平成17年度・18年度みんなの専門高校プロジェクト推進事業報告書

都道府県名 熊本県
推進地域 上益城郡御船町

1 推進校の概要

(1)専門高校

学校名 熊本県立御船高等学校
設置大学科 工業
設置小学科 電子機械科
生徒数 728名
所在地 熊本県上益城郡御船町木倉1253 電話 096-282-0056

(2)小・中学校

学校名 御船町立御船小学校
生徒数 366名
所在地 熊本県上益城郡御船町滝川3 電話 096-282-0044

学校名 御船町立御船中学校
生徒数 456名
所在地 熊本県上益城郡御船町辺田見55 電話 096-282-0002

2 研究テーマ及び研究において特に重点を置いたところ

(1)研究テーマ

「小・中学校との連携によるものづくりに関する教育の推進」

(2)研究において特に重点を置いたところ

  • ア 小・中学校との連携組織の在り方
  • イ 効果的な実施の在り方
  • ウ 地域との連携の在り方
  • エ 継続した連携の在り方

3 研究の概要

年次 研究の概要
平成17年度
  • ミニマイコンカー製作会(8月1日・2日)
  • 高校生による中学生実技指導講習会「競技用ロボットの製作」(12月5日)
  • ロボットふれあい教室(1月27日)
  • 技術講演会「最先端のロボット技術について」(1月30日)
  • 御船町の施設で使用する実用ソフトウェアの開発
  • ロボット製作に関する中学校との技術交流会(年間を通して実施)
平成18年度
  • ミニマイコンカー製作会(8月1日・2日)
  • 御船高校杯上益城郡小・中学校ロボット大会(8月7日・8日)
  • 高校生による小学生実技指導講習会「ボクシングロボットの製作」(8月25日)
  • ロボット競技の実演上益城物産フェア(10月21日)、御船町商工祭(11月26日)熊本県産業教育フェア(水俣市)(11月22日)、多良木町ロボフェスタ(12月3日)
  • 技術講演会「企業から見たものづくり」(1月29日)
  • ロボット製作に関する中学校との技術交流会(年間を通して実施)

4 推進地域協議会の構成及び活動状況等

(1)構成

ア 委員

氏名 所属・職名
源島 真一郎 熊本県教育庁高校教育課・課長(平成17年度)
石井 博憲 熊本県教育庁高校教育課・課長(平成18年度)
木村 勝美 熊本県教育庁義務教育課・教育審議員
西村 登 上益城教育事務所・主幹(兼指導課長)
上野 公明 御船町教育委員会学校教育課・課長
森永 好誠 御船町立御船小学校・校長(平成17年度)
早川 宏次 御船町立御船小学校・校長(平成18年度)
藤本 哲 御船町立御船中学校・校長
田爪 正和 熊本県立御船高等学校・校長

イ 事務局

氏名 所属・職名
遠藤 禮一郎 熊本県教育庁高校教育課・教育審議員(平成17年度)
倉岡 寛 熊本県教育庁高校教育課・課長補佐(平成18年度)
飯川 幸眞 熊本県教育庁高校教育課・主幹(平成17年度)
郷 慶次 熊本県教育庁高校教育課・指導主事(平成17年度)
熊本県教育庁高校教育課・係長(平成18年度)
西 智博 熊本県教育庁高校教育課・指導主事(平成18年度)
小原 孝徳 熊本県教育庁義務教育課・主幹
西坂 保徳 熊本県教育庁義務教育課・指導主事(平成17年度)
吉見 和洋 熊本県教育庁義務教育課・指導主事(平成18年度)
木村 三樹太 御船町立御船小学校・教頭
緒方 修 御船町立御船小学校・教諭
梅本 和宏 御船町立御船小学校・教諭(平成18年度)
河田 知治 御船町立御船中学校・教頭
大塚 芳生 御船町立御船中学校・教諭
西本 仁史 御船町立御船中学校・教諭
宮崎 功 熊本県立御船高等学校・教頭
小松 淳 熊本県立御船高等学校・教諭
山下 康博 熊本県立御船高等学校・教諭

(2)活動状況

1)平成17年度

  • 第1回推進地域協議会
    • 日時 平成17年10月11日(火曜日)10時〜11時40分
    • 場所 熊本県立御船高等学校
  • 第2回推進地域協議会
    • 日時 平成18年2月16日(木曜日)10時〜11時40分
    • 場所 熊本県立御船高等学校

2)平成18年度

  • 第1回推進地域協議会
    • 日時 平成18年7月14日(火曜日)10時〜11時40分
    • 場所 熊本県立御船高等学校
  • 第2回推進地域協議会
    • 日時 平成19年3月15日(木曜日)10時〜11時50分
    • 場所 熊本県立御船高等学校

5 推進校における活動の実施状況等

(1)活動前の連携校との打ち合わせ

 各企画の実施にあたっては、推進校と連携校の事務局を中心に、各実務担当者間で数回にわたって打ち合わせを行った。

(2)活動概要

1)活動のねらい

 本校生徒が、普段の授業やクラブ活動等を通して学んだ技術を、主に小・中学生を対象としたさまざまな活動を通して発表・活用することにより、小・中学生のものづくりへの興味・関心の涵養、本校生のコミュニケーション能力や技術力の向上をはかる。

2)活動内容

ア 平成17年度
(ア)ミニマイコンカー製作会
  • 主催
    熊本県立御船高等学校
  • 協賛
    マイコンカーラリー実行委員会
  • 開催日
    平成17年8月1日(月曜日)・2日(火曜日)
  • 開催場所
    熊本県立御船高等学校第一コンピュータ室および自動制御実習室
  • 参加者
    御船中学生8名 御船小学生7名
  • 講師等
    熊本県立御船高等学校職員およびマイコン制御部員
  • 実施内容
    オリエンテーション、マイコンについての説明、電子工作用工具の説明、ミニマイコンカーの説明、ミニマイコンカーの製作、プログラム作成、コース試走、調整、競技会
  • 実施結果
    競技会の結果は小学生が優勝するなど、プログラムの工夫・アイデア次第で性能が変わる等、興味深い結果であった。また、アンケート調査の結果、参加者全員が「楽しかった」、15名中12名が「次回も参加したい」と回答するなど、参加者にも大好評であった。
(イ)高校生による中学生実技指導講習会
  • 開催日時
    平成17年12月5日(月曜日)9時〜12時
  • 開催場所
    熊本県立御船高等学校電子機械科実習室
  • 参加者
    御船中学校生36名
  • 指導者
    熊本県立御船高等学校マイコン制御部員
  • 実施内容
    「競技用ロボットの製作」
    受講者を4班に分け、本校生の指導のもと以下の各項目の実習を行った。その後、各班の作品を持ち寄って組み立て、完成させた。

班別実習項目 実施内容
機械加工・手仕上げ作業 旋盤・フライス盤による車輪の切削作業の見学。ステーのタップたて作業の実習。
けがき・穴あけ作業 シャーシのけがき作業、穴あけ作業の実習。
組み立て作業 ギアボックスの組み立て、スイッチボックスのけがき・穴あけ作業の実習。
配線作業 スイッチ、モータ、電池ボックス等の配線実習

  • 実施結果
    アンケート調査の結果、34名中26名が「大変興味を持った」、8名が「少し興味を持った」と回答するほど参加者にも大変好評であった。また、中学校ロボット全国大会出場の際に、このとき製作した部品が活用された。
(ウ)技術講演会
  • 演題
    「最先端のロボット技術について」
  • 講師
    九州東海大学特任教授 西川 正雄 氏
  • 開催日時
    平成18年1月30日(月曜日)13時30分〜15時30分
  • 実施会場
    御船高校セミナーハウス
  • 参加者
    御船高校電子機械科1年生、および御船小学校・御船中学校・御船高校職員
  • 実施結果
    本校1年生には難しいテーマかとも思ったが、ビデオ等も多用された講演は非常にわかりやすく興味深いものであった。事後の感想文の中でも、多くの生徒が、技術の進歩を実感し、ロボットを身近に感じた事を述べていた。
(エ)ロボットふれあい教室
  • 実施日時
    平成18年1月27日(金曜日)14時20分〜15時5分
  • 実施会場
    御船町立御船小学校体育館
  • 参加者
    御船小学校児童380名、御船高校生徒12名、両校職員
  • 実施内容
    過去5年間の全国大会に出場したロボットを本校生が実演、その後、本校生の指導により小学生数名がロボット操縦体験をした。
  • 実施結果
    ロボットの実演中は何度も歓声が上がり、また、操縦体験では希望者が殺到するなど大好評であった。
(オ)御船町の施設で使用する実用ソフトウェアの開発

 「情報分野における地域社会への貢献」を目標に、御船町図書館と御船町スポーツセンターに相談したところ、各種管理や図書処理分野でのニーズがあったため、そのソフトウェア制作に取り組むことにした。3年生の「課題研究」班の中にプロジェクトチームを作り、授業の復習や関数・マクロの応用、様々な機能も課題解決のために学習しながらソフト製作にあたった。製作過程では担当者との打ち合わせを何度も行い、各処理のプログラム作成も進めた。図書データの入力は、生徒が放課後や夏休みを利用して取り組み、11月には完成、御船町への引き渡しを行った。担当の方にも好評で現在活用していただいている。

(カ)ロボット製作に関する中学校との技術交流会

 第1回を7月に実施。ロボット製作に取り組んでいる御船中学校生が本校を訪問し、本校の過去の全国大会に出場したロボットの実演等を見学し、機構の学習、操縦体験等をした。その後も年間を通して随時実施した。

イ 平成18年度
(ア)ミニマイコンカー製作会
  • 主催
    熊本県立御船高等学校
  • 開催日
    平成18年8月1日(火曜日)・2日(水曜日)
  • 開催場所
    熊本県立御船高等学校第一コンピュータ室および自動制御実習室
  • 参加者
    御船中学生6名 御船小学生7名
  • 講師等
    熊本県立御船高等学校職員およびマイコン制御部員
  • 実施内容
    平成17年度と同様。
(イ)御船高校杯上益城郡小・中学校ロボット大会
  • 主催
    熊本県立御船高等学校
  • 開催日
    平成18年8月7日(月曜日)・8日(火曜日)
  • 開催場所
    熊本県立御船高等学校第一コンピュータ室および教室
  • 参加者
    中学生18名(上益城郡内7校)御船小学生7名
  • 実施内容
    小学生・中学生・引率の先生を4名ずつの9チームにランダムに班分けし、二日間を通して熊本県中学校ロボット大会A0部門のロボットの製作を行い、最後には班対抗の大会を実施した。
  • 実施結果
    初めての試みであったが、参加者には好評で、大会も盛り上がった。実施後のアンケートでも「ロボットをつくる楽しさが更に湧いた」「今まで知らなかった人達と友達になれた」「ロボットの作り方や製作手順の見通しが立った」等の感想が寄せられた。
(ウ)高校生による小学生実技指導講習会「ボクシングロボットの製作」
  • 開催日時
    平成18年8月25日(金曜日)9時〜12時
  • 開催場所
    熊本県立御船高等学校電子機械科教室
  • 参加者
    御船小学校6年生36名
  • 指導者
    熊本県立御船高等学校マイコン制御部員
  • 実施内容
    受講者を4班に分け、本校生の指導のもと、2チャンネル制御のボクシングロボットを各自1台ずつ製作した。主な作業内容は、リンクの組立、配線・はんだ付け作業等、完成した作品は各自持ち帰らせた。
  • 実施結果
    参加者には大好評で、後日参加者全員からの御礼の手紙ももらった。
(エ)ロボット競技の実演

 各方面からの依頼を受けて、過去6年間、本校から全国大会に出場した競技用ロボットの実演を行った。

  • 上益城物産フェア(10月21日)嘉島町ダイヤモンドシティ・クレア特設会場
  • 熊本県高等学校産業教育フェア(11月22日)水俣市文化会館
  • 御船町商工祭(11月26日)御船町御船川河川敷特設会場
  • 多良木町ロボフェスタ(12月3日)球磨郡多良木町多良木町民体育館
(オ)技術講演会
  • 演題
    「企業から見たものづくり」
  • 講師
    株式会社三原精機 代表取締役社長 三原 勝照 氏
  • 開催日時
    平成19年1月29日(月曜日)16時〜18時
  • 実施会場
    株式会社三原精機 上益城郡御船町滝川38
  • 参加者
    御船高校マイコン制御部生徒、及び電子機械科職員
  • 実施結果
    最初に工場見学をさせて頂いたが、多種多数のNC工作機械が稼働しており、実際の製造現場での精密機械加工に、生徒達も非常に興味を持って見学し、担当の方の説明に聞き入っていた。その後、会社の概要・事業内容・製品等についての説明。本校ロボットやマイコンカーへのアドバイス等があり、身近な地元企業で有意義な学習ができた。
(カ)ロボット製作に関する中学校との技術交流会

 例年通り、年間を通して実施した。

3)教育課程上の位置づけ

 本事業の活動の中心は本校マイコン制御部員の部活動における取組によるものであり、特に教育課程上に位置付けてはいない。

4)連携先の概要

  • 御船町立御船小学校(児童数 366名)
    熊本県上益城郡御船町滝川3 電話 096-282-0044
  • 御船町立御船中学校(生徒数 456名)
    熊本県上益城郡御船町辺田見55 電話 096-282-0002

6 活動の成果

(1)小・中学生のものづくりへの興味・関心の涵養

 各行事に参加した小・中学生は強い関心を持って熱心に取り組んでいた。事後の感想を見ても、「次回も参加したい」「次はまるまるをしたい」等の意見が多く見られ、ものづくりへの興味・関心、また本校電子機械科についての理解が高まったと思う。

(2)本校生の技術力・コミュニケーション能力の向上

 ロボットやマイコンカーの製作を小・中学生に指導するという経験を得て、本校生の技術レベルも向上し、また、当初は戸惑っていた生徒達も、経験を重ねる毎に自信を持って説明や発表・指導にあたるなど、小・中学生とのコミュニケーション能力も高まった。
 ロボット競技大会では、本校が平成16、17、18年度全国大会優勝、御船中学校が平成16、17年度全国大会優勝、18年度ベスト8入賞。マイコンカー全国大会でも本校が平成17、18年度上位入賞と、本事業を推進していく中で、技術力や意識を高め、各大会での実績に結びつけることができた。

7 2年間の研究の全体的な評価

 平成17年度は、初めての取り組みということもあり、様々な企画をたて実行することに追われ、「御船高校杯小中学校ロボット大会」等、実現できなかったものもあった。実施できたものについては、連携校からも高い評価が得られたと思う。
 平成18年度は、前年度の反省を踏まえ、年間計画に基づき、連携校との連絡を密にし、更に内容を厳選し充実させて実施することができたと思う。また、本事業の指定が終了した後も継続的な取り組みができることを目標として取り組んだ事から、来年度以降の方向性も見出すことができた。

8 今後の課題及びこれからの取り組み

 本事業終了後の継続した連携が今後の最も大きな課題である。2年間の取り組みで、その方向性や、実施にあたってのノウハウ等多くのことを得ることができたため、内容を充実発展させながら、連携を深めていきたいと思う。
 様々な活動を行ってきたが、その活動の中心となったのは本校マイコン制御部の生徒達である。今後は、より多くの生徒がこれらの活動に携わっていけるようにすることも課題である。また、企画・運営・指導にあたる職員も一部の職員のみが携わっていた点は反省点である。今後、連携を継続し深めていく上でも、学校全体で取り組んでいけるような組織作りも課題である。