平成17年度・18年度みんなの専門高校プロジェクト推進事業報告書

都道府県名 石川県
推進地域名 加賀市

1 推進校の概要

(1)専門高校

学校名 石川県立大聖寺実業高等学校
設置大学科 工業科・商業科
設置小学科 電子機械科・情報ビジネス科・情報デザイン科
生徒数 12学級452人
所在地 石川県加賀市熊坂町ヲ77 電話 0761-72-0715

(2)小・中学校

学校名 加賀市立錦城中学校
生徒数 14学級514人
所在地 石川県加賀市大聖寺地方町6乙74-1

学校名 加賀市立東和中学校
生徒数 15学級454人
所在地 石川県加賀市動橋町ネ54-1

学校名 加賀市立錦城小学校
児童数 14学級415人
所在地 石川県加賀市大聖寺八間道57

学校名 加賀市立南郷小学校
児童数 6学級98人
所在地 石川県加賀市吸坂町ヤ26

学校名 加賀市立橋立小学校
児童数 7学級126人
所在地 石川県加賀市小塩町ケ50

学校名 加賀市立湖北小学校
児童数 6学級123人
所在地 石川県加賀市柴山町ひ92

2 研究テーマ及び研究において特に重点を置いたところ

○研究テーマ

「生徒の知識・技能を地域へ還元し、郷土愛を育む取り組み」

○重点的留意点

専門高校の教育活動で身につけた知識や技能を、生徒自身が地域の小・中学生に還元することにより、生徒の専門性深化とコミュニケーション能力の向上を図るとともに、地域社会と連携した体験活動を通じて次代を担う社会人としての自覚と郷土愛を育むことに重点を置いた。

3 研究の概要

(1)17年度

 電子機械科は、連携中学生を対象に熱による鉄の変態を利用した実験と加工実習を、また、連携小学生を対象にライントレーサーロボットの学習を各々2日ずつ実践した。
 情報ビジネス科は、連携小学生を対象にワープロと表計算ソフトの基本指導を行い、コミュニケーション能力の育成、地域貢献の意欲を向上させ実践的な態度や能力を養うことを目標に実践した。
 情報デザイン科は、連携中学生を対象にオリジナルデザインステッカー作成を行い、創意工夫してデザインする楽しさを味わうことを目標に実践した。また、連携小学生を対象にサンドブラスト技法により、自分が使用するガラスコップの作品製作を行い、達成感を得ることを目標に実践した。

(2)18年度

 電子機械科は、中学生を対象にレーザー加工機を用いた加工実習を行い、ものづくりの楽しさや難しさを体験した。また、小学生は2学期のクラブの時間に協働学習を実施し、ソーラーカーの製作やライントレーサーロボットの制御課題を通して、ものづくりや問題解決の楽しさを体験した。
 情報ビジネス科は、前年度に実施した小学生対象のワープロと表計算の基本指導を継続して行った。前年度より内容を深めてより興味を持つことができるよう工夫して実施した。
 情報デザイン科は、児童・生徒に独創的なデザイン技法の理解と体験をしてもらい、意欲の向上を図った。また前年度の経験を生かし、活動内容をさらに充実したものにして実施した。
 以上のような専門高校の教育活動で身につけた知識や技能を、生徒自身が地域の小・中学生に還元する体験活動を通して、地域を担う社会人を育成する専門高校の可能性について研究した。

4 推進地域協議会の構成及び活動状況等

(1)構成

氏名 所属・職名
新家 康三 加賀商工会議所 会頭
打本 弘喜 加賀機電振興協会 会長
北澤 陸夫 加賀市教育委員会 教育長
和田 究 加賀市地域振興部 部長
荒谷 実 加賀市教育委員会 学校指導課長
北野 浩和 石川県教育委員会事務局学校指導課 指導主事
西出 妙子 加賀市立錦城小学校 校長
中筋 善一 加賀市立南郷小学校 校長
三田 英信 加賀市立橋立小学校 校長
篠原 隆一 加賀市立湖北小学校 校長
宮永 巌 加賀市立錦城中学校 校長
山下 修平 加賀市立東和中学校 校長
青山 繁夫 県立大聖寺実業高等学校 学校評議員
向平 節 県立大聖寺実業高等学校 学校評議員
荒井 喜市 県立大聖寺実業高等学校 学校評議員
 智一 県立大聖寺実業高等学校 PTA会長
山本 和男 県立大聖寺実業高等学校 校長
大嶋 茂樹 県立大聖寺実業高等学校 教頭
中川 忠海 県立大聖寺実業高等学校 教諭(総務課主任)
辰巳 昇 県立大聖寺実業高等学校 教諭(電子機械科主任)
浅田 勝大 県立大聖寺実業高等学校 教諭(情報ビジネス科主任)
本田 徹太郎 県立大聖寺実業高等学校 教諭(情報デザイン科主任)
島屋 豊 県立大聖寺実業高等学校 教諭(記録)

(2)活動状況

1)平成17年度

  • 第1回推進協議会 平成17年7月7日(木曜日)16時〜17時30分
     「推進協議会」を設立し、実施内容の実施報告および計画内容の検討を行った。また、「高校生による指導及び効果的な推進について」「大聖寺実業高校への期待と役割」と題して協議を行った。
  • 第2回推進協議会 平成17年11月8日(木曜日)16時〜17時30分
     事業の実施報告及び評価、今後の課題等について検討した。また、「地域関係者との協力体制について」「地域活性化の役割及び方策について」と題して協議を行った。

2)平成18年度

  • 第1回推進協議会 平成18年6月28日(水曜日)16時〜17時30分
     今年度の事業の計画内容の検討を行った。また、1年間の実践、経験を通して得たものを踏まえて「高校生による指導及び効果的な推進について」「大聖寺実業高校への期待と役割」と題して協議を行った。
  • 第2回推進協議会 平成18年12月25日(月曜日)15時〜17時30分
     今年度の事業の実施報告を行った。また、「2年間の取り組みについて」「次年度以降の取り組みについて」と題して研究協議を行った。

5 推進校における活動の実施状況等

(1)活動前の地域との打ち合わせ

 推進協議会において各科の活動概要を決定し、詳細については各担当者同士が事前にそれぞれ打ち合わせを行った。電子機械科の小学生との協働学習については、17年度中に打ち合わせ(授業時間の曜日の摺り合せなど)を実施したことにより、クラブ活動の授業時間中に実施することができた。
 また、推進協議会の会員の方々に各活動の日時等を知らせることで、活動に参加して頂くことができた。

(2)活動概要

平成17年度

電子機械科と中学校の連携について
  • 1)活動のねらい
     実験及び加工実習を通して鉄鋼材料の不思議な点、優れた点を理解する。また、最新のレーザー加工実習装置を使い、「ものづくり」の楽しさや難しさを体験することにより工業に関する興味関心を高める。
  • 2)活動内容
    • 平成17年7月26日(火曜日)9時〜15時 実験
    • 平成17年7月27日(水曜日)9時〜15時 実習
  • 3)教育課程上の位置づけ
    電子機械科3年 課題研究
  • 4)連携先の概要
    錦城中学校(2年生5名、3年生1名 計6名)
電子機械科と小学校の連携について
  • 1)活動のねらい
     児童になじみの深いLEGOブロック教材を使用し意欲的に取り組みやすい「ものづくり」を体験する。
  • 2)活動内容
    • 平成17年8月1日(月曜日)9時〜12時 ロボットの製作
    • 平成17年8月2日(火曜日)9時〜12時 ライントレーサの製作
  • 3)教育課程上の位置づけ
    電子機械科3年 課題研究
  • 4)連携先の概要
    錦城小学校(6年生 20名)
情報ビジネス科と小学校の連携について
  • 1)活動のねらい
     ワープロと表計算ソフトの基本指導を行い、コミュニケーション能力の育成、地域貢献の意欲を向上させ実践的な態度や能力を養う。
  • 2)活動内容
    • 平成17年6月23日(木曜日)13時30分〜15時30分
    • 平成17年11月1日(火曜日)13時30分〜15時30分
  • 3)教育課程上の位置づけ
    情報ビジネス科3年 課題研究
  • 4)連携先の概要
    • 湖北小学校(6年生 12名)
    • 橋立小学校(6年生 14名)
情報デザイン科と中学校の連携について
  • 1)活動のねらい
     世の中に1つしかないオリジナルのステッカーを作り出す喜びと創意工夫する大切さを体験する。
  • 2)活動内容
    平成17年7月27日(水曜日)9時30分〜12時
  • 3)教育課程上の位置づけ
    情報デザイン科3年 課題研究
  • 4)連携先の概要
    東和中学校(3年生 12名)
情報デザイン科と小学校の連携について
  • 1)活動のねらい
     普段の生活の中で使うものに目を向け、デザインすることにより創意工夫の楽しさや作り上げた時の達成感を体験する。
  • 2)活動内容
    平成17年6月17日(金曜日)13時30分〜15時30分
  • 3)教育課程上の位置づけ
    情報デザイン科3年 課題研究
  • 4)連携先の概要
    南郷小学校(5年生17名、6年生16名 計33名)

平成18年度

電子機械科と中学校の連携について
  • 1)活動のねらい
     実験・実習等を通して金属材料の特性について学び、工業に関する興味関心を高める。
  • 2)活動内容
    • 平成18年7月25日(火曜日)9時〜15時 実験
    • 平成18年7月26日(水曜日)9時〜15時 実習
  • 3)教育課程上の位置づけ
    電子機械科3年 課題研究
  • 4)連携先の概要
    錦城中学校(3年生 9名)
電子機械科と小学校の連携について
  • 1)活動のねらい
     ものづくりを通して、創造性を育み問題解決能力、コミュニケーション能力の育成を図る。
  • 2)活動内容
    • 平成18年6月23日(金曜日)ソーラーペットボトルカーの製作
    • 平成18年9月29日(金曜日)レゴブロック車の組立指導
    • 平成18年10月27日(金曜日)ライントレーサの製作
    • 平成18年11月24日(金曜日)ライントレーサの製作
    • 平成18年12月1日(金曜日)学習のまとめ
    • 各日、小学校のクラブ活動の時間に活動した
  • 3)教育課程上の位置づけ
    電子機械科3年 課題研究
  • 4)連携先の概要
    錦城小学校(6年生 15名)
情報ビジネス科と小学校の連携について
  • 1)活動のねらい
     ワープロ、表計算ソフトまたプレゼンテーションソフトの基本指導を行うことにより、コミュニケーション能力の育成、地域貢献の意欲を向上させ実践的な態度や能力を養う。
  • 2)活動内容
    • 平成18年9月14日(木曜日)13時30分〜15時30分
    • 平成18年11月2日(木曜日)13時30分〜15時30分
  • 3)教育課程上の位置づけ
    情報ビジネス科3年 課題研究
  • 4)連携先の概要
    南郷小学校(6年生 16名) 橋立小学校(6年生 22名)
情報デザイン科と中学校の連携について
  • 1)活動のねらい
     オリジナルのステッカーを作り出す喜びと創意工夫しデザインする楽しさを体験する。
  • 2)活動内容
    平成18年7月25日(火曜日)9時30分〜12時
  • 3)教育課程上の位置づけ
    情報デザイン科3年 課題研究
  • 4)連携先の概要
    東和中学校(3年生 11名)
情報デザイン科と小学校の連携について
  • 1)活動のねらい
     自ら使用できるガラスコップを製作し、ものづくりの楽しさや達成感を体験する。
  • 2)活動内容
    平成18年10月30日(月曜日)13時30分〜15時30分
  • 3)教育課程上の位置づけ
    情報デザイン科3年 課題研究
  • 4)連携先の概要
    湖北小学校(5年生21名、6年生17名 計38名)

6 活動の成果

7 2年間の研究の全体的な評価

(1)推進体制のあり方について

 加賀市や加賀市教育委員会、また地域経済団体の代表に推進地域協議委員になって頂いたことにより、地域との交流が円滑に行われ各事業の活性化につながった。学校評議委員からは市民の立場に立った貴重な提言を頂いた。また、連携校の校長先生方からも建設的な指導・助言を多数頂き、本事業を推進する上で大きな力となった。

(2)推進事業の成果の評価

 各事業の実践を通して、生徒たちは本校で学んだ知識や技能に自信を深め学習意欲の向上のほか専門性深化とコミュニケーション能力、判断力等も着実に向上した。
 初年度不十分であった点についても改善を加えたことによって対象児童生徒に行ったアンケート結果は好評であった。次年度以降も継続して行って欲しいという思いが多く現れている。
 評価についても、事業実施後の本校参加生徒のアンケート結果から全体の87パーセントが参加してよかったと回答し、また多くの良かったことや、身についたことを記述しており多くの成果があったことを示している。
 地域の方には専門高校である本校教育活動への理解を更に深めて頂いた。
 地域社会と連携した体験活動を通じて次代を担う社会人としての自覚と郷土愛を育むという、目標は十分達成できたと評価している。

8 今後の課題及びこれからの取組

 推進協議会では小・中学校の先生方から、来年度もう一度実施して欲しいという心強い言葉も頂いている。今後さらに継続した連携を進めるために、研究の意義に対する教員の理解の深化、連携体制の拡充、実践力のある生徒の育成、予算措置、評価方法に対する更なる研究等が必要である。