平成17年度・18年度みんなの専門高校プロジェクト推進事業報告書

都道府県名 山梨県
推進地域名 峡西南
(身延町・鰍沢町・南部町・南アルプス市)

1 推進校の概要

(1)専門高校

学校名 山梨県立峡南高等学校
学科 電子機械科・建築インテリア科・土木科・情報ビジネス科
生徒数 303名
住所及び電話番号 山梨県南巨摩郡身延町三沢2417 電話 0556-37-0686

(2)連携校または地域の連携機関

連携機関、小・中学校 住所 電話番号 児童・生徒数
山梨県峡南教育事務所 山梨県南巨摩郡鰍沢町771-2 0556-22-8144  
山梨県立男女共同参画推進センター 山梨県南巨摩郡南部町内船9353-2 0556-64-4777  
山梨県立わかば養護学校 山梨県南アルプス市有野2739 055-285-1750 189名
身延町立久那土中学校 山梨県南巨摩郡身延町三沢72 0556-37-0230 54名
身延町立久那土小学校 山梨県南巨摩郡身延町三沢15 0556-37-0220 74名

2 研究テーマ及び研究において特に重点を置いたところ

(1)研究テーマ

 「専門高校と小・中学校、養護学校や地域との連携を推進し、ものづくりなどの体験学習をとおしてお互いの学習意欲を高め、よりよい勤労観・職業観を育てる。」

(2)特に重点を置いたところ

  • 1ものづくりや体験学習を行うことにより、互いの学習意欲を高める。
  • 2学校の施設・設備を利用し、専門高校の学習内容に触れさせる。
  • 3ものづくりを通し喜びや楽しさを共有する。

3 研究の概要

(1)平成17年度

 活動は各学科・分掌より提出された計画を基に年間を通じて実施する。対象は推進地域の小・中学生、養護学校の児童生徒、地域の方々とし、日頃の学習の検証と深化を図り、異年齢間の交流を推進した。指導講師は山梨県立峡南高等学校電子機械科・建築インテリア科・土木科・情報ビジネス科の全校生徒が担当した。

(2)平成18年度

 平成17年度の反省・課題等を検証した上で、小・中学生、養護学校の児童生徒や地域住民を対象としているので、分かりやすい内容と専門高校での学習内容をわかりやすく指導できるように工夫し、学校の施設・設備を利用した計画を各学科・分掌より提出していただき年間を通じて実施する。指導講師は山梨県立峡南高等学校電子機械科・建築インテリア科・土木科・情報ビジネス科の全校生徒が担当した。

4 連携推進地域協議会の構成及び活動状況

(1)構成

氏名 所属・職名 備考
川口 知男 山梨県教育庁高校教育課・指導主事  
小池 逸朗 山梨県教育庁高校教育課・指導主事  
笠井 茂 峡南教育事務所・所長  
大久保 和樹 峡南教育事務所地域教育推進スタッフ・副主幹  
砂田 曳弐 男女共同参画推進センター・推進幹  
清水 長宏 身延町立久那土中学校・校長  
伊東 泰輔 身延町立久那土中学校・教頭  
今村 文子 身延町立久那土小学校・校長  
伊藤 稔 身延町立久那土小学校・教頭  
田原 一孝 山梨県立わかば養護学校・校長  
原田 正明 山梨県立わかば養護学校・教頭  
中野 奈美 山梨県立わかば養護学校・研究部  
狩野 勉 山梨県立峡南高等学校・校長  
二宮 寛美 山梨県立峡南高等学校・教頭  
野村 均 山梨県立峡南高等学校・電子機械科主任 事務局
石川 清人 山梨県立峡南高等学校・建築インテリア科主任・建築コース担当  
北原 修 山梨県立峡南高等学校・土木科主任  
遠藤 よし子 山梨県立峡南高等学校・情報ビジネス科主任  
高橋 完 山梨県立峡南高等学校・インテリアコース担当  
片田 憲生 山梨県立峡南高等学校・教務主任  
依田 淳 山梨県立峡南高等学校・進路主任  
中山 充徳 山梨県立峡南高等学校・生徒会主任  

(2)活動状況

1)平成17年度

 上記連絡推進協議会の設置について推進校において検討した。この事業を推進するにあたって、小・中学校、養護学校及び地域や教育事務所、県関係機関の指導・協力が不可欠であることから、協議会の構成委員に加わっていただいた。この協議会は、年2回開催した。
 それぞれの活動状況は、次のとおりである。

期日 開催会議 内容
5月19日 第1回推進協議会
  • *校内専門委員会を拡大して開催
本事業委託までの経過説明および講座開催に伴う留意事項の確認
  • 推進地域における推進協議会の役割、推進体制の在り方について意見交換や依頼事項の確認
  • 事業に要する経費についての確認
2月6日 第2回推進協議会
  • *校内専門委員会を拡大して開催
講座終了報告および事業の中間報告について
  • 講座運営の反省と評価について
  • 事業の中間報告(報告内容)事項の検討および意見集約

2)平成18年度

 2月6日の第2回推進協議会において、平成18年度の計画についても確認しましたので、4月は校内の委員会のみ開催しました。
 それぞれの活動状況は、次のとおりである。

期日 開催会議 内容
4月27日 第1回校内専門委員会開催
  • 事業における実施内容等の検討及び確認
  • 事業に要する経費についての確認
3月8日 第2回推進協議会
  • *校内専門委員会を拡大して開催
講座終了報告および事業の報告について
  • 2年間の研究の全体的な反省と評価について
  • 事業の報告(報告内容)事項の検討および意見集約
  • 今後の課題及びこれからの取り組みについて

5 推進校における活動の実施状況等

 地域の小・中学生、養護学校の児童生徒や地域住民を対象とし、山梨県立峡南高等学校の生徒の指導によって、各学科・各分掌の活動内容(講座)等をお互いに交流を深めながら体験させる。

(1)活動前の地域との打ち合わせ

各学科・各分掌担当者は連携先担当者と綿密な打ち合わせを行う。
日程・講座の内容等細かく打ち合わせする。

(2)活動概要

 以下の活動1)から4)につきましては、各講座ごとにまとめて<実践事例>として記載する。

  • 1)活動のねらい
    各学科の生徒が講座(内容)を確認し、簡単なテキストや見本となる教材の準備をする。
    各講座ごと目標を設定し、目標達成に向けて取り組む。
  • 2)活動内容
    各講座ごとの内容を行う。
  • 3)教育課程上の位置づけ
    各講座によって違うが、「課題研究」・「実習」・「ボランテイア活動」
  • 4)連携先の概要
    前項1の(2)に掲載してありますのでここでは省略させていただきます。

<実践事例>(詳細は添付資料を参考下さい)

平成17年度
  • 17月30日 「測量」 峡南高校土木科生徒8名・教師4名
    • 目標
      測量に関心を持ってもらう。体験することにより、手順・方法を理解してもらう。
    • 内容
      平板測量器械による土地の測量、トータルステーションによる距離・角度の測定
    • まとめ
      小学生も充分興味を持って、楽しく体験できたと思う。
    • 位置づけ
      課題研究
    • 連携先
      久那土小学校6年生児童16名
    <平板測量風景> <トータルステーション風景>
  • 28月6日・7日 「パソコン教室」 峡南高校情報ビジネス科生徒8名
    • 目標
      パソコンに慣れ、簡単な文が作れる。
    • 内容
      ワープロソフト使用し、簡単な文書を作る。
    • まとめ
      楽しみながら、体験できた。
    • 位置づけ
      課題研究
    • 連携先
      地域の一般住民の方々
    <パソコン実習風景>
  • 38月20日 「親子木工教室」 峡南高校建築インテリア科インテリアコース13名
    • 目標
      木工を通して楽しく親子でものづくりを体験してもらう。
    • 内容
      児童に書いてもらったデザイン画を元に、作品の製作をする。
    • まとめ
      日頃の学習の成果を生かし、親子と一緒に作品を作り上げるため、高校生にとっても実践的な内容でとても自信につながる教室である。
    • 位置づけ
      実習・ボランテイア活動
    • 連携先
      地域の小学生以上のこどもと保護者(男女共同参画センター主催)
    <作品色づけ> <電動糸鋸による切り出し>
  • 49月14日・21日・26日 「ロボット製作・操作」 峡南高校電子機械科8名
    • 目標
      教育用ロボットを使用し、知識・組み立て・操作までを学ぶ。また、ロボットに興味関心を持ってもらう。
    • 内容
      市販の教育用ロボットを使用し、ロボットの知識・組み立てから操作まで体験する。
    • まとめ
      お互いものづくりの体験を通して、学習意欲や勤労観が養われたと思う。
    • 位置づけ
      課題研究
    • 連携先
      久那土中学校3年生17名
    <各自ロボット制作中> <出来たロボットを動かす様子>
  • 510月24日 「木工によるものづくり」 峡南高校建築インテリア科インテリアコース13名
    • 目標
      お互いが協力しあい「ものを作り出す喜び」を共有する。
    • 内容
      陶芸用粘土を使用し、食器の製作をする。
    • まとめ
      ものづくり体験を通して、交流が深められた。
    • 位置づけ
      課題研究、実習
    • 連携先
      県立わかば養護学校高等部15名
    <陶芸粘土を使った食器の製作> <光のオブジェの製作>
  • 6その他の関連する活動(写真で紹介)
    <しめ縄づくりの様子> <餅つきの様子>
    <河川清掃の様子>
平成18年度
  • 72月14日 「パソコン教室」 峡南高校情報ビジネス科2年生24名
    • 目標
      パソコンに慣れ、ワープロソフトを使用し、簡単な文書を作成する。
    • 内容
      ワープロソフトを使用し、簡単な文書を作成する。また、写真を入れた文書・名刺を作る。
    • まとめ
      受講生が高齢者のためパソコンも初歩からのスタートで教えるのは大変だったが、楽しみながらできた。
    • 位置づけ
      課題研究
    • 連携先
      ことぶき勧学院の生徒1年生32名、2年生13名
    <パソコン実習風景>
  • 87月25日 「パソコン教室」 峡南高校情報ビジネス科2年8名
    • 目標
      パソコンを使用する。基本的なことをマスターする。
    • 内容
      キーボードが打てる。ワープロソフトで文字が打てる。
    • まとめ
      商学3年生はローマ字を学習していないのでローマ字入力で文字を打った。最後は、カラーで自分の名刺が作れるまでになった。
    • 位置づけ
      課題研究
    • 連携先
      久那土小学校3年生12名及び保護者
    <実習風景> <完成した作品を持っての全体写真>
  • 98月20日 「親子木工教室」 峡南高校建築インテリア科インテリアコース10名
    • 目標
      木工を通して楽しく親子でものづくりを体験してもらう。
    • 内容
      児童に書いてもらったデザイン画を元に、作品の製作をする。
    • まとめ
      日頃の学習の成果を生かし、親子と一緒に作品を作り上げるため、高校生にとっても実践的な内容でとても自信につながる教室である。
    • 位置づけ
      実習・ボランテイア活動
    • 連携先
      地域の小学生以上のこどもと保護者40名(男女共同参画センター主催)
    <電動糸鋸を使用しての切り出し> <完成作品>
  • 109月25日・10月4日・16日 「ロボット製作・操作」 峡南高校電子機械科7名
    • 目標
      教育用ロボットを使用し、知識・組み立て・操作までを学ぶ。また、ロボットに興味関心を持ってもらう。
    • 内容
      市販の教育用ロボットを使用し、ロボットの知識・組み立てから操作まで体験する。
    • まとめ
      お互いものづくりの体験を通して、学習意欲や勤労観が養われたと思う。
    • 位置づけ
      課題研究
    • 連携先
      久那土中学校1年生16名
    <全体説明> <ロボット製作中>
  • 1110月25日 「自分の部屋を作ろう」 峡南高校建築インテリア科建築コース9名
    • 目標
      室内模型の製作
    • 内容
      自分の描いたイメージの部屋を模型によって製作する。
    • まとめ
      教えることの難かしさを学び、またお互いものづくりの体験を通して、学習意欲や勤労観が養われたと思う。
    • 位置づけ
      実習
    • 連携先
      久那土小学校5年生18名
    <パーツの切り抜き>
  • 1210月30日 打ち合わせ・12月15日 「木工によるものづくり」峡南高校建築インテリア科インテリアコース12名
    • 目標
      お互いが協力しあい「ものを作り出す喜び」を共有する。
    • 内容
      宝箱の製作をする。
    • まとめ
      ものづくり体験を通して、交流が深められた。作品も完成でき生徒たちの励みにもなった。
    • 位置づけ
      課題研究、実習
    • 連携先
      県立わかば養護学校高等部3年生9名
    <作業中の様子> <完成作品>
  • 1311月24日 「測量」 峡南高校土木科生徒6名
    • 目標
      測量に関心を持ってもらう。体験することにより、手順・方法を理解してもらう。
    • 内容
      トータルステーションの取り扱い、距離の測量、角度の測量
    • まとめ
      小学生にも充分興味を持って、楽しく体験できたと思う。
    • 位置づけ
      課題研究
    • 連携先
      久那土小学校6年生児童5名
    <測定中> <器械の説明中>
その他の活動
  • 147月25日 「各種ボランテイア活動」 峡南高校全校生徒
    • 目標
      勤労愛の校訓を理解し、地域社会への協力、環境美化に関心を持つ。
    • 内容
      通学路・本栖湖周辺の清掃をする。
    • まとめ
      通学路の清掃は、長年にわたり実施しているので、定着してきている。
    • 本栖湖も毎年行っているので、これからも継続していきたい。
    • 位置づけ
      ボランテイア活動
    • 連携先
      地域(身延町地内)
  • 15「お年寄りとの交流会」
    12月12日 「しめ縄作り」・12月20日 「餅つき」 峡南高校全校生徒
    • 目標
      昔ながらの文化に触れる。心の教育の一環として、地域のお年寄りとふれあう。
    • 内容
      正月飾りの製作。地域のお年寄りと餅つきをする。
    • まとめ
      地域のお年寄りと和やかに正月飾りの準備や、餅つきをし、楽しいひとときを過ごす事が出来た。これからも継続していきたい。
    • 位置づけ
      ボランテイア活動
    • 連携先
      地域のお年寄り
    <正月飾りの製作> <餅つき>
その他の活動(写真にて紹介)
  • 167月11日 「河川清掃」
  • 17「老人福祉施設への手作りお菓子プレゼント」 峡南高校3年生全員
    <手作り蒸しパン贈呈>

6 活動の成果

 本事業は、推進地域の小・中学校、養護学校や県関係機関の協力のもと活動内容(講座)等、年間を通じて1年目(平成17年度)は実施できた。また、2年目(平成18年度)は1年目(平成17年度)の結果を踏まえて見直しをしながら予定通り実施することが出来た。また、小・中学生養護学校の生徒、地域住民の方々を対象としているので、分かりやすい内容と専門高校での学習内容を分かりやすく指導できるように工夫し、日頃の学習内容の検証と深化を図り異年齢間の交流を深めることができた。また、各実践事例(添付資料)のまとめを参照して頂ければ研究テーマに沿った結果、各講座とも目標は達成したのではないかと思う。
 その他の活動の(ボランテイア活動)・(お年寄りとの交流会)・(老人福祉施設への手作りお菓子プレゼント)・(学校周辺河川清掃)は毎年行っている活動で、毎年目標は達成出来ていると思われる。
 また、事後アンケートによると、「親切に指導していただき理解しやすかった」「楽しく学ぶことが出来た」「ますます意欲が湧いてきた」「作るのは難しかったが出来た後は達成感があった」「個々に手紙が届いた講座もあり生徒も励みになった」「時間が有ればもっと違うものも作りたかった」等多くの受講生から良い結果を得た。高校生も、教えることの難しさを痛感した意見が多かった。この事から、研究テーマに沿って、特に重点を置いたところの1ものづくりや体験学習を行うことにより、勤労観や職業観を育てる。2ものづくりを通し喜びや楽しさを共有する。3学校の施設・設備を利用し、専門高校の学習内容に触れさせる。この内容に合致していると考え、本事業の目標は達成できたと言える。

7 2年間の研究の全体的な評価

 本事業には、推進地域の小・中学校、養護学校や県関係機関の協力のもと活動内容(講座)を計画通り実施することが出来た。また、小学生、中学生、養護学校の生徒、保護者、地域住民からの感想・意見等を聞くと「親切に指導していただき理解しやすかった」「楽しく学ぶことが出来た」「ますます意欲が湧いてきた」「作るのは難しかったが出来た後は達成感があった」「個々に手紙が届いた講座もあり生徒も励みになった」「時間が有ればもっと違うものも作りたかった」「講師の方々がとても丁寧に指導してくれたのでとても充実した時間でした。」「とても楽しく有意義な時間が過ごせた。」「身近で親密感が持てコミニュケーションもとれていて良かった。」等の感想が有り多くの受講者から高い評価を得た。
 高校生も、教えることの難しさを学習し勤労観・職業観が育てられた。
 各講座とも目標は達成したのではないかと感じられた。
 全体的に見ると、研究テーマに沿って実施でき、それぞれの活動内容(講座)も評判が良く、推進校や連携校、連携機関等満足のいく結果が得られたと思う。

8 今後の課題及びこれからの取組

(1)今後の課題

 本事業は、本校独自で県関係機関支援のもと、「親子木工教室」・「パソコン教室」は前から実施し、その他の活動の(ボランテイア活動)・(お年寄りとの交流会)・(老人福祉施設への手作りお菓子プレゼント)・(学校周辺河川清掃)も毎年実施し実績はある。しかし、他の活動内容(講座)は、はじめてのものばかりで、連携校の児童・生徒のニーズ合っているか、また、分かりやすい内容であるか模索しまた、本事業がいかに学校・地域全体に根付き、地域住民の理解を得て、場当たり的な事業にならず、人的・予算的な事を考慮し、継続していくか今後の大きな課題となろう。

(2)これからの取組

 「みんなの専門高校プロジェクト推進事業」という観点に立つと、学校の活性化やアピールは十分に行えたのだろうかという危惧もある。数多くの学校行事をこなす中での講座運営であるため、準備に十分な時間を費やせないこともある。各講座ごとの事後アンケートを行った講座と行わなかった講座があるので全ての講座の評価はわからないが、各講座担当者は、講師や受講者を見て良かった点、改善すべき点を認識したように思われる。これらをもとに来年度以降への布石とし、より発展的に途切れることなく継続していけるよう取り組みたい。