平成17年度・18年度みんなの専門高校プロジェクト推進事業報告書

都道府県名 静岡県
推進地域名 富士市

1 推進校の概要

(1)専門高校

学校名 富士市立吉原商業高等学校
設置大学科 商業科
設置小学科  
生徒数 689名
所在地 静岡県富士市比奈1654番地 電話 0545-34-1024

(2)小・中学校(小・中学校との連携の場合のみ記入)

学校名 富士市立岳陽中学校 11,12組(特殊学級)
生徒数 20名
所在地 富士市伝法630 電話 0545-71-7955

学校名 富士宮市立白糸小学校
生徒数 20名
所在地 富士宮市原1115 電話 0544-54-0044

学校名 富士宮市立井之頭小学校
生徒数 61名
所在地 富士宮市井之頭168 電話 0544-52-0004

2 研究テーマ及び研究において特に重点を置いたところ

「地域商店街活性化のために、地域との連携を図った商業高校生による常設店舗の運営」

  • (1)地域との連携により地域商店街の活性化に協力
  • (2)地域を担うビジネスマンの育成
  • (3)魅力ある商業高校への理解促進

3 研究の概要

(1)平成17年度

「商業高校生による常設店舗の運営の取組」

 商店街店主を中心に作られたNPO法人東海道吉原宿との連携で、吉原商店街に常設店舗(「吉商本舗」)を設置し、販売活動を行うことにより地域との交流を推進した。

(2)平成18年度

「地域連携を図った常設店舗の運営の取組」

 常設店舗をさらに発展し、地域との連携を深めた。老人医療福祉施設、放課後児童クラブ、朝市などで定期的な出店を行い、地域や社会に貢献する店舗として定着した。

4 推進地域協議会の構成及び活動状況等

(1)構成

氏名 所属・職名
佐野 荘一 NPO東海道吉原宿 代表理事
木村 光亮 NPO東海道吉原宿 理事
三浦 大輔 NPO東海道吉原宿 事務局長
田中 順 富士市立岳陽中学校 教論
土屋 香織 富士市立岳陽中学校 教論
井上 誠 富士宮市立白糸小学校 校長
櫻井 啓雅 富士宮市立井之頭小学校 校長
飯塚 和子 富士市立吉原商業高等学校 校長
京野 和男 富士市立吉原商業高等学校 教頭
伊藤 清久 富士市立吉原商業高等学校 教論・商業科主任
若園 耕平 富士市立吉原商業高等学校 教論
児玉 小百合 富士市立吉原商業高等学校 教論
鳥居 寛貴 富士市立吉原商業高等学校 講師

(2)活動状況

 推進地域協議会において、活動内容の計画立案を行い、NPO東海道吉原宿と連携を図り活動を行ってきた。主な活動状況は次のとおりである。

1)平成17年度

 地域との連携、地域住民とのふれあいにより地域活性化のための取組を実施した。
 また、中国最大の卸売りマーケットである義烏市の市場より雑貨、文房具等の買い付け、販売をした。さらに、生徒による自校菜園に取り組み、収穫した野菜は「吉商本舗」で販売した。

2)平成18年度

 地域や民間会社のイベントへの参加、老人施設での定期的な訪問販売を実施した。
 さらに、アフリカ・マラウィへのエイズ孤児支援センター設立のために販売活動や3年生「課題研究」による講座、「販売実習」の実践を行った。

5 推進校における活動の実施状況等

(1)活動前の地域との打ち合わせ

 毎月1回定期的に、NPO東海道吉原宿と、運営上の課題、方針の評価及び修正等について、話し合いの機会をもった。

(2)活動概要

1)活動のねらい

 地域との連携、地域住民とのふれあいにより、魅力ある商業高校への理解を図っていく。さらに、実践的・体験的学習を通して、ビジネスの意義や基礎的な知識・技術を学習する。

2)活動内容

 地元商店街活性化に取り組むNPO法人「東海道・吉原宿」との連携で、常設の駄菓子店『吉商本舗』を経営している。高校生の手作りを売りにせず、「プロとの協働による本物の経営」に挑戦している。
 具体的な活動事例は次のとおりである。

  • ア 生徒が、中国最大の雑貨卸売りマーケットである義烏市の市場と市内の製造工場を見学し、雑貨、文房具等の買い付けを行った。
  • イ 生徒が自校菜園で野菜を栽培し(里芋、枝豆、トマト、ナス、落花生、サッマイモなど)、収穫した野菜を吉商本舗で販売した。
  • ウ 地域や民間会社主催のイベントへ参加した。
  • エ 老人施設での訪問販売を定期的に実施した。
  • オ 地元子供会から依頼され、職業体験として「吉商本舗」に子供たちを受け入れた。
  • カ 3年生が「課題研究」において、販売実習を行った。
  • キ アフリカ・マラウィへのエイズ孤児支援センター設立のために販売活動を行った。その結果、地域のロータリークラブ・国際ソロプチミストの協力により施設設立が実現した。また、フェアトレードにより、マラウィで作られたビーズブレスレット、バッグなどの仕入れ、販売活動を行った。
  • ク ベトナムとのフェアトレードを開始した。地元ライオンズクラブ主催によるベトナムへのスタディツアーに商業ビジネス部員2人が参加し、現地を視察し、貧困のない公正な社会をつくるために、現地商品の仕入れ、販売活動を開始した。

3)教育課程上の位置づけ

 主に部活動で活動している。また、3年生の「課題研究」による販売実習の体験学習の場として利用している。

4)連携先の概要

  • ア NPO東海道吉原宿
     NPO東海道吉原宿は、商店街店主はもちろんのこと、地域の有力者や市役所職員、主婦なども所属しており、様々な連携先を紹介していただき、地域ぐるみの応援をもらうことができた。
  • イ 地域の小・中学校
    • 富士市立岳陽中学校との連携では、特殊学級の生徒たちが手作りした小物(コースター・干支の飾り・クリスマスリースなど)の委託販売を吉商店舗が引き受けた。
    • 富士宮市立白糸小学校との連携では、児童が栽培した水菜の販売を吉商店舗が担当した。
    • 富士宮市立井之頭小学校との連携では、児童が栽培した椎茸を高校生も一緒に収穫して販売した。さらに、わさびについては、茎を酢付けした物を吉商店舗で販売した。

6 活動の成果

(1)地域との連携により地域商店街の活性化に協力

 吉商本舗の集客力が高まるにつれて、生徒と地域商店街との交流が自然発生的に生まれた。さらに、商店街でインターンシップを実施することにより、生徒の中に地域社会に貢献しようとする気持ちがより深まった。

(2)地域を担うビジネスマンの育成

 生徒は、地域商店街との連携・交流、販売を通して、働くことの喜びを実感するとともに、コミュニケーション能力や経営能力、生きる力が身に付いた。

(3)魅力ある商業高校への理解促進

 地域の方々が吉原商業高校に注目し、「地域社会全体で生徒達を教育する」環境が整ったことも大きな成果であった。地域社会づくりにも一役買っているとの実感を得ることができた。

7 2年間の研究の全体的な評価

8 今後の課題及びこれからの取組