平成17年度・18年度みんなの専門高校プロジェクト推進事業報告書

都道府県名 兵庫県
推進地域名 香美町

1 推進校の概要

(1)専門高校

学校名 兵庫県立香住高等学校
課程 全日制
設置大学科 水産
設置小学科 水産学科
生徒数 165名
住所及び電話番号 兵庫県美方郡香美町香住区矢田40-1 電話 0796-36-1181
学校・生徒等の特色・状況等
 漁業科、水産食品科、普通科からなる総合制高等学校である。兵庫県は日本海と瀬戸内海に面しているため、県下の広範囲から生徒が集まってくる。昭和63年度から、漁業科では遠洋漁業コースと栽培漁業コース、水産食品科では食品製造コースと食品流通コースを設置している。「シーフードクッキング」などの学校設定科目を多く取り入れ、地域・産業界と連携を図りながら、特色ある学校づくりを展開している。
 平成19年度から漁業科、水産食品科の募集を停止し、新たに海洋科学科2クラスに学科改編する。

2 研究テーマ及び研究において特に重点を置いたところ

 本校が有する教育資源(人的・物的)を活用し、生徒がもつ専門性を生かした地域貢献活動を実施するとともに、地域産業が求めるニーズに対する研究や取組みを行う。このことにより、地域と連携しながら将来の産業を担う専門高校生を育成し、地域の活性化を図るとともに、生徒の心身の豊かさを育み、住みよい町づくりに貢献する。
 水産学科水産食品科の専門性を生かし、調理加工の分野で本校の過去から蓄積した情報を活用し、効果的に研究活動や取組を実践する。地域に開かれた学校づくりを推進するとともに、水産高校生が体験学習を指導することで生徒自身の学習意欲の向上を図り、自信と誇りを持たせ、併せて異年齢との交流を通してコミュニケーション能力のスキルを向上させる。今回の研究指定においては、地域活性化のモデルとしての役割を果たし、地域に貢献する学習センターとしてのノウハウを発信した。
 さらに、水産を基幹産業として生業にしている町に対して、地元の活性化を推進するとともに、地域と一層連携して「食の安全」に配慮した新しい学校づくりを展開する。

3 研究の概要

年次 研究概要
第1年次(平成17年度)
  • 1本プログラムの趣旨および実施計画等について、各連携校間の共通理解を深める。
    • 推進協議会の開催(1回)
    • 専門高校と連携機関との意見交換会および合同研修会の実施
  • 2水産高校生徒による地域産業のニーズに対応した調査・研究
  • 3地元で水揚げされる水産物を使った新製品の企業との共同開発
  • 4特別非常勤講師制度を利用したプロの専門調理師による地域オープン講座
  • 5幼・小・中学校、福祉施設等と連携し、専門性を生かしたボランティア活動
第2年次(平成18年度)
  • 1本プログラムの実施状況およびその課題点等について、各連携校間の共通理解を深める。
    • 推進協議会の開催(1回)
    • 専門高校と機関との意見交換会および中間報告会の実施
  • 2水産高校生徒による地域産業のニーズに対応した調査・研究
  • 3地元で水揚げされる水産物を使った新製品の企業との共同開発
  • 4特別非常勤講師制度を利用したプロの専門調理師による地域オープン講座
  • 5幼・小・中学校、福祉施設等と連携し、専門性を生かしたボランティア活動

4 推進地域協議会の構成及び活動状況等

(1)構成

  氏名 所属・役職 備考
1 平井 敬員 兵庫県教育委員会高校教育課 課長 推進委員
2 長谷川 豊 兵庫県教育委員会高校教育課 指導主事 推進委員
3 中村 曉 香住区商工会 会長 推進委員
4 田嶋 豊久 香住区民宿組合 組合長 推進委員
5 藤原 久嗣 香美町 町長 推進委員
6 村瀬 晴好 柴山港漁業協同組合 代表理事組合長 推進委員
7 今西 弘 柴山港水産加工協同組合 代表理事組合長 推進委員
8 里村 克 香住町水産加工協同組合 代表理事組合長 推進委員
9 吉岡 修一 香住町漁業協同組合 代表理事組合長 推進委員
10 伊藤 誠 香住ロータリークラブ 会長 推進委員
11 青山 政彦 たじま農業協同組合 香住支店支店長 推進委員
12 駒居 博之 県立香住高等学校同窓会 会長 推進委員
13 田中 一行 県立香住高等学校PTA 会長 推進委員
14 樋口 忠幸 県立香住高等学校 校長 推進委員
15 森澄 実 県立香住高等学校 水産食品科長 事務局長

(2)活動状況

1)平成17年度

日付 協議研究内容
4月27日(水曜日) 自然学校の受け入れ
5月16日(月曜日) 地域水産加工技術セミナー
5月20日(金曜日) わかめ実習
6月8日(水曜日) 学校間交流その他
9月13日(火曜日) 親子実習
11月30日(木曜日) 地域オープン講座
12月5日(月曜日) クリスマス幼稚園クッキープレゼント
1月29日(日曜日) 独居老人宅への弁当配付
3月3日(金曜日) 協議会
  • 平成17年度の活動報告(中間報告)
  • 平成18年度の事業計画について

2)平成18年度

日付 協議研究内容
5月23日(火曜日) 自然学校の受け入れ
5月26日(金曜日) わかめ実習
5月30日(火曜日) 学校間交流その他
6月1日(木曜日) 親子実習
6月22日(木曜日) 地域オープン講座
8月29日(火曜日) のじぎく兵庫国体参画支援事業
12月8日(金曜日) クリスマス幼稚園クッキープレゼント
3月18日(日曜日) 協議会
  • 平成17年度・18年度の活動報告
  • これからの事業計画について

5 推進校における活動の実施状況等

(1)活動前の地域との打ち合わせ

 事前に推進校事務局を中心として各事業が円滑に進行できるように関係者へ連絡をする。

(2)活動概要

1)活動のねらい

 専門高校の活性化と地域の活性化を推進しつつ、研究活動を遂行する。本校が有する教育資源(人的・物的)を活用し、生徒がもつ専門性を生かした地域貢献活動を実施するとともに、地域産業が求めるニーズに対する研究や取組を行う。このことにより、地域と連携しながら、将来の産業を担う専門高校生を育成し、地域の活性化を図るとともに、生徒の心身の豊かさを育み、住みよい町づくりに貢献する。

2)活動内容

平成17年度
学校名
学科・学年・生徒数
活動の概要(活動内容・方法、ねらい、教育課程上の位置づけ等) 連携先の学校、学年、児童及び生徒数(学校以外の場合は、施設名及びその規模)
推進校
県立香住高等学校
推進協議会(1回)
  • 実施計画等について協議
  • 意見交換、情報交換等
  • 中間報告会・報告集の発行
構成委員は15名
会場(事務局校)
県立香住高等学校
水産食品科
1年生40名
1生徒による地域産業のニーズに対応した調査・研究
  • 地域水産物の資源化とその有効利用
    (ワカメ栽培など)
    但馬水産技術センターから技術員を招く
    ゴミが散乱していた海岸を地域貢献も兼ねてワカメが成育しやすい環境にするために清掃活動を実施
    収穫したワカメを利用した新商品の開発
2講演会 6月21日(火曜日)第5回地域水産加工技術セミナー −安全・安心な水産加工品づくりのまち 香住
【実施場所 香住高校】
[備考:全学年]
県立香住高等学校
水産食品科
2年生30名
1自然学校の受け入れ 4月28日(木曜日)
交流を兼ねイカ味付け缶詰実習
記念のオリジナル手作りラベル缶を使用
豊岡市立城崎小学校38名
2神崎高等学校との学校間交流事業 9月8日〜9日
食品加工体験を実施
スルメイカ一夜干し、イカ味付け缶詰、林檎ジャム
県立神崎高校1年生79名
3親子実習の実施 9月14日(水曜日)
うな丼、うなぎの肝吸い
香美町民23名
4香美町香住区民祭参加
学校間交流の一環として県立神崎高等学校も地域の特産品販売として参加
  • 販売実習(水産加工製品など)
  • スイートポテトづくり教室
香美町民約200名
5地域の人と生徒が一緒に学ぶ地域オープン講座 12月1日(木曜日)
指導者:特別非常勤講師 森垣 実(城崎温泉西村屋ホテル招月庭副料理長)
【メニュー】カニ甲羅グラタン、カニの握りずし
香住小学校低学年10人
香美町民6名
【実施場所 香住高校】
県立香住高等学校
水産食品科
3年生30名
1神崎高等学校との学校間交流事業 9月8日〜9日
食品加工体験を実施
スルメイカ一夜干し、イカ味付け缶詰、林檎ジャム
神崎高校1年79名
2地域の人と生徒が一緒に学ぶ地域オープン講座 7月1日(金曜日)
指導者:特別非常勤講師 井上 明彦(佳泉郷井づつや総料理長)
【メニュー】エスカルゴ風和風グラタン、サザエの炊き込みご飯
香美町民6名
3クリスマス幼稚園クッキープレゼント 12月6日(火曜日)
  • 手作りクッキーのプレゼント
  • 手製の紙芝居とクイズ大会での交流会
香美町香住区内6幼稚園
香美町民185名
4一人暮らしのお年寄りへのシーフードを使ったお弁当の配達 1月30日(月曜日)
お年寄りに配慮し味付けには香住のきれいな海水から精製した天然の「塩」を使用
50人の一人暮らしのお年寄り宅を訪問し1軒ずつ心を込めて生徒が配達
【メニュー】かにずし、ゆで卵の煮物、かぼちゃ煮付け、アラメの佃煮、ほうれん草の胡麻和え、ニシンの昆布巻き、ミニトマト(生野菜)
香美町民50名
5地域の水産加工業MAPの作製
水産加工業について調べwebページとして情報を発信
香美町民19名
【実施場所 香住高校】
平成18年度
学校名
学科・学年・生徒数
活動の概要(活動内容・方法、ねらい、教育課程上の位置づけ等) 連携先の学校、学年、児童及び生徒数(学校以外の場合は、施設名及びその規模)
推進校
県立香住高等学校
推進協議会(1回)
  • 実施計画等について協議
  • 意見交換、情報交換等
  • 報告会・報告集の発行
構成委員は15名
会場(事務局校)
県立香住高等学校
水産食品科
1年生40名
1生徒による地域産業のニーズに対応した調査・研究
  • 地域水産物の資源化とその有効利用
    (ワカメ栽培など)
    但馬水産技術センターから技術員を招く
    ゴミが散乱していた海岸を地域貢献も兼ねてワカメが成育しやすい環境にするために清掃活動を実施
    収穫したワカメを利用した新商品の開発
【実施場所 香住高校】
2「のじぎく兵庫国体」参画支援事業
とびうお味噌煮缶詰の配付(ボート、卓球競技)
卓球会場外テントにて実習製品販売
一般市民
県立香住高等学校
水産食品科
2年生30名
1自然学校の受け入れ
交流を兼ねサンマ味噌煮缶詰実習
記念のオリジナル手作りラベル缶を使用
城崎小学校29名(5月18日)
養父・広谷・浅野・建屋小学校80名(5月25日)
生野・奥銀谷小学校48名(6月1日)、与布土・粟鹿・梁瀬小学校78名(6月9日)、小野東小学校128名(6月22日)
神崎高校1年生79名
2神崎高等学校との学校間交流事業 9月13日〜14日
食品加工体験を実施
スルメイカ一夜干し、サンマ味噌煮缶詰、桜餅
香美町民23名
香美町民約200名
3親子実習の実施 6月14日(水曜日)サンマ塩干し  
4香美町香住区民祭参加
学校間交流の一環として県立神崎高等学校も地域の特産品販売として参加
  • 販売実習(水産加工製品など)
  • チーズケーキづくり教室
香住小学校低学年10人
一般市民
5「のじぎく兵庫国体」参画支援事業
とびうお味噌煮缶詰の配付(ボート、卓球競技)
卓球会場外テントにて実習製品販売
一般市民1,000人
6たじまJIBASANまつり参加
  • 販売実習(水産加工製品など)
香美町民1,000人
7香美町香住区商工会まつり参加
  • 販売実習(水産加工製品など)
児童25名
8香美町香住区内障害児学級・ひまわり作業所との交流実習
【実習内容】サンマ味噌煮缶詰
香美町民6名
9地域の人と生徒が一緒に学ぶ地域オープン講座
7月13日(木曜日)
指導者:井づつや調理長 井上 明彦
【メニュー】丸アゴのつみれ献珍汁、丸アゴの三色串揚天婦羅
12月1日(木曜日)
指導者:特別非常勤講師 花登 誠(花駒店長)
【メニュー】鮭のホイル焼き、鮭のタルタルソースフライ、鮭の金糸巻
香美町民12名
【実施場所 香住高校】
県立香住高等学校
水産食品科
3年生30名
1神崎高等学校との学校間交流事業 9月13日〜14日
食品加工体験を実施
スルメイカ一夜干し、サンマ味噌煮缶詰、桜餅
神崎高校1年79名
2「のじぎく兵庫国体」参画支援事業
とびうお味噌煮缶詰の配付(ボート、卓球競技)
卓球会場外テントにて実習製品販売
一般市民
3クリスマス幼稚園クッキープレゼント 12月12日(火曜日)
  • 手作りクッキーのプレゼント
  • 手製の紙芝居とクイズ大会での交流会
香美町香住区内6幼稚園
青葉保育園
香美町民185名
4とがやま学園 実習製品販売会 一般市民40名
【実施場所 香住高校】

3)教育課程上の位置づけ

 交流実習、販売実習をはじめ多くの取組は、科目「総合実習」に位置づけ、地域オープン講座は教科水産「シーフードクッキング」(学校設定科目)に位置づけている。食品を扱う上で、食の安全に配慮して実施することに留意することが必要である。

4)連携先の概要

施設等名称 香住町水産加工協同組合
住所及び電話番号 兵庫県美方郡香美町香住区香住1854 電話 0796-36-1103
 兵庫県下最大の加盟団体を有する水産物の加工業者団体である。日本海西部地区における屈指の漁業基地を形成する香住漁港は、冬の松葉ガニ、カレイ、夏のスルメイカなどの四季を通じて豊富な魚が水揚げされる。水揚げされた魚介類を加工する水産加工業は、古くから地場産業を支え、地域の基幹産業として発展している。

6 活動の成果

 地域に開かれた学校づくりを推進し、水産高校生が体験学習を指導することで生徒自身の学習意欲の向上を図り、自信と誇りを持たせ、併せて年齢の異なる人々との交流を通してコミュニケーション能力のスキルが向上した。
 水産を基幹産業としている町に対して、地元の活性化を推進するとともに地域と一層連携して「食の安全」に配慮した新しい学校づくりを展開することができた。

7 2年間の研究の全体的な評価

8 その他特記事項

兵庫県立香住高等学校の関連するこれまでの活動状況

  • (1)幼稚園児への手作りクッキーのプレゼントとクリスマス交流会(平成2年〜)
  • (2)自然学校の小学生との水産加工体験実習(平成14年度〜)
  • (3)兵庫県教育委員会の施策である特別非常勤講師活用制度を利用したプロの調理師による地域オープン講座(平成15年度〜)
  • (4)魚介類を使った新製品「かにみそ」の企業との共同研究(平成15年度〜)
  • (5)シーフードクッキングで学んだ調理技術を生かした独居老人への手づくり弁当の配付とふれあい交流(平成16年度)
  • (6)文部科学省「教育情報化促進モデル事業」(平成16年度)
    「水産物の調理・加工マニュアル」作成によるIT活用を通じた食の安全教育