平成17年度・18年度みんなの専門高校プロジェクト推進事業報告書

都道府県名 鳥取県
推進地域名 倉吉市

1 推進校の概要

(1)専門高校

学校名 倉吉農業高等学校
設置大学科 農業
設置小学科 環境科学科
生徒数
  • 2年34名
  • 3年24名
所在地 鳥取県倉吉市大谷166 電話 0858-28-1341

(2)小・中学校(小・中学校との連携の場合のみ記入)

学校名 倉吉市立社小学校
生徒数
  • 4年57名
  • 5年58名
所在地 鳥取県倉吉市国分寺88 電話 0858-28-0951

学校名 三朝町立南小学校
生徒数
  • 5年8名
  • 6年4名
所在地 鳥取県東伯郡三朝町穴鴨166番地の2 電話 0858-44-2211

2 研究テーマ及び研究において特に重点を置いたところ

 子どもたちが自然と親しみながら、水田や山での体験学習することにより「学ぶ楽しさ」と「自然を愛する心」を育て、また高校生が主体となって実施し、指導することにより、指導性と社会性を身に付けさせることを重点に置いた。

3 研究の概要

(1)平成17年度

 水田の体験学習を通して、地域の文化や食の教育について考える。特に、「代満」「亥の子」「収穫祭」などを通して、栽培体験に留まらず「食]の安全・安心へ興味関心を育てる。また、本校生徒が主体となって実施し、指導することにより、指導性と社会性を身に付けさせる。

(2)平成18年度

 水田学習と森林学習を取り入れることで、森の水の浄化作用・貯水効果、水田への水の循環など環境学習へ広がりを期待する。
 水田と森林を活用したした学習を行い、子どもたちが自然と親しみながら体験的に学習することにより、学ぶ楽しさと自然を愛する心を育てる。

4 推進地域協議会の構成及び活動状況等

(1)構成

平成17年度

氏名 所属・職名
佐伯 明徳 倉吉市立社小学校 校長
山下 通孝 倉吉市立社小学校 教諭
前田 久美 倉吉市立社小学校 教諭
中島 立志 倉吉市立社小学校 教諭
福嶋 直美 倉吉市立社小学校 教諭
横山 耕司 倉吉市立社小学校 教諭
福田 早由里 倉吉市立社小学校 教諭
岸田 泰彦 湯梨浜町立羽合東小学校 校長
田鍬 誠司 湯梨浜町立羽合東小学校 教諭
中川 聰七郎 鳥取環境大学 教授
小林 朋道 鳥取環境大学 教授
岩本 恭昌 鳥取県立倉吉農業高等学校 校長
大坂 芳郎 鳥取県立倉吉農業高等学校 教頭
日置 栄治 鳥取県立倉吉農業高等学校 教頭
田中 正士 鳥取県立倉吉農業高等学校 農場長
山田 徳明 鳥取県立倉吉農業高等学校 教諭
北村 真吾 鳥取県立倉吉農業高等学校 教諭
稲田 一 鳥取県立倉吉農業高等学校 教諭
澤本 英人 鳥取県立倉吉農業高等学校 教諭
村上 千惠美 鳥取県教育委員会事務局高等学校課 指導主事

平成18年度

氏名 所属・職名
佐伯 明徳 倉吉市立社小学校 校長
中島 立志 倉吉市立社小学校 教諭
福嶋 直美 倉吉市立社小学校 教諭
横山 耕司 倉吉市立社小学校 教諭
福田 早由里 倉吉市立社小学校 教諭
増田 麗子 三朝町立南小学校 校長
谷口 あけみ 三朝町立南小学校 教諭
宮本 和久 三朝町立南小学校 教諭
中川 聰七郎 鳥取環境大学 教授
小林 朋道 鳥取環境大学 教授
大坂 芳郎 鳥取県立倉吉農業高等学校 校長
日置 栄治 鳥取県立倉吉農業高等学校 教頭
藤田 光司 鳥取県立倉吉農業高等学校 教頭
山根 俊一 鳥取県立倉吉農業高等学校 農場長
山田 徳明 鳥取県立倉吉農業高等学校 教諭
北村 真吾 鳥取県立倉吉農業高等学校 教諭
稲田 一 鳥取県立倉吉農業高等学校 教諭
澤本 英人 鳥取県立倉吉農業高等学校 教諭
船越 涼子 鳥取県立倉吉農業高等学校 講師
齋尾 昌之 鳥取県教育委員会事務局高等学校課 指導主事
村上 千惠美 鳥取県教育委員会事務局高等学校課 指導主事

(2)活動状況

1)平成17年度

6月、9月、10月、11月に以下の内容を行った。

1.「田んぼの学校」
種まき
  • 5月11日(水曜日)9時〜11時
  • 参加者
    社小学校5年生 67名
  • 指導者
    環境科学科 エコグリーンコース 3年生
田植え競技会(代満まつり)
  1. 日時
    平成17年6月17日(木曜日)5、6限目(13時30分〜15時10分)
  2. 場所
    倉吉農業高等学校 水田(2号田の一部)
  3. 品種
    コシヒカリ
案山子コンテスト
  1. 日時
    平成17年10月20日(木曜日)5、6限目(13時20分〜15時10分)表彰は、稲刈り・稲架掛け競技会といっしょに行う。
  2. 場所
    倉吉農業高等学校 水田(2号田の一部)
  3. 内容
    案山子コンテストの実施方法:各班で、かかしを1体作成。
稲刈り・稲架掛け競技会(秋祭り)
  1. 日時
    平成17年10月20日(木曜日)5、6限目(13時30分〜15時10分)
  2. 場所
    倉吉農業高等学校 水田(2号田の一部)
収穫祭
  1. 日時
    平成17年11月2日(水曜日)本校の学校祭(10時10分〜12時)
  2. 場所
    倉吉農業高等学校

2)平成18年度

 事業計画案作りの協議会を4月に行い、6月、9月、10月、11月に各実施内容・方法等の確認などの打ち合せの会を行った。

1.「田んぼの学校」
種まき
  1. 日時
    5月10日(水曜日)午前中
  2. 場所
    倉吉農業高等学校 農業実習室 後ろ側
  3. 品種
    (コシヒカリ)
  4. 内容
    〜9時30分 倉吉農業高校集合
    9時30分〜9時45分 対面式(開会式)
    9時45分〜10時 説明
    10時〜10時45分 種まき
    10時45分〜11時 片付け
    11時〜11時10分 閉会式
田植え
  1. 日時
    6月14日(水曜日)5、6限目(13時30分〜15時10分)
  2. 場所
    倉吉農業高等学校 水田(2号田の一部)
  3. 品種
    (ヒトメボレ)
  4. 内容
    13時30分〜13時40分
    • 開会式(進行:倉農高3年生)
    • 歓迎のことば(倉農高3年生)
    • 学校長挨拶(倉農高学校長)(社小学校長)
    • 競技説明(倉農高3年生)…田植えの仕方を指導
    13時40分〜14時20分
    • 田植え(競技)開始
    • 審査:倉農高学校長、社小学校長、本校農場長
    14時20分〜14時35分
    • 代満準備…環境科学科2年、3年女子
    14時35分〜15時
    • 代満(しろみて)
    15時〜15時10分
    • 閉会式(進行:倉農高3年生)
    • 審査結果及び講評 農場長
    • 校長挨拶(倉農高校長)
案山子(コンテスト)
  • 日時
    10月19日(木曜日)5、6限目(13時20分〜15時10分)表彰は、稲刈り・稲掛け(競技会)といっしょに行う。
  • 場所
    倉吉農業高等学校 水田(2号田の一部)
  • 内容
    9月上旬 材料を各学校に配付
    角材、ガムテープ、針金
    10月上旬 案山子を、本校水田に設置。設置に際しては、自分たちが田植えをした場所の前に設置。
    10月16日 審査発表
  • 案山子コンテストの実施方法
    各班で、かかしを1体作成。
  • 審査方法
    設置期間中に、会場に投票箱を設置し、一般の方にも投票をしてもらう。
    10月16日(月曜日)15時を締め切りとした。
    稲刈り・稲掛け競技会の中で表彰を行う。
稲刈り(競技会)
  1. 日時
    10月19日(木曜日)5、6限目(13時30分〜15時10分)
  2. 場所
    倉吉農業高等学校 水田(2号田の一部)
  3. 内容
    13時30分〜13時40分
    • 開会式(進行:倉農高3年生)
    • 歓迎のことば(倉農高3年生)
    • 学校長挨拶(倉農高学校長)(社小学校長)
    • (競技)説明(倉農高3年生)…稲刈り・稲掛けの方法を指導
    13時40分〜14時20分
    • 稲刈り・稲掛け(競技)
    • 審査:倉農高学校長、社小学校長、本校農場長
    14時20分〜14時35分
    • 亥の子準備…環境科学科女子生徒
    14時35分〜15時
    • 亥の子行事
    15時〜15時10分
    • 閉会式(進行:倉農高3年生)
    • 審査結果及び講評 農場長
    • 校長挨拶(倉農高校長)
収穫祭(もちつき)
  1. 日時
    平成18年11月2日(木曜日)本校の学校祭(10時10分〜12時)
  2. 場所
    倉吉農業高等学校
2.「山の学校」
1コナラの植林、保育管理(演習林)

我が国の主な造林法に関する知識と技術を学び、造林、保育管理、林木の保護の重要性と、国土・環境の保全など森林の持つ多面的な機能を理解する。

2きのこのビン栽培(エリンギ、エノキタケ、ヒラタケ)

オガクズ栽培をとおして、きのこに関する知識と技術を学び、その生態と培養について理解する。

コナラの植林
  • 6月13日(火曜日)三朝南小学校(5年生8名、6年生4名) 午後
    13時 三朝南小学校(発)
    13時30分 植林地集合(着)
    13時30分〜13時45分 対面式(開会式)
    13時45分〜14時 説明
    14時〜15時 植林
    15時〜15時15分 片付け
    15時15分〜15時30分 休憩
    15時30分〜15時45分 閉会式
    15時45分 植林地(発)
    16時 学校(着)
  • 9月20日(水曜日)社小学校(4年生57名) 終日
    8時50分 社小学校(発)
    9時30分 植林地集合(着)
    9時30分〜9時45分
    • 対面式(開会式)
    • 開会
    • 学校長挨拶(倉農)
    • 生徒代表あいさつ(倉農)
    • 諸注意の連絡
    • 閉会
    9時45分〜10時 説明
    10時〜12時 植林
    12時〜12時15分 片付け
    12時15分〜13時 昼食・休憩
    13時〜13時30分 講話
    13時30分〜14時 散策
    14時〜14時15分 閉会式
    • 開会
    • 学校長挨拶(社小)
    • 生徒代表あいさつ(社小)
    • 生徒代表あいさつ(倉農)
    • 連絡
    • 閉会
    14時30分 植林地(発)
    15時 学校(着)
下刈り(保育管理)
  • 9月21日(木曜日)三朝南小学校(5年生8名、6年生4名)
    13時 三朝南小学校(発)
    13時30分 植林地集合
    13時30分〜13時45分 開会式
    13時45分〜14時 説明
    14時〜15時 下刈り
    15時〜15時15分 片付け
    15時15分〜15時30分 休憩
    15時30分〜15時45分 閉会式
    15時45分 植林地(発)
    16時 学校(着)
きのこのビン栽培(エリンギ・エノキタケ)
  • 9月26日(火曜日)社小学校(4年生57名) 午後1時45分〜3時15分
    13時30分〜  
    13時45分〜14時25分 オガクズ培地の調製(A組)・植菌(B組)
    14時30分〜15時10分 オガクズ培地の調製(B組)・植菌(A組)
    15時10分〜15時20分 説明
    15時20分〜15時30分 閉会式

5 推進校における活動の実施状況等

(1)活動前の地域との打ち合わせ

 「みんなの専門高校プロジェクト推進事業に係る協議会」を年度当初に立ち上げ、地域の小学校や大学などと計画・立案・意見交換を行った。

(2)活動概要

1)活動のねらい

 地域文化や食の教育、環境教育について学習を行い、子どもたちが自然と親しみながら体験的に学習することにより、「学ぶ楽しさ」と「自然を愛する心」を育てる。
 また、本校生徒が主体となって実施し、指導することにより、指導性と社会性を身に付けさせる。

2)活動内容

  1. 田んぼ学校(平成17年度・18年度)
  2. 山の学校(平成18年度)

3)教育課程上の位置づけ

2年生・3年生 総合実習

4)連携先の概要

地域の小学校(倉吉市立社小学校、三朝町立南小学校)

6 活動の成果

 高校生にとっては、教えることの難しさを実感し、指導性や社会性を身につけるきっかけとなった。また、小学生との交流をすることで、授業中とはまた別の顔を見ることができた。小学生においては、同級生や大人との人間関係が多い中、青年期のお兄さん、お姉さんとの交流がとてもいい刺激になったようである。

(児童の感想)

  • 代満の行事のことが、よく分かってよっかったし、豚汁がおいしかった。
  • カカシ作りが苦労したけど、いいのが出来てよかった。みんなと協力できたのがよかった。
  • 木を植えて、山の大切さがよく分かった。水を大切にしたいと思った。

(保護者の感想−お礼の手紙より−)

  • 田植えでは良い経験をさせていただきました。ありがとうございました。(土に触れ、米・野菜等を育てることは色々な事を教えてくれると思っていますがそういう機会がなかなかです。)以前50年農業をしておられる方が「50回しか米も作れない。」「1年、1年が大事で失敗したからととやり直し出来ない。」と言われたのを思い出します。自然と関わる事を少しでも感じてくれたのではないでしょうか。きれいな花の苗をありがとうございました。 羽合小4年 保護者より

7 2年間の研究の全体的な評価

 鳥取の地は、自然がたくさん残っている。「山の近くに住んでいる子供は、山に親しみ、田んぼの近くに住んでいる子供は、田んぼに親しんでいる。」と思い込んではいないか?しかし、子供たちは、自然と共に生活をしていない。生徒・児童は、自然に近づけない。そんな現状がよく分かったような気がした。体験学習を通して、交流だけに留まらず、身近な自然に気付き、気にかける児童、生徒になってもらう一因になった。

8 今後の課題及びこれからの取組

 環境科学科での行事でありながら、エコグリーンコース(田んぼの学校)とグリーングリーンコース(山の学校)の2つのコースで担当した。そのため、「水田学習と森林学習を取り入れることで、森の水の浄化作用・貯水効果、水田への水の循環など環境学習へ広がりを期待する。」とあるが、コースごとにはいい体験学習になったが、全体としての「環境学習への広がり」は不十分であったように思う。体験学習だけに、終わることなく大きな広がりになることを期待する。