平成17年度・18年度みんなの専門高校プロジェクト推進事業報告書

都道府県名 富山県
推進地域名 魚津市・黒部市

1 推進校の概要

(1)専門高校

学校名 富山県立魚津工業高等学校
設置大学科 工業科
設置小学科 機械・電子機械・電気・化学工業・情報環境
生徒数 413名
所在地 富山県魚津市浜経田3338番地 電話 0765-22-2577

(2)小・中学校(小・中学校との連携の場合のみ記入)

学校名 魚津市立経田小学校
生徒数 260名
所在地 富山県魚津市浜経田665-3 電話 0765-22-1117

学校名 魚津市立道下小学校
生徒数 357名
所在地 富山県魚津市北鬼江2741 電話 0765-22-0441

学校名 魚津市立吉島小学校
生徒数 572名
所在地 富山県魚津市吉島432 電話 0765-22-0366

学校名 黒部市立石田小学校
生徒数 210名
所在地 富山県黒部市石田6536 電話 0765-54-1316

学校名 魚津市立東部中学校
生徒数 650名
所在地 富山県魚津市吉島1934 電話 0765-22-0207

学校名 魚津市立西部中学校
生徒数 584名
所在地 富山県魚津市友道212 電話 0765-22-0059

学校名 黒部市立鷹施中学校
生徒数 228名
所在地 富山県黒部市荒町485 電話 0765-54-1310

学校名 黒部市立高志野中学校
生徒数 278名
所在地 富山県黒部市中新30 電話 0765-57-1069

2 研究テーマ及び研究において特に重点を置いたところ

 専門高校の専門性を生かし地域に根ざした活動として、下記の3つの研究テーマを設定した。そして、これらの活動を通して、生徒自らが地域における自分達の役割と連帯感を認識するとともに、専門技術の習得への意欲向上につながればと考えている。また、参加者並びに協力していただいた方々から感想・助言をもらい、今後の取組への参考にする。

1インターンシップ事業

 近年、若年者の離職率の増加やフリーター、ニートと呼ばれる現象が社会問題となっている。そこで、少しでも早い段階で就業体験をすることで、働くことの意味を理解し、将来の生き方や進路を考えてもらうために、1年生全員が4月と7月に各2日間、地域の事業所等でインターンシップを体験させる。

2工業高校生による「ものづくり教室」

 工業高校生が教師役となり「ものづくり教室」の開催を通して、地域の小学生に少しでも「科学する心」を育んでもらい、ものづくりの楽しさを体験させる。また、高校生自身が自ら学び考える力を養うと共に地域との連帯感を深めさせる。

3高校生による「とやまの環境を考えるシンポジウム」

 高校生による「とやまの環境を考えるシンポジウム」の開催を通して、地域の中・高校生、社会人が地域の環境問題に対する関心を高める場を設ける。

3 研究の概要

(1)平成17年度

1インターンシップ事業

 4月14日(木曜日)、15日(金曜日)、7月7日(木曜日)、8日(金曜日)に1年生全員(160名)を対象としたインターンシップ事業を実施した。体験先は魚津市、黒部市内の製造業を中心とした42事業所で、4月(第1回)、7月(第2回)の2回に分けて行った。7月のインターンシップでは青少年の家で宿泊し、協力事業所の代表者2人から「働く意義」について講演していただいた後、クラス毎に自分たちの体験内容を報告した。

2工業高校生による「ものづくり教室」

 8月4日(木曜日)、5日(金曜日)、本校パソコン教室に於いて「ものづくり教室」を開催した。魚津市・黒部市内の小学校から2日間で延べ71名が参加した。電子機械科生徒が先生役となり、小学生に太陽電池で動く2足歩行ロボット作りを指導した。不安定な足を改造したり、太陽電池パネルの角度を工夫させたりして、自ら考え問題を解決させた。

3高校生による「とやまの環境を考えるシンポジウム」

 11月23日(水曜日)、魚津テクノスポーツドームに於いて、「とやまの環境を考えるシンポジウム」を開催した。地域の中・高校生、一般参加者あわせて約120名の参加があり、基調講演、活動紹介・研究発表、パネルディスカッションを行った。

(2)平成18年度

1インターンシップ事業

 4月13日(木曜日)、14日(金曜日)、7月6日(木曜日)、7日(金曜日)に1年生全員(120名)を対象としたインターンシップ事業を実施した。体験先は魚津市、黒部市内の製造業を中心とした36事業所で、4月(第1回)、7月(第2回)の2回に分けて行った。4月は学校出発、学校帰着として就業場所へバスで送迎したが、7月は自宅から就業場所へ各自で通勤し好評だった。、7月21日、クラス代表者と事業所代表者の約40名で座談会を開催し、体験内容の報告と意見交換を行った。また、自主的に希望した2年生20名も、夏季休業中に7つの事業所でインターンシップを行った。

2工業高校生による「ものづくり教室」

 8月9日(水曜日)午前と午後の2回に分けて、本校大会議室で「ものづくり教室」を開催した。今年度は、フォトセンサを用いたライントレースカーの製作に取り組み、魚津市内の小学生延べ40名が参加した。機械工学部に所属する電子機械科、電子機械コースの生徒が先生役となり、小学生にギアボックスの組み立て、基板の取り付け、ハンダ付け作業のサポートを行った。

3高校生による「とやまの環境を考えるシンポジウム」

 11月23日(木曜日)、魚津テクノスポーツドームに於いて、「とやまの環境を考えるシンポジウム」を開催した。地域の中・高校生、一般参加者あわせて約100名の参加があり、基調講演、活動紹介・研究発表、パネルディスカッションを行った。

4 推進地域協議会の構成及び活動状況等

(1)構成

氏名 所属・職名
清水 好勝 魚津工業高等学校・校長
松井 裕敏 魚津工業高等学校・教頭
橋本 行史 魚津工業高等学校・教諭(電子機械科主任)
辻 利彦 魚津工業高等学校・学校評議員、YKK株式会社総務グループ主幹
友田 道治 魚津工業高等学校・後援会会長
松田 章 魚津市・黒部市内インターンシップ協力事業所代表、YKK株式会社黒部事業所 所長
櫻野 克也 富山県教育委員会・指導主事
長島 潔 魚津市教育委員会・教育長
本多 省三 黒部市教育委員会・教育長

(2)活動状況

1)平成17年度

 平成18年2月6日に連携推進地域協議会を開催した。今年度の事業報告を行い、協議した。地域との連携や小中高が連携したキャリア教育の大切さ、工業高校の資源の活用など有意義な意見交換ができた。協議内容をもとに次年度の活動に反映したい。

2)平成18年度

 平成19年1月22日に連携推進地域協議会を開催した。今年度の事業報告を行い、協議した。いずれの活動もすばらしく、今後も継続してほしいとの意見が多かった。今後の本校教育活動にどのように反映すればよいか検討したい。

5 推進校における活動の実施状況等

(1)活動前の地域との打ち合わせ

1インターンシップ事業

 2学期に活動報告書等を協力事業所へ配付し、要望等を聞き、次年度の予定も連絡した。また、1月下旬に次年度の説明会を開催した。4月上旬と6月下旬に、各協力事業所を訪れ、最終打合せを行った。

2工業高校生による「ものづくり教室」

 7月に連携小学校を中心に、チラシを配付し、活動内容の説明と参加を呼びかけた。

3高校生による「とやまの環境を考えるシンポジウム」

 10月に連携中学校を中心に、チラシを配付し、活動内容の説明と参加を呼びかけた。

(2)活動概要

1)活動のねらい

1インターンシップ事業

 地域社会に寄与できる近代産業人の育成を目指す。その第1歩として、入学当初よりインターンシップを通して、働くことの意義、社会人としてのマナー・心構え等を学ぶ。この体験を通して、目的意識をしっかり持ちながら、学校生活を送ることができようにしたい。また、今後の進路目標の設定や種々の学年・学級活動に資するものとしたい。

2工業高校生による「ものづくり教室」

 最先端の技術や電子工作を体験することにより、「ものづくり」への興味を高めてもらう。また、本校の生徒と地域の小学生が「ものづくり」を通して交流を深め、作る喜び、作り上げた感動を共有するとともに、地域の小学生とのふれあいを通して、人を思いやる心を育む。さらに、自分の学習する技術を更に深めるきっかけとする。

3高校生による「とやまの環境を考えるシンポジウム」

 地域の中・高校生、社会人を含めた「とやまの環境を考えるシンポジウム」を高校生が開催し、環境問題に対する取り組みについて、地域の団体と情報交換を行う。

2)活動内容

1インターンシップ事業

 平成17、18年度ともに、1年生全員を対象としたインターンシップ事業を、魚津市、黒部市内の製造業を中心とした事業所で、4月(第1回)、7月(第2回)の2回に分けて各2日間実施した。4月は学校出発、学校帰着として就業場所へバスで送迎したが、平成17年度の7月は青少年の家で宿泊し、協力事業所の代表者2人から「働く意義」について講演していただいた後、クラス毎に自分たちの体験内容を報告した。平成18年度の7月は自宅から就業場所へ各自で通勤し好評だった。平成18年7月21日、クラス代表者と事業所代表者の約40名で座談会を開催し、体験内容の報告と意見交換を行った。また、自主的に希望した2年生20名も、夏季休業中に7つの事業所でインターンシップを行い、働くことへの意識が高揚してきているようだ。

2工業高校生による「ものづくり教室」

 8月上旬、本校に於いて「ものづくり教室」を開催した。魚津市・黒部市内の小学生が参加した。電子機械科生徒が先生役となり、小学生に太陽電池で動く2足歩行ロボット作りやフォトセンサを用いたライントレースカーの製作を指導した。参加した小学生は、最初はとまどっていたが、製作したものがうまく動くと、とても喜んでいた。ものづくりの大変さと楽しさが少しわかったようだ。自ら考え問題を解決する楽しさを伝えることができた。

3高校生による「とやまの環境を考えるシンポジウム」

 11月23日、魚津テクノスポーツドームに於いて、「とやまの環境を考えるシンポジウム」を開催した。地域の中・高校生、一般参加者が参加し、基調講演、活動紹介・研究発表、パネルディスカッションを行った。シンポジウムを通して、自然の大切さを再認識することができた。また、「循環型システムの推進」や「自分たちにできることに」について話し合ったり、地球温暖化が深刻な状況をむかえていることもわかり、環境に対する意識を高めることができた。

3)教育課程上の位置づけ

 インターンシップ事業については進路選択、「ものづくり教室」と「とやまの環境を考えるシンポジウム」については部活動・ボランティア活動の一環としてとらえた。

4)連携先の概要

魚津工業高等学校学校評議員、魚津工業高等学校後援会

  • 1魚津市・黒部市内協力事業所(YKK株式会社黒部事業所他)
  • 2魚津市・黒部市教育委員会、魚津・黒部市内小学生
  • 3魚津・黒部市内中学生、県内関係高校生、一般参加者

6 活動の成果

1インターンシップ事業

 インターンシップを通して、働くことの意義、社会人としてのマナー・心構え等を学ぶことができた。また、目的意識をしっかり持ちながら学校生活を送り、今後の進路選択にも多いに参考になった。

2工業高校生による「ものづくり教室」

 地域の小学生と「ものづくり」を通して交流を深め、作る喜び、作り上げた感動を共有するとともに、人を思いやる心を育み、「ものづくり」への興味も高まった。また、自分の学習する技術を更に深めるきっかけとなった。

3高校生による「とやまの環境を考えるシンポジウム」

 地域の中・高校生、社会人を含めた地域の団体と情報交換し、環境問題に対する興味関心が広まった。

7 2年間の研究の全体的な評価

 設定した3つの研究テーマは、専門高校の専門性を生かし地域に根ざした活動であり、これらの活動を通して、生徒自らが地域における自分達の役割と連帯感を認識するとともに、専門技術の習得への意欲向上につながったと思う。また、参加者並びに協力していただいた方々から多数の感想・助言をいただき、今後の取組の参考になった。

8 今後の課題及びこれからの取組

1インターンシップ事業

 地域の中・高校生、社会人を含めた地域の団体と情報交換し、環境問題に対する興味関心が広まった。
 生徒・保護者からは「体験先の希望をとって欲しい」、「宿泊する意味はあるのか」、「時期・期間について適切なのか」といった意見が出されたが、就業体験したことについては、殆どの生徒・保護者は「体験できてよかった」と回答していた。
 18年度入学生のインターンシップは、翌日の作業に影響しないように宿泊は行わず自宅から就業場所へ各自で通勤し好評だったので、次年度7月は3日間実施することと、卒業単位に組み込むことも検討している。また、17年度に体験した生徒については、自分が希望する事業所への自主的な参加を呼びかけ、最終的に自ら事業所に申し出、体験できるような環境を整備していく。

2工業高校生による「ものづくり教室」

 7月初旬に地元小学校にポスターを配付し案内した。2足歩行ロボットやライントレースカーという題材が子供達の心を捉えたのか多くの参加申し込みがあった。ただ、時間を持て余す子供も多く、進度にばらつきが見られた。オリジナリティのある製作物を検討し、製作後に競技会を開催したい。

3高校生による「とやまの環境を考えるシンポジウム」

 実施日が中学校の期末考査直前だったこともあり、例年に比べ中学生の参加が少なかった。多くの中・高生に参加してもらえるよう、各校の行事を考慮し、来年の実施時期を慎重に決定する必要がある。内容については、講演の内容がグローバルな内容であったこともあり、それに基づいたパネルディスカッションではやや論点がぼけた感じが否めなかった。助言者の方とよく協議した上でパネルディスカッションの進行を考えていきたい。