特別支援教育について

第2回特別支援教育全国フォーラムの結果について

 文部科学省では、教育関係者や保護者をはじめ、広く社会一般の人たちに特別支援教育についての理解と認識を深めていただくことを目的として、国立特別支援教育総合研究所や特別支援教育関係団体の協力のもと、平成19年12月8日(土曜日)に「第2回特別支援教育全国フォーラム」を開催しました。当日は、全国各地から約300名の方が参加されました。

<てい談>
 午前中は、作家・堀田 あけみ氏、鳥取大学地域学部教授・小枝 達也氏、東京都立あきる野学園養護学校長・池田 敬史氏により、「障害のある子どもたちが自立し社会参加するために」をテーマとしたてい談が行われました。
 堀田氏は、保護者の立場から、障害のある子どもに対する支援が十分でないと認識している保護者が多いこと、学校や教育委員会は保護者の悩みを受け止めることが大切であり、そのための組織づくりが必要であること等を述べられました。
 小枝氏は、医療関係者の立場から、教育が大きく変化していることに注目し、例えば、巡回相談員や特別支援教育コーディネーターを通じて医療と教育との連携が円滑になったこと、特別支援教育を進める上で、子どもの認知に着目した指導の充実、学校長のリーダーシップへの期待等を述べられました。
 進行役を務められた池田氏は、障害のある子どもや特別支援教育についての理解啓発、教育だけでなく、医療、福祉、労働を含めた特別支援教育を考えることの重要性等について述べられました。


てい談の模様

 午後は、3つのテーマごとに分科会が開かれました。

<第一分科会>
 第一分科会では、「子どもたち一人一人のニーズに応じた教育の実際」をテーマとして、愛知みずほ大学教授・横田 雅史氏の講演、長崎県大村市立郡中学校教諭・北村 美津子氏、神奈川県立武山養護学校長・田村 順一氏から実践事例が紹介されました。
 横田氏からは、特別支援教育の趣旨、実施上のポイントとなる支援体制の整備や個別の教育支援計画の策定、教員の専門的な知識や指導力、他機関と連携する力の育成等の話がありました。
 北村氏からは、特別な教育的ニーズがある生徒に対して、リソースルーム(心の居場所的な部屋と通級指導教室)の設置や、校内委員会による協議、自尊心を高める指導等について実践事例が紹介されました。
 田村氏からは、特別支援学校の地域支援機能としての教育相談と普及啓発・研修等の取組の紹介、市町村の支援機能とのリンクや県全体での相談ネットワークの構築の必要性等の今後の課題が紹介されました。


第一分科会

<第二分科会>
 第二分科会では、「小・中学校における特別支援教育の実践」をテーマとして、静岡県三島市立北中学校長・岡山 一夫氏、石川県小松市立安宅小学校教諭・工藤 千賀子氏、埼玉県立本庄養護学校教諭・八木 邦彦氏から実践事例が紹介されました。
 岡山氏からは、校内委員会やチーム支援、校務分掌(4つの指導部)による支援等、職員全員がかかわる校内支援体制や、個別の指導計画作成等の取組について実践事例が紹介されました。
 工藤氏からは、特別支援教育コーディネーターを中心としたチームによる指導・支援について、5つの観点(1つかむ(実態把握)、2立てる(課題設定)、3取り組む、4広める・深める(全職員への共通理解、保護者への理解・啓発)、5つなぐ(個人ファイルの作成))から実践事例が紹介されました。
 八木氏からは、特別支援学校のセンター的役割として、巡回指導支援、教育相談、巡回相談、定期教育相談、研修支援、施設開放、ボランティア養成等地域の小中学校や関係機関等と連携した取組について実践事例が紹介されました。

<第三分科会>
 第三分科会では、「職業的な自立を目指した就労支援の実践」をテーマとして、東京都立中野養護学校教諭・深谷 純一氏、障害者就業・生活支援センター WEL'S TOKYOセンター長・木野村 なぎさ氏、横河電機株式会社人財部・平田 裕美子氏から実践事例が紹介されました。
 深谷氏からは、作業学習、進路学習、現場実習等の取組や、学校・PTA・地域・地域就労支援機関等との連携体制、卒業後のフォローアップに向けた体制づくり等職業的な自立に取り組む教育分野の取組が紹介されました。
 木野村氏からは、障害者就業・生活支援センター、ネットワークを生かして求職者と企業を結び付けるシステムについての紹介や、企業アドバイザーの側からの助言等、就労希望者と企業を結ぶ取組が紹介されました。
 平田氏からは、企業における障害者雇用の実態や業務内容、研修、障害者の支援を行う上での配慮事項等、障害者雇用に取り組んでいる企業の実践が紹介されました。

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成21年以前 --