIMS(School
Information Service)から、学習支援と校務全般を統合したLearning platformへ、地域、学校単位で運用している。我が国においても、国が定める指導要録等の公簿や、全国共通で管理すべき学校データを効率的に処理できるシステムを国レベルで開発し、教育委員会が管理運用してはどうか。