都道府県名 北海道
推進地域名 美幌町
「工芸作物−亜麻−の栽培を通した地域社会との交流活動の推進」
本校は地域住民が楽しみながら栽培することが可能であり、町づくりに結びつけられる花として、かつて美幌町で盛んに栽培されてきた亜麻に着目した。
北海道において、亜麻は繊維を採取する目的で明治初期に導入され、美幌町に広く栽培され、3つの製糸工場があった。戦後の化学繊維の普及とともに亜麻の栽培は衰退していったが、その後も地元有志団体である「亜麻のふるさと研究会」が、亜麻繊維を用いた織物を美幌町の特産品として製造を続けてきた。しかし、その有志団体が高齢化を理由に解散したことから、美幌町から姿を消そうとしていた。
そこで、本校が中心となり、亜麻の歴史と伝統、技術を継承し、再び美幌の花として蘇させることを目的に亜麻の栽培、利用の研究、及び普及活動を行うこととした。取組の重点は、校内での実践研究にとどまらず小学校との交流学習や地域住民対象の園芸教室の実施などにより、地域社会(外部団体)との交流を重視した活動とした。
2年間の活動により、栽培分野では目的に応じた栽培方法の確立、利用分野では亜麻種子を用いた加工品の開発、フラワーアレンジメントの花材として有用な可能性を確認をすることができた。また、交流・普及分野では街中の花壇や圃場で亜麻を栽培するだけでなく、研究成果発表会の実施や地元報道機関の利用により、本校での取り組みを多くの方々に理解していただくことができた。
これらの活動を通じて、地域から「亜麻を育てたい」という声や旭川市や陸別町などの遠隔地からも問い合わせがあり「美幌亜麻」のイメージが再び定着しつつあることが実感された。さらに、街中の花壇や圃場で亜麻を栽培するだけでなく、地域の小学校、又は地域団体との交流を行うことにより、相手のことを考える思いやりの心、異年齢集団とのコミュニケーション能力の向上といった成果がみられた。
こうした交流会は生徒の豊かな心を育てるという観点から、教育的な効果が大きいと考える。次年度以降もさまざまな団体と連携・協力し、亜麻を通じたネットワークづくりを広め、普及・啓発に努めていく予定である。
特記事項無し