平成17年度・18年度みんなの専門高校プロジェクト推進事業報告書

都道府県名 鹿児島県
推進地域名 指宿市

1 推進校の概要

(1)専門高校

学校名 指宿市立指宿商業高等学校
設置大学科 商業科
設置小学科 商業科
生徒数 676名
所在地 鹿児島県指宿市岩本2747番地 電話 0993-25-2204

2 研究テーマ及び研究において特に重点を置いたところ

3 研究の概要

(1)平成17年度

  • 1課題研究での「道の駅いぶすき」内のアンテナショップ運営
  • 2新商品開発プロジェクト
  • 3商店街活性化事業
  • 4「道の駅いぶすき」での体験学習(1年生)
  • 5指商デパート運営(3年生)
  • 6講演会

(2)平成18年度

  • 1課題研究での「道の駅いぶすき」内のアンテナショップ運営
  • 2新商品のデザイン,ネーミング,パッケージ等考案
  • 3商店街活性化事業(月に1回の参加)
  • 4「道の駅いぶすき」での体験学習(1年生)
  • 5指商デパート運営(3年生)
  • 6外部講師によるビジネス教育授業
  • 7講演会

4 連携推進地域協議会の構成及び活動状況等

(1)構成

氏名 所属・職名
古市 通 指宿市立指宿商業高等学校校長
田代 憲久 指宿市立指宿商業高等学校教頭
向吉 一行 指宿市立指宿商業高等学校事務長
市坪 親雄 指宿市立指宿商業高等学校教諭
水口 忠幸 指宿市立指宿商業高等学校教諭
大田 弘二 指宿市立指宿商業高等学校教諭
戸田 幸治 指宿市立指宿商業高等学校教諭
山小田 英樹 「道の駅いぶすき」館長
増田 雄二 ますだや菓子工房社長
染川 典親 指宿商工会議所経営指導課長補佐
豊留 悦男 指宿市教育委員会学校教育課長
松下 正 指宿市企画財政部企画課主幹兼地域政策係長
松元 信一 県教育庁高校教育課指導主事

(2)活動状況

1)平成17年度

  • 第1回連絡協議会
    • 平成17年8月17日(水曜日)10時〜12時
    • 平成17年度概要説明,実施計画,意見交換
  • 第2回連絡協議会
    • 平成18年2月15日(水曜日)14時〜15時30分
    • 中間報告及び17年度の反省,意見交換

2)平成18年度

  • 第1回連絡協議会
    • 平成18年8月16日(水曜日)10時〜12時
    • 平成18年度概要説明,計画の具体的な進め方,意見交換
  • 第2回連絡協議会
    • 平成19年2月19日(月曜日)15時〜16時30分
    • 平成17、18年度研究のまとめと成果と評価
    • 今後の活動について,意見交換

5 推進校における活動の実施状況等

(1)活動前の地域との打ち合わせ

 指宿商工会議所TMO(中心市街地における商業まちづくりを運営・管理する機関)と「ますだや菓子工房」と数回の事前打ち合わせを実施した。特にますだや菓子工房とは,これまでにない指宿のインパクトのあるお菓子を作りたいという気持ちから,共同研究の在り方や方法について議論した。また,指宿市役所内の「道の駅いぶすき」担当者から,現状や運営方法など指導して頂いた。具体的な実施方法などは指宿市教育委員会や鹿児島県教育委員会からアドバイスを頂いた。

(2)活動概要

1)活動のねらい 2)活動内容 3)教育課程上の位置づけ 4)連携先の概要
  • 体験学習により職業観や勤労観を身につける。
  • 商品の専門知識を深め,経営することの難しさを学ぶ。
  • 授業の中で,「道の駅いぶすき」内のアンテナショップの運営をおこなった。商品のラベルを貼る作業の他,定期的に在庫管理や会計作業をおこなっている。
  • 「総合的な学習」(課題研究)調査研究
  • (商品と流通)
    第2章 商品売買の成立条件
  • 「道の駅いぶすき」
  • 指宿市役所企画課
  • 地産地消の観点に立って新商品開発をおこなうことにより,商品の成り立ちとマーケティング活動を主体的に学ぶ。
  • 地元指宿の特産品を使った新商品開発を進めた。市町村合併による新指宿市の新しいお菓子として,商業高校の持つ特性を生かしながら取り組んだ。現在まで商店で2万個近くを販売し,着実に地元の特産品として認められてきた。
  • (課題研究)調査研究
  • (商品と流通)
    第2章 商品の特性
  • (マーケティング)
    第2章 市場調査
  • 「ますだや菓子工房」
     本校OBでもあり,以前から地元特産品を使ったお菓子作りに定評がある。
  • 中心商店街の現状を理解するとともに,販売実習を通して活きた商業を学ぶ。
  • 中心商店街内にある高齢者が運営する店の手伝いをおこなった。毎月第一日曜日に開催される「指宿元気ふれあい市」に10月より参加した。
  • (マーケティング)
    第6章 販売促進
  • 指宿商工会議所
  • 指宿中央通り商店街振興組合
  • 接客業に必要な基本的な技法を習得し,体験学習による勤労観や職業観を身につける。
  • 1年生全員を対象とした体験学習を実施した。内容は,朝礼から始まりトイレ清掃,接客,商品陳列,販売実習に至るまで多種多様な学習を体験することができた。18年度は1年生全員が一日間の実習をおこなうことができた。
  • (ビジネス基礎)
    第1章 ビジネスに対する心構え
  • 「道の駅いぶすき」
  • 模擬デパートを経験することで,仕入れから販売,決算までの一連の流れを習得する。
  • 指商デパートの運営として商品を生徒自身で仕入れから販売,決算までを自らおこなう。今年からは生徒主体に運営し営業部長や広報部長など,これまでにない新たな取り組みが出来た。本年度から3年生中心の指商デパートに1年生も参加させ,駐車場の整理や接客などを体験させた。
  • (マーケティング)
    第6章 販売促進
  • 地元農家,商店(寝具、家電、衣類、観葉植物、韓国物産、地場特産品などの販売)
  • ビジネス活動に対する意欲,関心を高め,自分の生き方や在り方を考させる。
  • 「道の駅いぶすき」の館長からはこれまでの経験やユニークな取り組みの紹介があった。「池田診療所」の宮田先生からは2度に渡る南極滞在による体験談や生命への畏敬の念などの話があった。
 
  • 「道の駅いぶすき」館長 山小田 英樹 氏
  • 「池田診療所」宮田 敬博 氏
  • 大学のゼミのような感覚で学ぶことにより,起業家精神や流通の仕組みについて学ばせる。
  • 「あけぼの」の社長からは鹿児島における流通業の実態や現状についての講話であった。また,指宿白水館の吉崎副部長の講話は,面接のテクニックや高校生に必要な資質などについてであった。
  • (ビジネス基礎)
    第2章 経営理念と起業家精神
  • 「あけぼの」青木 勝哉 氏
     鹿児島県の流通業界大手の卸問屋
  • 「指宿白水館」吉崎 正敏 氏
     国際観光保養都市である指宿を代表するホテル

6 活動の成果

7 2年間の研究の全体的な評価

 多くの地域の方々の理解と協力を得て実施した「道の駅いぶすき」でのアンテナショップの運営は,年間を通して取り扱い商品が動いている事を実感し,その中で継続して商品を販売・管理することができる,まさに現実に即した商業教育の実践の場となった。
 地元,指宿の特産品を使って商品開発に取り組めたことは,これまでに経験したことのないことで,生徒だけでなく指導する教員自身も刺激になった。アンケートによる市場調査から始まり,試食,そしてパッケージやキャラクターのデザインが自分達のアイデアとして採用され,教科書だけでは学べない達成感を生徒達は得ることができた。
 この2カ年,新聞・テレビ・ラジオなど多くのマスコミにも取り上げて頂いた。
 商店街活性化事業では,指宿商工会議所や商店街振興組合から多くのアドバイスをいただき,単に一過性のものではなく継続的に取り組める体制を確立し,「指宿元気ふれあい市」に出店した。
 また,2年間の本事業を通してのビジネス教育講演会では,講師の実体験に基づくユーモアあふれる話に生徒は引き込まれていた。外部講師による課題研究での特別講義では,大学のゼミ形式で授業が進められ,流通の仕組みや起業家教育の実践,接遇マナー指導など充実した内容であった。
 最後に,この2年間の研究により改めて商業教育に秘められた可能性と限りなく実学に近い内容に触れることができた。この事業を通して学んだ経験をいかし今後もさらに地域に根ざした活動を展開し,商業教育の発展を目指していきたい。

8 今後の課題及びこれからの取組