平成17年度・18年度みんなの専門高校プロジェクト推進事業報告書の概要

都道府県名 愛知県
推進地域名 蒲郡市

○研究テーマ及び研究において特に重点を置いたところ

1 研究テーマ

「船、海、川での体験活動をとおした地域連携の在り方に関する研究」

2 研究において特に重点を置いたところ

(1)推進校と連携校との相互理解

 事業計画の調整や「出前授業」を実施する前に、連携校の小・中学校を訪問して、施設・設備及び児童生徒の状況などの理解を深めるとともに、教員間の交流を図るなど、連携の在り方について協議をとおして学校間の相互理解に努めた。

(2)高等学校の教育資源を生かした活動

 「実習船『愛知丸』の一日体験航海」やダイビング体験、さつま揚げ体験などの「ミニ体験入学」の実施や、専門高校生がそれぞれの専門学科で学んだ知識や技術を児童生徒に指導する「出前授業」など、充実した施設・設備を活用して専門高校の教育内容の理解促進を図るとともに、児童生徒の水産業への興味・関心を深めさせることに努めた。

○活動の成果

1 実習船「愛知丸」の一日体験航海

 小学生では、初めて船に乗ったことや海がとても気持ちよかったことなど初めての体験航海に関する感想が多かったのに対して、中学生では、マグロ延縄漁業の仕組みに興味をもったことや海洋観測の方法が分かったことなど専門的な内容に関心をもったことがわかった。海のすばらしさや水産業の意義など多くのことを学び、体験できたのではないかと思われる。

2 ミニ体験入学

 さつま揚げ体験では、塩分の量によって練り製品の硬さが変わることや、地元では練り製品が有名であることを学習した。このことにより、「総合的な学習の時間での地域学習に関連した発展学習ができた」との評価をいただいた。近隣の児童生徒、保護者が「ミニ体験入学」に参加して、「水産高校の存在は知っていたものの、どんなことを学ぶ学校であるのかを初めて知った」などの感想も多く、地域に水産高校を理解してもらうよい機会となった。

3 出前授業

 干潟の調査では、地域に海があっても親しむ機会の少ない子どもたちが海の魅力や楽しさを肌で感じるよい機会となったことや、専門高校生との触れ合いをとおして、子どもたちに専門高校への新たな興味・関心をはぐくむ機会になったと思われる。また、専門高校生の学習成果を発表するよい機会となったばかりでなく、子どもたちの清新さに快い刺激を受け、学習意欲を高めるなど自己の学校生活に生かしたいと述べる生徒もいた。

○今後の課題及びこれからの取組

 2年間の研究終了後もこの交流活動を効果的に継続して取り組むためには、この事業の趣旨を専門高校や連携校、地域が相互に理解することが重要である。「出前授業」の準備のため各学校の体制づくり、児童生徒などの様子を確認したことや、体験入学などをとおして相互に理解し合えたことにより、事業計画及び実施の基礎を築くことができた。今後は、各学校が連絡を綿密に行い、交流学習を年間指導計画に組み込むなど、継続的に実施できるようにするとともに、地域に愛され、信頼され、期待に応えられる、開かれた学校づくりに努めたい。
 また、県内唯一の水産教育を担っている水産高校として、日本の水産業、海運業、海洋産業等に寄与する人材の育成を一層図っていきたい。