平成17年度・18年度みんなの専門高校プロジェクト推進事業報告書

都道府県名 福岡県
推進地域名 糟屋郡宇美町

1 推進校の概要

(1)専門高校

学校名 福岡県立宇美商業高等学校
設置大学科 商業
設置小学科 総合ビジネス科・国際ビジネス科・ビジネス情報科
生徒数 629名
所在地 福岡県糟屋郡宇美町井野52-1 電話 092-932-0135

(2)小・中学校(小・中学校との連携の場合のみ記入)

学校名 宇美町立宇美中学校
生徒数 428名
所在地 福岡県糟屋郡宇美町宇美5-4-1 電話 092-932-0108

学校名 宇美町立宇美東中学校
生徒数 404名
所在地 福岡県糟屋郡宇美町若草2-1-1 電話 092-933-2500

学校名 志免町立志免中学校
生徒数 684名
所在地 福岡県糟屋郡志免町片峰4-3-1 電話 092-935-0064

学校名 須恵町立須恵中学校
生徒数 498名
所在地 福岡県糟屋郡須恵町上須恵1167-1 電話 092-932-0116

学校名 須恵町立須恵東中学校
生徒数 230名
所在地 福岡県糟屋郡須恵町植木1-20 電話 092-933-3255

2 研究テーマ及び研究において特に重点を置いたところ

研究テーマ「地域活性化の取組を通した経営管理能力の育成」

研究において、重視したのは以下の点である。

3 研究の概要

(1)平成17年度

ア 起業家精神育成のための取組

 1年生を対象に、「ビジネス基礎」において、起業家精神を育成するための講演会、2年生には地元大学の教授等による講義を実施した。また、3年生には「課題研究」において店舗経営を選択している生徒に、実際の起業家等による講義を実施した。

イ 店舗経営の実施

 地元スーパーマーケット内およびイベント会場における有店舗経営(7月より月2回、土曜日開催)を実施した。店舗開店に当たっては、市場調査等のマーケティング活動を十分行った。
 夏季休業中に宇美町商工会主催の「宇美町民夏祭り」に参加し、地元住民との交流を図った。

ウ 生徒による生涯学習支援事業の実施

 10月に行われた中学生に対する学校説明会において、本校情報研究部の生徒が中学生を対象にパソコン教室を実施した。

エ 効果的な中・高・大学の連携

 1、2年生全員に、ホームルーム活動の時間を利用して、産学協同の新しいビジネスモデルに取組む大学教員の講演会を実施した。
 3月には、本校生徒と近隣中学校生徒による地元スーパーマーケット内での販売体験学習を実施した(地元中学生6名が参加)。

オ ボランティア精神の育成

 地域における清掃活動や福祉施設訪問を実施した。多くの生徒が「ゴミの分別収集」に努めるなど、美化や環境に対する意識の高まりが見られた。特に、清掃活動については地道な実績が評価され、平成18年3月に地区の環境衛生連合会から表彰を受けた。

(2)平成18年度

ア 起業家精神育成のための取組

 1年生を対象に、「ビジネス基礎」において、起業家精神を育成するための講演会を実施した。2年生にはホームルーム活動の時間を利用し、地元経済に精通している社会人による講義を実施した。また、「商品と流通」等の商業科目の時間において、女性起業家がマーケティング活動に関する講演会を実施した。

イ 店舗の法人設立に関する研究

 「課題研究」において、店舗経営を選択する3年生が、税理士・中小企業診断士の指導を受け、店舗の法人設立の研究を行った。

ウ 店舗経営の継続実施と充実

 平成18年度は有店舗経営を年間19回実施した。また、インターネットを利用した電子商取引(EC)の一形態として「Webショップ」を開設するため、福岡市内にある服飾専門学校の生徒と協議を開始した。また、来店客へのアンケート調査の結果をうけ、平成17年12月より本校マーケットで販売している本校マーケットオリジナル商品の味の改良等を行った。

エ 生徒による生涯学習支援事業の継続実施

 10月に行われた中学生に対する学校説明会において、本校情報研究部の生徒が中学生を対象にパソコン教室を実施した。さらに、3年生が11月に中学生を対象に、土曜日にパソコン教室を実施した。

オ 効果的な中・高・大学の連携

 3年生全員に、ホームルーム活動の時間を利用して、産学協同の新しいビジネスモデルに取組む大学教員の講演会を実施した。
 11月には、本校生徒と近隣中学校生徒による地元スーパーマーケット内での販売体験学習を実施した(地元中学生3名が参加)。

カ ボランティア精神の育成

 校内や地域における清掃活動や福祉施設訪問を実施した。多くの生徒が清掃活動等に積極的に参加し、ボランティア精神と豊かな人間性が育まれた。また、ゴミ箱がないクラスもあり、「ゴミの減量化」の意識が向上した。

4 推進地域協議会の構成及び活動状況等

(1)構成

氏名 所属・職名
安河内 武士 宇美町商工会会長
松尾 靖彦 ベンチャーサクセスシステムズ代表
大塚 朝夫 久留米大学名誉教授
高山 憲行 福岡県立福岡農業高等学校長
藤川 正司 福岡県立水産高等学校長
長澤 基之 DreamSeedsオーナー

(2)活動状況

1)平成17年度

推進協議会を年間4回実施した。
本校における取組を報告するとともに効果的な連携の在り方等を協議した。

2)平成18年度

推進協議会を年間3回実施した。

  • ア 本校における取組を報告するとともに効果的な連携の在り方等を協議した。
  • イ 平成19年度の事業計画等を提案した。

5 推進校における活動の実施状況等

(1)活動前の地域との打ち合わせ

  • ア 連携先となる「食彩館にしてつストア宇美店」を管理する「ユービオス」の代表(宇美町商工会会長)と本校マーケットの営業日や営業時間の確認を行った。
  • イ 推進校における活動の実施計画や連携先との連携の在り方、推進地域協議会の目的や開催方法、時期の確認を行った。

(2)活動概要

1)活動のねらい

 現行の学習指導要領では、[生きる力]の育成をキーワードに、「自ら課題を設定し、自ら学び、課題を解決しようとする積極的で創造的な態度の育成」が重要視されている。また、成熟した日本経済を活性化させるためには、従来の既成概念にとらわれない新しい発想による事業の創出と雇用機会の拡大を図る必要がある。このためには、「創造性」、「主体性」等を身につけた人材、ひいては経営管理能力を持った人材の育成が極めて重要である。
 このような状況から、本校は地元宇美町商工会および企業、大学、農業高校及び水産高校等と連携を図り、平成17、18年度の2年間、以下の取組を行った。
 以下の取組を通して、地域に信頼される学校づくりを行い、自ら学び、自ら考える力などの[生きる力]を涵養し、高い志を持ち、経営管理能力を身につけた人材を育成することにした。

2)活動内容

ア 有店舗経営の実施

 店舗経営を円滑に行うために、模擬株式会社形態を採用し、生徒を「仕入・販売部」、「広告宣伝部」、「Webショップ部」、「製品開発部」等に分け、役割分担を明確にし、店舗経営に組織的に取組むようにした。
 本校父母教師会、後援会が資本金を出資し、「仕入・販売部」を中心に、地元スーパーマーケット内およびイベント会場において平成17年7月16日より有店舗経営を開始した。平成17年度は年間14回、平成18年度は年間19回、有店舗経営を実施し、平成18年7月15日には開店1周年記念を行った。
 販売商品はアンケート調査等の市場調査の結果と「地元に貢献する。全国の専門高校の取組をPRする」というコンセプトから、地元農家が生産した野菜や果物を中心に、連携先である農業高校や水産高校の商品、全国の専門高校が企画した「飴」や「せんべい」、「マドレーヌ」などのオリジナル商品である。
 生徒たちは、月2回の有店舗経営を通して、お客様とコミュニケーションを図り、社会性を身につけたものと思われる。さらに、与えられた業務を遂行するだけでなく組織の一員として、お客様への積極的で適切な「声かけ」等、進んで業務を行う姿が見られるようになった。

イ ビジネスデータの収集と分析

 本校マーケットの現状を理解し、課題を発見するために、販売に関するビジネスデータの収集と分析を行った。収集したビジネスデータを活用し、作成したグラフは青果時間帯別売上表をはじめ、パレート図、商品ポートフォリオなど、多岐にわたり、生徒たちの情報活用能力とマーケティング能力の育成に寄与した。

ウ イベントの実施

 有店舗経営は2年間で全33回を数え、多くの地域住民や保護者の方に来店していたき、地域に根ざした取組になりつつある(平成18年度1回あたり平均来店客数170名)。
 本校マーケットを含め、青果店3店が同じスーパーマーケット内にひしめくため他店との差別化を図る必要があった。他店との差別化の一つとして、近隣保育園児の作品展示や本校吹奏楽部・太鼓部による演奏会を実施した。イベントを実施した平成18年7月15日は前回6月24日に比べ、集客率約54パーセント増を記録し、連携先である「にしてつストア宇美店」の集客力にも貢献したと思われる。

エ 「宇美商マーケット」オリジナル商品の販売

 全国の専門高校のオリジナル商品を販売することで、生徒たちの本校オリジナル商品づくりに対する意識を高めることができた。
 「宇美商マーケット」オリジナル商品は、「製品開発部」の生徒が、地元農家との話し合いの中で企画したものである。商品は粕屋町の特産物であるブロッコリーの茎を塩とキムチのたれ等でつけた「漬け物」(商品名「キムッコリー」)で、本校職員や連携推進地域協議会のメンバーの試食後、平成17年12月より販売を開始した。販売に関しては保健所に相談するなど、関係機関との連携を図った。この商品は平成18年10月にNHKテレビ、12月には読売新聞から取材を受けた。生徒たちは取材に「わかりやすく手短に」対応し、プレゼンテーション能力の向上が感じられた。
 「キムッコリー」については、平成18年10月に来店者にアンケート調査を実施した。味については、回答者の77パーセントが「とてもおいしかった」と答えているが、「少し辛い」等の意見があった。値段は1パック(約200グラム)200円以下を望む回答者が78パーセントを占めた。このため味と価格について、地元農家と協議し、改良を行った。平成18年12月からは、たれに「塩、キムチのたれに蜂蜜等」を加え、マイルド味に、値段は昨年度より20円値下げし、230円で販売を行っている。毎回20パック程度の販売であるが、リピーターも増え、毎回完売している。

オ 知的財産権教育の推進

 「製品開発部」に所属する生徒が「宇美商マーケット」のイメージキャラクターとオリジナル商品のロゴマークを考案した。
 平成19年2月に、3年生が福岡市博多区にある発明協会において、弁理士から商標登録に関する講義を受けた。さらに、校内でも平成19年1月と2月に、全学年に弁理士による知的財産権に関する講演会を行っている。

カ 有店舗経営を円滑に進めるための研修会等の実施

 有店舗経営を円滑に進めるために、店舗経営に関わる全生徒を中心に研修会を実施した。平成17年度は「ビジネスプランの立て方」、「商店街の活性化」に関する講義を行った。また、他店との差別化を図る一つとして、店舗経営に関わっている生徒を対象に、「接客マナー向上」に関すると講義と実習を行った。
 平成18年度は3年生全員が必ず1回、「宇美商マーケット」で販売実習を体験させた。このため、3年生全員を対象に、「接客マナー向上」に関する講義と実習を課した。また、店舗経営を選択している生徒には、平成18年5月に施行された会社法に関する研修会を行った。この研修会を通して、会社形態に関する知識を深めさせることができた。
 多くの研修会が生徒たちの専門的な知識と技術の深化と総合化にも大いに貢献している。

キ 生徒による仕入と販売価格の設定

 本校生徒は農業高校や工業高校等の生徒たちとは違い、自分たちが作った商品を販売する機会が少ない。そのため、店舗経営に対して「いかにモチベーションを維持し、高めるか」が課題となる。そこで、生徒自身が仕入先に電話し、仕入を行い、値段をつけることで、「自ら考え、主体的に物事を判断する」機会を多く設けた。
 平成18年度は、店舗経営に関わっている生徒は「課題研究」の時間に、チラシを配付することも行った。配る際に、チラシに関する「お客様の声」を聞き、そのデータを次に生かすなど、組織の一部として活動していることを実感させることにした。
 昨年度より、「仕入・販売部」、「広告宣伝部」等の各部長による部長会議を原則、毎週火曜日に開催している。会議の内容は有店舗経営の目的や販売に関するデータの提示と分析結果の報告、「チラシ」等に「お客様の声」をどのように生かすかである。
 これらの活動をとおして、生徒のモチベーションが高まり、企画運営能力が育成された。また、仕入先との円滑な人間関係づくりに努める等、ビジネスパーソンとしての資質をみがいた。

ク 起業家精神育成のための取組

 平成17年は9月(平成18年度は6月に)に1年生全員を対象に、「ビジネス基礎」において、起業家による講演会を実施した。また、平成18年度には2年生に対して、ホームルーム活動の時間を利用し、地元経済に精通している方に講義をしていただいた。さらに、「商品と流通」等の授業において、女性起業家による講演会を実施した。
 1年生は「起業の魅力とリスク」、2年生には「地元経済を知る」、「起業家に必要なマーケティング活動」に関する講義であった。このような研修会を通して、2年生に店舗経営に対する興味と関心が広がっている。

ケ 問題解決のための継続的な学習の推進

 平成17、18年10月に行われた中学生に対する学校説明会において、本校専門教育についての理解を深めるために、本校情報研究部の生徒が中学生を対象にパソコン教室を実施した。11月に土曜日に行われたパソコン教室においても生徒たちが日頃学習している内容を地域にPRでき、生涯学習の精神を身につけさせる一助となった。

コ 中・高・大学の連携

 平成17、18年度、3年生全員に、ホームルーム活動の時間を利用して、産学協同の新しいビジネスモデルに取組む大学教員の講演会を実施した。
 平成18年3月と11月には、本校生徒と近隣中学校生徒による地元スーパーマーケット内での共同販売体験会を実施し、本校の特色のある取組をPRすることもできた。

サ ボランティア活動の実施

 地域における清掃活動や福祉施設訪問を実施した。4月より8回、2年生と部活動に所属している生徒が、学校やJR宇美駅周辺の清掃活動に取組んだ。
 これらのことを通して、多くの生徒に環境に対する意識の高まりが見られたとともに、ボランティア精神と豊かな人間性が育まれた。また、近隣の老人福祉施設訪問等における介護補助体験等を通して、福祉マインドが育成されたと思われる。

3)教育課程上の位置づけ

「課題研究」の時間を利用して実施した。

4)連携先の概要

施設名称 食彩館にしてつストア宇美店
住所 福岡県糟屋郡宇美町宇美4丁目8-1
JR香椎線宇美駅より徒歩1分、本校より徒歩約15分
売場面積 1,482.15平方メートル(建物面積 2,123.55平方メートル)
営業時間 午前10時〜午後9時

6 活動の成果

(1)「自ら課題を設定し、解決する能力」の育成に貢献

 生徒は、実際に店舗経営を行うことで、お客様や他店との従業員とコミュニケーションを図り、社会性を身につけたものと思われる。さらに、商品陳列の工夫、与えられた業務を遂行するだけでなく組織の一員として、お客様への積極的で適切な「声かけ」等、進んで行う姿が見られ、「自ら課題を設定し、解決する能力」の育成に大いに貢献した。

(2)他店との差別化による効果

 接客マナーの向上やイベントの効果は、「にしてつストア宇美店」で行った来店者へのアンケート調査から理解できる。平成17年9月に実施したアンケート調査の結果によれば、回答者の80パーセントが店の印象について「感じが良かった」と答え、70パーセントが「次回も来店する予定である」と答えている。また、平成18年10月に行った調査では76パーセントの回答者が「感じが良かった」と答えている。昨年度の調査に比べ4ポイント下がっているが、「次回も来店する予定である」と答えた来店者が88パーセントにのぼり、昨年度に比べ18ポイント増えるなど差別化の効果が現れている。

(3)店舗経営の地域への浸透

 本校が取組んでいる店舗経営は、多くの新聞やTVに取り上げられた。また、宇美町商工会の機関紙に紹介されるなど、パブリシティを通して地域に浸透しつつある。平成18年10月に実施した来店者へのアンケート調査から、来店する地域が宇美町68パーセント、須恵町23パーセントと広がりつつある(平成17年の調査では来店者の90パーセントが宇美町)。さらに、本校生徒と近隣中学校生徒による地元スーパーマーケット内での共同販売体験会の実施も、本校店舗経営をPRすることに貢献した。

(4)課題の発見

 販売情報に関するビジネスデータの収集と分析によって、本校マーケットの課題を発見することができた。本校マーケットの課題は2つである。一つ目が安価な仕入先の確保が難しいことであり、二つ目が開店から30分ごとに調査した「青果時間帯別売上表」の結果、青果の約70パーセントが午前中(11時30分)までに売れ、午後に来店されるお客様に「品薄感」を感じさせることである。この「品薄感」が平均買上率が低い原因の一つと考えられる(平成18年度1回あたり、平均買上率65.1パーセント)。

(5)進路意識の向上とキャリア教育の充実

 社会人の講話、「課題研究」における生徒の調査研究や討論、地元文化会館での発表会等を通して、生徒たちは「自らの在り方生き方」を考え、高い志を持ち、進路意識の向上につながったと思われる。2年間の取組と夏季休業中に行われるインターンシップ等がキャリア教育の充実にもつながっている。

7 2年間の研究の全体的な評価

 有店舗経営に関して、平成17年度は生徒の「接客マナー」の向上とチラシ等の販売促進活動の充実、イベントの実施に重点を置いた。平成17年度全14回の平均売上高は約9万4千円と高い金額を記録している。しかし、全国の専門高校オリジナル商品の発送費負担や生徒の研修に際して支出した交通費等の費用を差し引くと約3万円の赤字決算であった。
 平成18年度は単年度黒字決算をめざし、「接客マナー」の向上とイベントの実施、本校オリジナル商品の改良に重点を置き取組んだ。平成18年度の平均売上高は約6万1千円であり、発送費負担やイベントにおける楽器運送料等の費用を差し引くと、10月の中間決算では約9万円の赤字決算であった。
 平均売上高が昨年度に比べ、約3万円減少している理由は、以下の2つであると考えられる。一つ目は昨年度に比べ、マーケットに新鮮さが薄れたこと。二つ目は売上高の約70パーセントを占める青果の値段が、同じスーパーマーケット内にある他の青果店に比べて高いことである。
 しかし、平均客単価(売上高わる買上客数)が著しく高い金額を記録するなどのプラス面もあった。例えば、平成18年1月14日の平均客単価は546円であったが、平成19年1月13日の平均客単価は811円を記録している。冬の食卓を意識した青果を揃え、昨年度以上にPOP広告を充実させるとともに青果の調理方法を提示したことが平均客単価の増加につながった。
 地元農家との連携で誕生したオリジナル商品や本校生徒による中学生へのパソコン教室等が地域との連携を深め、生徒たちが日頃学習している内容を地域にPRでき、生涯学習の精神を身につけさせる一助となっている。
 このような2年間の取組が評価され、平成19年3月1日に「高校生新聞社」賞を受賞した。また、平成18年12月より、連携先である地元農家が企画・立案した新サービス(生まれた子どもの体重分の合鴨米を内祝いとして送る)の取り次ぎを店頭で行うなど、新たな取組を開始した。
 2年間の取組を通して、以下の成果があった。

8 今後の課題及びこれからの取組

 平成19年度は、年間14回の有店舗経営を予定している。「課題研究」の時間を利用し、生徒を「仕入・販売部」、「広告宣伝部」、「経理部」等に分け、店舗経営を円滑に運営していく計画である。平成19年2月に、2年生に対して行った「課題研究」選択仮調査の結果、84名の生徒が本校マーケットに関わりたいと回答している。
 現在、福岡県では本校を含め3校が継続的に有店舗経営を行っている。このような学校の生徒同士が綿密に情報交換し、福岡県の起業家教育に関する取組がもっと活発になることが望まれる。本校はこのような起業家教育の中心校をめざし、今後とも取組んでいく所存である。今後も、来年度に向けて、より円滑に効果的な店舗経営ができるように職員の協力体制を強化し、経営感覚あふれる生徒の育成を目指していく所存である。