2 研究テーマ及び研究において特に重点を置いたところ
○研究テーマ
「専門高校の専門性(ものづくり)を生かしたボランティア活動」
○研究において特に重点を置いたところ
次代を担う技術者を育成するため、「ものづくり」に対する興味・関心を引き出す点に重点をおいた。
そこで本研究では、人のために役立つ「ものづくり」を行うボランティア活動の指導をとおして、「ものづくり」への興味・関心を喚起させ、専門技術の習得やその啓発を図るとともに、工業高校の専門性を生かして地域に貢献できる活動を実践することで、地域における専門高校の役割と地域との連帯感を認識させる。
さらに、連携先となる養護学校の児童・生徒と「ものづくり」を行うことにより、連携校での「ものづくり」に対する興味・関心を促すことにした。
7 2年間の研究の全体的な評価
上記の活動成果から、推進校の高校生は事前の不安はあったものの、本事業を体験した事により「ものづくり」から生まれる様々な可能性、今までとは異なった観点から「ものづくり」の楽しさ、難しさ、大切さを実感できたようである。現場で見ていても、交流を行う度に彼らの本事業に取り組む姿勢が明らかに変化していった。
さらに、本事業の大きな成果としては、養護学校と交流したことにより、今までの養護学校に対する考え方が大きく変わったように思われる。実際に、工業高校の生徒達の感想からも、以前から抱いていた養護学校のイメージを一新させ、さらに、そのことを周りの人たちに理解して欲しいというところまで発展させている。これは、本事業において養護学校と連携したことがプラスの要因となって現れたものと思われる。交流を重ねるごとに、工業高校の生徒達の養護学校の児童・生徒に対する(笑顔を見たい・喜んでもらいたい等の)思いが増し、そのことが次のものづくりへの意欲となって現れた。養護学校と連携することにより、自然とものづくりへの興味・関心・意欲を喚起させることができた。
また、参加した養護学校の生徒の感想から、本事業の活動を肯定的にとらえていることが窺える。連携校での「ものづくり」に対する興味・関心を促すという点でも、実際に高校生が実習している様子をみたり体験したことは、完成した喜びや次の取組への意欲となって現れ、ものづくりに対する興味・関心の促しは十分にできたと考える。
この他に、連携校の先生方からも、今までは養護学校側からするとほとんど交流の機会がなかった工業高校に対して、本事業を通して数多く交流したことにより、工業高校生のことをより知ることができたことはたいへん意義深いものであり、良い刺激を受けたとの評価をいただいた。
このことは、本事業の活動を通して、専門高校が有する人的・物的資源を地域の学校に還元し、活用する取組の有効性が認められたのではないかと考える。
専門高校の活性化を図るという点については、上記の連携校の先生方からの意見や、工業祭での本事業の特別ブースの設置、県工業クラブ生徒研究発表大会での優秀賞受賞、さらには、2年間で県内の新聞社に計11回、テレビ放送2回等、本事業を積極的にPRすることにより活性化は十分図られたものと思われる。
8 今後の課題及びこれからの取組
連携校から、これから先も何らかの形で交流していきたいとの意見を数多くいただいた。本事業としての取組は今年度で最後となるが、この取組を今後も継続・発展させていきたいと考えている。