平成17年度・18年度みんなの専門高校プロジェクト推進事業報告書の概要

都道府県名 岐阜県
推進地域名 恵那市・中津川市

○研究テーマ及び研究において特に重点を置いたところ

(1)研究テーマ

「バイオマス・ニッポン 栗の殻の有効利用」

(2)研究の重点

 推進校が位置する恵那市及び隣接する中津川市は、和菓子処として有名であり、両市には多くの和菓子屋が存在する。それぞれの店において特徴ある和菓子が製造されているが、秋はどの店でも「栗きんとん」など栗を使った和菓子が作られ、全国的にも有名である。栗を使った和菓子を作るためには、栗を丸ごと蒸して中身だけを利用する。そのため、製造後には大量の栗殻が廃棄物となり、どの和菓子屋でもその処分に困っている。そこで、栗殻の有効的な利用法について研究を進め、地域産業のニーズに貢献できる成果を目指した。

○活動の成果

 連携先の和菓子屋「恵那寿や」では、9月から11月までの3ヶ月間に50トンの栗殻が廃棄される。そこで大量に廃棄される栗殻を、雑草防除に利用することを考えた。
 栗殻を機械で細かくチップ化し、畑の通路に撒いてみた。すると、殻に残っていた実が栄養源となり、カビが一面に発生した。そこで、殻を乾燥させた後に、チップ化し畑の通路に撒いた結果、カビの発生を防ぐと共に、雑草の発生を抑制することができた。


機械で粉砕

カビが発生

ハウス内で乾燥

雑草防除効果の確認

 次に栗殻の分解されにくいという特徴を生かし、土に混ぜ、排水性や通気性を良くする土壌改良材として、植物にどの様な影響を与えるのか調査してみることにした。プランターに割合を変えて栗殻を入れ、各種の野菜を栽培し調査した。その結果、発芽や生育・根の伸長に影響を与えることが分かった。
 この研究で、地域の課題解決に向けて大きく前進することができた。また、多くの新聞社、ラジオ、テレビでこの取組が紹介され、食品関連会社等が今後取り組まなければならない廃棄物の処理やその有効利用について、地域社会に提案できたと考える。

○今後の課題及びこれからの取組

○その他

 2年間の研究を通じて、生徒が授業だけでなく、放課後などの時間を活用して積極的に活動するようになった。教師からの指示待ち生徒が多い中で、生徒が自ら進んで計画、準備、実験を行い、課題解決に向けて責任をもって研究する姿勢を身に付けることができた。また、一生懸命に取り組んでいる3年生の先輩の姿を見て、2年生の生徒が本研究を継続してやりたいと申し出てくるなど、この地域貢献を目指した研究が、生徒に農業高校で学んでいることに自信と誇りをもたせ、学校の活性化に繋がった。