平成21年度公立学校教員採用選考試験の実施方法について

文部科学省では、各都道府県・指定都市教育委員会が実施した公立学校教員採用選考試験(以下、「採用選考」という。)の実施方法について、例年調査を行っています。このたび、平成21年度採用選考の実施方法をとりまとめましたのでお知らせします。

1.調査の概要
 本調査は、全64都道府県・指定都市教育委員会(以下「県市」という。)において平成20年度に実施された平成21年度採用選考を対象として、実技、面接、筆記等の選考試験内容、特定の資格や経歴等を持つ者を対象とした試験免除や特別選考、採用選考の内容・基準の公表や不正防止のための取組等採用選考の実施方法について調べたものです。

2.結果のポイント
○採用選考の透明性を高めるための取組
 試験問題の公表、解答の公表はほぼ全ての県市で行われています。
 採用選考基準の公表は55県市で行われており、前年度に比較して35県市増加しています。
○不正防止のための取組
 各業務段階ごとのチェック体制に関する取組、業務における受験者の匿名化、公正な面接試験の確保のための取組はほぼ全ての県市で行われています。
 答案や面接の判定等の元データと選考後の確定データとの突合チェックは57県市で行われています。
○特定の資格や経歴等を持つ者を対象とした一部試験免除や特別選考
 教職経験者や社会人(民間企業等での勤務経験を有する者)など、特定の資格や経歴等を持つ者を対象とした一部試験免除が50県市(前年度45県市)、特別選考が50県市(前年度46県市)で、それぞれ実施されています。
 このうち、社会人を対象とした特別選考は34県市(前年度27県市)で行われています。
○障害のある者を対象とした選考
 障害のある者を対象とした特別選考は59県市で実施されています。
 ほぼ全ての県市において、筆記試験又は筆記試験以外の試験で障害のある者への配慮が行われています。

結果の詳細は以下の資料及び図表をご覧ください。

(補足)本年9月公表の「教員採用の在り方等に関する点検結果」との関係について

  • 本調査のうち、採用選考の透明性を高めるための取組、不正防止のための取組に関する調査項目の多くは、平成20年9月9日に公表した「教員採用の在り方等に関する点検結果について(平成20年8月29日現在の状況)」(※国立国会図書館ホームページへリンク)別ウィンドウで開きますの項目と重複しています。
  • ただし、上記「教員採用の在り方等に関する点検結果について(平成20年8月29日現在の状況)」は、平成22年度採用選考で実施する内容も含めて、平成20年8月29日時点での方針について調査したものであるのに対して、本調査は平成20年度に実施した平成21年度採用選考の実績を対象としています。
  • このため、9月9日公表の資料と本資料の当該部分の数値は一致せず、一部、9月9日公表の資料に比較して、実施県市数が少ない項目があります。

平成21年度 公立学校教員採用選考試験の実施方法について

○ 調査の趣旨

 文部科学省では、教員採用の改善に資するため、毎年度、各都道府県(47)・指定都市 (17)教育委員会(  以下「県市」という。)が実施する公立学校教員採用選考試験の実施方法について取りまとめ、その概要を公表している。本調査は、平成20年度に全64県市において実施された平成21年度採用選考試験の実施方法について取りまとめたものである。
※ 教員採用選考試験を共同で実施している道府県と指定都市についてはそれぞれ1県市として集計している。
※ 石川県は1次・2次と試験を区分していないが、1次試験に含めて集計している。 

1 試験実施区分・実施時期等 (第1表、図1)

 教員採用のスケジュールについては、以下の時期で実施されている。
(1)1次試験 7月:64県市
(2)2次試験 7月: 1県市、 8月:48県市、9月:14県市
(3)合格発表 9月:17県市  、10月:47県市
(4)採用内定 9月: 5県市、10月:41県市、11月:1県市、12月: 2県市、1月以降:15県市

2 採用選考試験内容

 教員採用においては、教育者としての使命感、豊かな人間性や社会性、様々な体験に裏付けられた確かな指導力などを備えた、優れた人材を確保することが重要な課題となっており、人物評価を重視した選考に一層移行させることが求められている。
 各県市においては、受験者の資質能力、適性を多面的に評価するため、教養・専門などの筆記試験のほか、面接、実技、作文・論文、模擬授業等の多様な方法を組み合わせて採用選考が実施されている。以下、平成21年度採用選考における実施方法等の状況について概観する。
※ 以下、( )内は前年度の数値である。

(1)実技試験 (第2表-1、第3表、第4表)

 小学校の受験者に対しては、60県市(60)で何らかの実技試験が実施されている。    概要は次のとおりである。
 水泳 56県市(57)
  水泳以外の体育 51県市(52)
  音楽 51県市(51)
  図画工作 13県市(16)
 英会話等 11県市(9)

 中学校及び高等学校の受験者に対しては、英語、保健体育、音楽、美術等を中心に、中学校では全64県市(64)、高等学校では56県市(55)で何らかの実技試験が実施されている。概要は次のとおりである。
 英語 中学校 64県市(62)、高等学校 53県市(55)
  音楽 中学校 62県市(60)、高等学校 41県市(36)
 美術 中学校 58県市(58)、高等学校 39県市(30)

(2) 面接試験(第2表-2、第5表)

 面接試験は全64県市で実施されている。概要は次のとおりである。

  • 個人面接を実施 64県市(64)、集団面接を実施 55県市(58)
  • 面接担当者は主に教育委員会事務局職員や現職の校長、教頭等である。57県市が、これに加えて民間企業の人事担当者、臨床心理士、保護者等の民間人等を起用している。
  • 面接内容は、個人面接では自己PR、模擬授業、場面指導、教員としての適格性を判断する質問等、集団面接では集団討論を行う県市が多い。 

(3) 作文・小論文、模擬授業・場面指導・指導案作成、適性検査(第2表-2、第2表-3、第6表)

  • 作文・小論文試験は54県市(56)、適性検査は50県市(52)で実施されている。
  • 各教科の授業や学級活動などを課題とする模擬授業は52県市(52)、指導案作成は 22県市(18)、学校生活での様々な場面を想定した場面指導は36県市(30)で実施されている。 

3 試験免除・特別選考 (第7表、第8表、図2)

 個性豊かで多様な人材を確保するため、教職経験や民間企業等での勤務経験を有する者、英語に係る資格を持つ者、スポーツ・芸術での技能や実績を持つ者等を対象とした選考は、以下のとおり行われている。
・試験の一部免除 50県市
・特別選考 50県市 

4 障害のある者への配慮

 障害のある者を対象とした特別選考を59県市(51)で実施している。また、ほぼ全ての県市において、筆記試験又は筆記試験以外の試験で障害のある者への配慮が行われている。 

5 受験年齢制限

 受験年齢制限は次のとおりとなっている。                                     

  • 制限なし 12県市(12)                                 
  • 51歳未満~41歳以上 15県市(12)                                  
  • 41歳未満~36歳以上 32県市(31)                                  
  • 36歳未満~30歳以上 5県市( 9)                                  
  • 30歳未満 0県市( 0)

(注)年齢は平成20年度末時点

6 情報公開・不正防止のための措置(第2表-4、第9表)

 採用選考の透明性を高めるための取組、不正を防止するための取組については、以下のとおり行われている。

  • 試験問題の公表 64県市(64)
  • 解答の公表 63県市(53)
  • 配点の公表 50県市
  • 採用選考基準の公表 55県市(20)
  • 成績の本人への開示 64県市(64)
  • 各業務段階ごとのチェック体制に関する取組 64県市
  • 答案や面接の判定等の元データと選考後の確定データとの突合チェック 57県市
  • 業務における受験者の匿名化 63県市
  • 公正な面接試験の確保のための取組 64県市

図表

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