文部科学省では、平成18年度「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」を、平成19年3月1日現在(学校数、学級数等については平成19年3月1日現在、児童生徒数については平成18年5月1日現在の学校基本調査による)で行った。
また、本調査中「教員のICT活用指導力の状況」については、従来、指導力の有無についてのみ調査を行っていたが、今回より新たに、文部科学省「教員のICT活用指導力の基準の具体化・明確化に関する検討会」でとりまとめたチェックリストに基づき、全18項目別に教員が自己評価を行う形で調査を実施し、従来より詳細な調査を行った。
その概要及び調査結果は、以下のとおりである。
.調査項目(平成19年3月現在)
- コンピュータ整備の実態等(Excel:95KB)
- (1)コンピュータの設置状況等
- (2)教育用コンピュータの設置場所別台数
- (3)教育用コンピュータの性能別台数
- (4)教育用コンピュータの整備方法別台数
- (5)コンピュータの周辺機器台数
- (6)障害のある児童・生徒に配慮した入力・表示のための補助装置台数
- (7)サーバの設置状況
- (8)外部ICT専門家の活用状況
- (9)個人所有のコンピュータについて
- インターネットへの接続状況等(Excel:64KB)
- (1)接続回線種別
- (2)接続回線速度別
- (3)接続先(プロバイダ)
- (4)ホームページ(Webページ)等の開設状況
- (5)電子メールアドレスの付与状況
- (6)有害情報への対応方法
- (7)情報セキュリティポリシーの策定・運用の状況
- 教員のICT活用指導力の状況(Excel:57KB)
(合計、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特殊教育諸学校)
<参考>
- 都道府県別「コンピュータの設置状況」及び「インターネット接続状況」の実態
(合計、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特殊教育諸学校)
(Excel:87KB)
- 都道府県別「教員のICT活用指導力」の状況
(「わりにできる」若しくは「ややできる」と回答した教員の割合の大項目別平均)
(合計、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特殊教育諸学校)
(Excel:110KB)
- 設置者別「コンピュータの設置状況」及び「インターネット接続状況」の実態
(一覧表)
.調査結果の概要
1.コンピュータ整備の実態等、インターネットへの接続状況等
- 教育用コンピュータの整備(1台あたり7.3人、平成23年3月までの目標は1台あたり3.6人)及び校内LANの整備(56.2パーセント、平成23年3月までの目標は概ね100パーセント)は、昨年度並みの伸び率で推移。
- 新たな目標として「IT新改革戦略」に掲げられた超高速インターネットの接続率は、30Mbps(メガビットパーセカンド)以上の速度の回線が35.0パーセント、光ファイバ回線が55.5パーセント(平成23年3月までの目標は概ね100パーセント)。なお、従前の目標であった高速インターネット(400kbps(キロビットパーセカンド)以上の回線)の接続率は91.4パーセント。
- また、同じく新たな目標である教員の校務用コンピュータの整備(43.0パーセント、平成23年3月までの目標は100パーセント)については、対前年度比9.6パーセント増。
- 都道府県別に見ると、例えば校内LANの整備率は、最高で89.9パーセント、最低で28.3パーセントと、昨年度(最高で89.6パーセント、最低で20.5パーセント)よりも差が若干減少したものの、依然格差が見られる。
2.教員のICT活用指導力の状況
- 小項目別(全18項目)に4段階評価で「わりにできる」若しくは「ややできる」と回答した教員の割合をみると、
- 教材作成のためにICTを活用(A2:77.3パーセント)
- 児童生徒がICTを活用して情報収集できるよう指導(C1:66.3パーセント)
- ICTを活用して、校務分掌等に必要な情報を収集し、文書等を作成(E1:70.1パーセント)
等は高い割合を示した。一方、
- 児童生徒の知識を定着させるため、ICTを活用して資料等を提示(B4:50.4パーセント)
- 児童生徒がICTを活用してわかりやすく発表・表現できるよう指導(C3:48.8パーセント)
- 教員間における必要な情報の交換・共有化(E2:52.6パーセント)
等は低い結果となった。
- 小学校、中学校及び高等学校を比較すると、18項目中11項目において小学校が3校種中で最も高い結果となった一方で、12項目において中学校が3校種中で最も低い結果となった。
- 大項目(A~E)内における各小項目別の割合の平均を見ると、「A:教材研究・指導の準備・評価などにICTを活用する能力」の平均が約7割(69.4パーセント)、「B:授業中にICTを活用して指導する能力」の平均が約5割(52.6パーセント)、「C:児童生徒のICT活用を指導する能力」の平均が約6割(56.3パーセント)のとの結果であった。
- また、情報モラル教育の重要性や校務の情報化の重要性を踏まえ、今回の基準において初めて教員のICT活用指導力に位置付けた「D:情報モラルなどを指導する能力」や「E:校務にICTを活用する能力」については、いずれも平均が約6割(D:62.7パーセント、E:61.8パーセント)との結果であった。
- 都道府県別に見ると、例えば大項目Bでは最高の都道府県で72.6パーセント、最低の都道府県で43.2パーセントと、地域間の格差が見られる。
- 「IT新改革戦略」では、平成22年度までに、全ての教員がICTを活用して指導ができることを目標に掲げており、本調査においては、平成23年3月時点で、全ての教員が全項目で「わりにできる」若しくは「ややできる」と回答することを目指す。
【参考】
ICT活用指導力については、前回までの調査方法と、今回の調査方法が異なるため、一概に比較することはできない。なお、全18小項目中、「わりにできる」若しくは「ややできる」と回答した教員の割合が最も高い項目は、A2「教材作成のためにICTを活用」で77.3パーセントとなっている。