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平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(通知)

元初児生第18号

令和元年10月17日

  各都道府県教育委員会指導事務主管部課長

  各指定都市教育委員会指導事務主管部課長

  各都道府県私立学校主管部課長

  附属学校を置く各国立大学法人担当部課長  殿

  附属学校を置く各公立大学法人担当部課長

  小中高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の担当部課長                 

文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 大濱 健志

(印影印刷)

平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(通知)    

 平素より、文部科学行政に対する御理解・御協力を賜り誠にありがとうございます。

 標記については、毎年度御協力いただいているところですが、この度、暴力行為、いじめ、出席停止、長期欠席(不登校)、高等学校における中途退学、自殺及び教育相談の各状況に係る平成30年度の調査についての結果を取りまとめましたので、別添のとおり送付いたします。

 今回の調査結果によれば、平成30年度の国立、公立、私立の小・中・高・特別支援学校におけるいじめの認知件数は、約54万4千件、小・中・高等学校における暴力行為の発生件数が約7万3千件、小・中学校の不登校児童生徒数が約16万5千人となるなど、生徒指導上の大きな課題があると認識しています。

 都道府県・指定都市教育委員会にあっては、所管の学校及び域内の市区町村等教育委員会等に対し、都道府県にあっては所轄の学校法人及び私立学校に対し、附属学校を置く国立大学法人及び附属学校を置く公立大学法人にあっては附属学校に対し、構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体にあっては認可した学校に対し、本調査結果を連絡するとともに、児童生徒の問題行動等の未然防止、早期発見・早期対応等に資するため、下記事項への対応の徹底を含め、生徒指導の一層の充実が図られるよう御対応をお願いします。また、各教育委員会にあっては、当該地方公共団体の長及び関係部局に対し、本調査結果を連絡するとともに、必要な連携を図っていただくよう併せてお願いします。


1.暴力行為への対応について

 本調査結果によると、小学校、中学校、高等学校における暴力行為の発生件数は、約7万3千件である。特に、小学校においては、在籍児童数が減少しているにもかかわらず増加が続いており、憂慮すべき状況にある。また、小学校における暴力行為の発生状況では、生徒間暴力の増加が著しい。増加の背景については様々な要因が考えられるものの、犯罪にならない初期段階のものでも暴力行為と捉え、指導している結果という点では肯定的に評価している。

 一方、児童生徒1千人当たりの暴力行為発生件数の都道府県間における差は、最大で22.7倍と大きい。暴力行為の定義の当てはめの判断に差異が生じていることもその要因の一つと考えられるため、再度、本調査における暴力行為の定義や形態ごとの例をよく確認すること。

また、教育委員会等及び学校にあっては、「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について」(平成19年2月5日付け18文科初第1019号文部科学省初等中等教育局長通知)、「生徒指導提要」(平成22年3月文部科学省)及び「暴力行為のない学校づくりについて」(平成23年7月暴力行為のない学校づくり研究会)の考え方に基づき、教職員が一体となって、未然防止と早期発見・早期対応の取組や家庭・地域社会等の理解を得て地域ぐるみでの取組を推進するほか、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、関係機関との連携による教育相談体制を充実すること。

 なお、暴力行為等の問題行動を繰り返す児童生徒に対しては、出席停止制度の措置をとることをためらわずに検討し、犯罪行為の可能性がある場合には、学校だけで抱え込むことなく、直ちに警察に通報するなど、毅然とした対応をとること。


2.いじめの問題への対応について

(1)学校いじめ防止基本方針、学校におけるいじめの防止等の対策のための組織について

 いじめ防止対策推進法の施行から6年が経過し、平成29年3月に「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成25年10月11日文部科学大臣決定)を改定するとともに、新たに「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を策定した。教育委員会等にあっては、これらに沿った対応がなされるよう、学校の対応状況を適切に把握するとともに、実効性のあるものとなるよう指導助言を行うこと。  

 各学校において作成している学校いじめ防止基本方針については、当該学校の実情に即して適切に機能しているかどうかを点検し、必要に応じて見直すこと。さらに、策定した学校いじめ防止基本方針については、保護者や地域住民がその内容を容易に確認できるよう各学校のホームページへ掲載する等の措置を講ずること。

 また、学校におけるいじめの問題に対する日常の取組に関しては、職員会議等を通じた教職員間での共通理解を図った学校が9割以上を占めるが、校内研修の実施は未だ80.9%にとどまっていることから、各学校がより積極的にいじめ問題への取組を実施するよう、教育委員会をはじめとする学校の設置者、私立学校主管部局等は、学校いじめ防止基本方針や年間実施計画に位置付けて実施するよう指導助言すること。併せて、校内研修等を実施している学校においても、その実施状況を把握するとともに、実施内容等の一層の充実が図られるよう、必要な指導助言を行うこと。

(2)地方いじめ防止基本方針の策定について    

 いじめ防止対策推進法第12条においては、地方いじめ防止基本方針を定めるよう努めるものとされており、都道府県における策定状況は100%となっている一方で、市町村における策定状況は93.7%となっている。同方針の策定は、努力義務ではあるものの、学校がいじめ防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するためには、全ての自治体において、地方いじめ防止基本方針が策定されることが望ましいことから、未策定の市町村は策定を検討すること。また、都道府県教育委員会においては、地方いじめ防止基本方針の策定を検討している区域内の市町村を支援すること。

(3)教育委員会の附属機関の設置状況について

 重大事態の調査主体となり得る組織として、条例に基づきいじめ防止対策推進法第14条第3項に定める教育委員会の附属機関を設置している都道府県は83.0%、市町村では67.0%にとどまっているが、重大事態が発生した場合に、公平性・中立性に十分配慮した組織が調査主体となって(いわゆる第三者委員会の形式で)速やかに調査を開始することを可能にするためには、第三者委員会となり得る教育委員会の附属機関をあらかじめ条例により設置しておくことが望ましい(同法第14条第3項では教育委員会の附属機関を設置することができる旨が規定されているにとどまるので、教育委員会の附属機関の設置に当たっては、地方自治法第138条の4及び第202条の3の規定に基づき、設置の根拠となる条例を制定することが必要である。)。

 各都道府県教育委員会にあっては、域内の市区町村教育委員会における、重大事態の調査主体となり得る附属機関の設置に向けた支援を行うとともに、自ら未設置の場合は、速やかに設置を検討すること。

 また、地方公共団体の長が行う再調査のための組織についても、未設置の場合は設置に向けた検討を行うこと。

(4)都道府県間のいじめ認知件数の差について

 児童生徒1千人当たりのいじめ認知件数の都道府県間における差は、約10倍と依然として大きい。いじめを漏れなく認知するためには、全ての教職員が改めていじめ防止対策推進法におけるいじめの定義を確認し、積極的な認知を行うとともに、学校を挙げて早期発見に向けた取組を行うことが重要である。文部科学省としては、いじめの認知件数が多い学校について、「いじめを初期段階のものも含めて積極的に認知し、その解消に向けた取組のスタートラインに立っている」と極めて肯定的に評価している。

 平成30年度中にいじめを認知していない学校(6,765校)にあっては、真にいじめを根絶できている場合も存在するであろうが、解消に向けた対策が何らとられることなく放置されたいじめが多数潜在する場合もあると懸念している。特に、それらの学校においては、いじめの認知件数が零であったということを児童生徒や保護者向けに公表し、検証を仰ぐことで、認知漏れがないかを確認すること。設置者は、その確認状況を適切に把握するとともに、都道府県教育委員会にあっては、教育事務所所管の地域間、市町村間及び設置する学校間、市町村にあっては、設置する学校間における認知件数の格差や同じ学校での経年比較についても適切に分析するとともに、必要に応じ、指導助言を行うこと。

 なお、「いじめの正確な認知に向けた教職員間での共通理解の形成及び新年度に向けた取組について」(平成28年3月18日付け27初児生第42号文部科学省初等中等教育局児童生徒課長通知)、国立教育政策研究所作成の生徒指導支援資料6「いじめに取り組む」(http://www.nier.go.jp/shido/centerhp/2806sien/index.htm)、生徒指導リーフ「学校の「組織」で行ういじめ「認知」の手順Leaf.19」(http://www.nier.go.jp/shido/leaf/leaf19.pdf)、「アンケート・教育相談をいじめ「発見」につなげるLeaf.20」(http://www.nier.go.jp/shido/leaf/leaf20.pdf)、「いじめに関する「認識の共有」と「行動の一元化」Leaf.21」(http://www.nier.go.jp/shido/leaf/leaf21.pdf)をいじめの正確な認知のために積極的に活用し、教育委員会等及び学校の取組の充実に努めること。

 また、平成30年度におけるいじめの1千人当たりの認知件数が最も多かった宮崎県では、積極的な認知を推進するための取組として、各学校において、いじめ防止対策推進法第22条の規定に基づく学校いじめ対策組織を活用し、同組織に集約された情報を全職員で共有するなど組織的な対応を行っている。また、同県の教育委員会において、県内の全公立学校の児童生徒を対象にいじめに関するアンケートを実施するほか、各市町村教育委員会や県立学校に対し各学校のいじめの認知件数を毎月確認することを依頼するとともに、認知件数が零の学校に対しては積極的な認知が図られているか確認することを併せて依頼している。

 さらに、いじめの1千人当たりの認知件数が、宮崎県に次いで多かった大分県では、県内の全公立学校において、教育相談コーディネーターを担う教員を指名し、児童生徒や教員とスクールカウンセラーをつなぐ役割を担わせるとともに、同県の教育委員会から教育相談コーディネーターを中心とした校内組織を通じて、各学校に対しいじめの積極的な認知を促すなど、いじめの早期発見に努めている。また、スクールロイヤーを活用して法的側面からのいじめ予防教育を実施するなど、教員や児童生徒のいじめに関する理解を深める取組を行っている。

 このような取組も参考としつつ、いじめの正確かつ積極的な認知に努め、早期対応につなげること。

(5)ネットいじめについて

 インターネット上のいじめについては、認知件数が増加している。SNS等を用いたいじめについては、外部から見えにくい・匿名性が高いなどの性質を有するため、そうした態様のいじめを学校が認知しきれていない可能性がある。しかし、そうした態様のいじめについても、学校として組織的に対処する必要があることは言うまでもなく、日頃から児童生徒の見守りや信頼関係などの構築等に努め、いじめを訴えやすい体制を整えることや、学校における情報モラル教育を推進していくことが重要である。

 (6)いじめの重大事態の対応について

 平成30年度のいじめの重大事態の発生件数は、第1号の重大事態及び第2号の重大事態ともに増加した。いじめ防止対策推進法の定義に基づくいじめの認知(早期発見)と組織的対応を徹底することが、重大事態の発生防止に不可欠であることから、今後も発生件数の推移等を注視していく必要がある。

 また、重大事態は、いじめ問題に適切に対応することで、限りなく発生件数を零に近づけるべきであるが、同法に基づき、取り上げるべきものは適切に取り上げなければならない。「いじめの防止等のための基本的な方針」に「児童生徒や保護者から、いじめにより重大な被害が生じたという申立てがあったときは、その時点で学校が「いじめの結果ではない」あるいは「重大事態とはいえない」と考えたとしても、重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たる」とあるので、この点は特に留意されたい。このことは、学校の理解が浸透しにくく、失念しやすい部分であるため、定期的に教育委員会をはじめとする学校の設置者、私立学校主管部局等が、この周知徹底を図るとともに、学校や被害者等から相談を受けた場合は、同法に基づき学校に調査を実施するよう指導する必要がある。

 なお、いじめの重大事態の調査結果の分析は、再発防止に極めて有効であり、個人情報等に配慮しながら可能な限り当該学校を越えて広く共有し、各々のいじめ防止基本方針の改善等に積極的に活用することが重要である。

(7)その他の留意事項    

 上記事項に加え、いじめの防止等のための対策については、いじめの早期発見や対処と併せて、未然防止に積極的に取り組むことが重要である。いじめの防止等に係る留意事項については「いじめの防止等のための基本的な方針」を参照するとともに、いじめ問題への対応の充実等を図る観点から、従来の道徳の時間が「特別の教科」に新たに位置付けられたことを踏まえ、引き続き、「特別の教科 道徳」を要とした全ての教育活動を通じた道徳教育の充実を図ること。    

 また、いじめの未然防止の取組が着実に成果を上げるためには、学校の教職員が児童生徒と向き合うための時間を確保することが必要である。このため、教育委員会及び所管の学校にあっては、「学校における働き方改革に関する取組の徹底について(通知)」(平成31年3月18日付け30文科初第1497号文部科学事務次官通知)に基づき、引き続き、必要な取組を徹底すること。


3.出席停止制度の運用について   

 今回の調査結果によると、暴力行為の発生件数及びいじめの認知件数は増加しているものの、小学校及び中学校における出席停止の件数は7件であり、この2年間は1桁の数値となっている。   

 出席停止は、懲戒行為ではなく、学校の秩序を維持し、他の児童生徒の教育を受ける権利を保障するために採られる 措置であり、市町村教育委員会及び学校は、制度の趣旨を十分理解し、日頃から規範意識を育む指導やきめ細かな教育相談等を行うことが必要である。しかしながら、学校がこのような指導を継続してもなお改善が見られず、いじめや暴力行為など問題行動を繰り返す児童生徒に対し、正常な教育環境を回復するため、必要と認められる場合には、出席停止制度の措置を積極的に検討すべきであり、いじめ防止対策推進法第26条においても、いじめを受けた児童生徒その他の児童生徒が安心して教育を受けられるようにするため、出席停止を命ずる等の必要な措置を速やかに講ずることが規定されている。   

 市町村教育委員会は、「出席停止制度の運用の在り方について」(平成13年11月6日付け13文科初第725号文部科学省初等中等教育局長通知)及び「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について」(平成19年2月5日付け18文科初第1019号文部科学省初等中等教育局長通知)を踏まえ、出席停止の手続に関し必要な事項を教育委員会規則で定め、運用に当たっては適正な手続を踏むこと。   

 また、都道府県教育委員会は、状況に応じ、指導主事やスクールカウンセラーの派遣等の人的支援や警察や児童相談所等の関係機関との連携を促進するなど、市町村教育委員会及び学校に対し、必要な支援を行うこと。


4.不登校児童生徒への支援の充実について 

 今回の調査結果によると、小・中学校の在籍児童生徒数が減少しているにもかかわらず、不登校児童生徒数は6年連続で増加し、約6割の不登校児童生徒が90日以上欠席しているなど、憂慮すべき状況にある。各学校及び教育委員会等にあっては、効果的な不登校支援につなげるためにも、個々の不登校児童生徒の不登校のきっかけや継続理由についての的確な把握に努めるとともに、不登校が増加している要因についても分析に努めること。

 また、こうした状況の下、平成28年12月には、不登校児童生徒への支援について初めて体系的に定めた「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が成立、平成29年2月より施行され、同年3月、同法に基づく基本指針を策定した。さらに、平成30年12月から同法附則に基づき、有識者会議において法の施行状況についての検討を行い、令和元年6月、その議論をとりまとめた。

 学校や教育委員会等は、不登校児童生徒への支援に当たり、同法及び基本指針等に基づき、魅力あるより良い学校づくりや児童生徒の学習状況等に応じた指導・配慮を実施すること。また、児童生徒の社会的自立を目指して、組織的・計画的な支援や民間の団体との連携による支援を実施するほか、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、関係機関との連携による教育相談体制を充実するなど、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援を推進すること。なお、不登校は、取り巻く環境によっては、どの児童生徒にも起こり得るものとして捉え、不登校というだけで問題行動であると受け取られないよう配慮し、支援に当たっては、不登校児童生徒の意思を十分に尊重しつつ行うこと。


5.高等学校における中途退学への対応の充実について   

 今回の調査結果によると、近年減少傾向にあった中途退学者数が増加しており、憂慮すべき状況にある。   

 学校や教育委員会等は、高等学校における中途退学への対応に当たり、「高等学校等、地域若者サポートステーション及びハローワーク等の関係機関間の連携強化による中途退学者等への切れ目ない支援 の実施について」(平成28年6月20日付け28文科初第464号、職発0620第9号、能発0620第4号文部科学省初等中等教育局長・文部科学省生涯学習政策局長・厚生労働省職業安定局長・厚生労働省職業能力開発局長連名通知)、「高等学校等における中途退学への対応の充 実に係る協力について」(平成29年1月16日付け28文科生第707号文部科学省生涯学習政策局長・文部科学省初等中等教育局長・文部科学省高等教育局長連名通知)等に基づき、学校教育を一層充実するとともに学校における指導体制を充実すること。


6.自殺について

 今回の調査結果によると、児童生徒が自殺に及ぶ事案が後を絶たず、憂慮すべき状況にある。

 18歳以下の自殺者が、8月下旬から9月上旬等の学校の長期休業明けにかけて急増する傾向が平成27年版自殺対策白書(内閣府)で明らかとなった。また、周知のとおり「自殺対策基本法の一部を改正する法律」が平成28年4月1日より施行され、心の健康の保持に係る教育・啓発の推進等が規定されるとともに、平成29年7月25日、「自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~」(以下「大綱」という。)が閣議決定された。

 児童生徒の自殺に関しては、「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」を開催し、平成21年3月に「教師が知っておきたい子どもの自殺予防」、平成22年3月に「子どもの自殺が起きたときの緊急対応の手引き」を作成・公表するとともに、平成26年7月には「子供に伝えたい自殺予防」、「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針(改訂)」を作成・公表している。また、平成30年1月には「児童生徒の自殺予防に向けた困難な事態、強い心理的負担を受けた場合等における対処の仕方を身に付ける等のための教育の推進について」(平成30年1月23日付け29初児生第38号、社援総発0123第1号文部科学省初等中等教育局児童生徒課長・厚生労働省大臣官房参事官(自殺対策担当)連名通知)により、SOSの出し方に関する教育を少なくとも年1回実施するなど積極的に推進することを依頼するとともに、同年8月には「児童生徒の自殺予防に向けた困難な事態、強い心理的負担を受けた場合等における対処の仕方を身に付ける等のための教育の教材例について」(平成30年8月31日付け事務連絡)により、SOSの出し方に関する教育の教材例を示している。なお、SOSの出し方に関する教育を実施するに当たっては、学校、保護者、地域の関係機関等の関係者間における合意形成を図るとともに、教材については、各学校や地域の実情を踏まえつつ、児童生徒の発達段階に応じた内容とすることが必要であることに留意されたい。大綱に加え、これらの資料、通知及び「児童生徒の自殺予防に係る取組について」(平成30年6月8日付け30初児生第5号文部科学省初等中等教育局児童生徒課長通知)を踏まえて、児童生徒の自殺予防の取組を充実させるため、教育委員会をはじめとする学校の設置者、私立学校主管部局等が、その実施状況を的確に把握するとともに、自殺予防教育や教職員に対する普及啓発等を適切に実施するよう、必要に応じ、指導助言を行うこと。

 また、今回の調査結果によれば、児童生徒の自殺者数は332人であったが、厚生労働省及び警察庁の調査結果によれば、平成30年度の自殺者数は390人であり、58人の差が生じていた。 これは、警察が、遺書の有無や現場の状況、検視等により自殺と判断した事案を集計しているのに対し、学校が、御遺族からの報告等により自殺と確認できた事案を集計していることによるものと認識しているが、児童生徒の自殺の実態を可能な限り正確に把握することは重要であることから、引き続き、警察等の関係機関と連携し、正確な実態を把握するよう努めること。


7.教育相談について

 今回の調査結果によると、いじめられた児童生徒がスクールカウンセラー等に相談した件数が5年連続で増加、不登校児童生徒がスクールカウンセラー等に相談した件数が6年連続で増加するなど、学校における専門スタッフの活用の重要性が増している。一方で、スクールカウンセラーについては、約20%の小学校、約4%の中学校に配置実績がなく、スクールソーシャルワーカーについては、約25%の中学校区で活動実績がないなど、十分な配置状況にあるとは言えない。

 こうした状況の下、教育委員会等にあっては、学校教育法施行規則が平成29年3月に改正され、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの名称及び職務等が明らかにされたことなども踏まえ、引き続き、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置拡充に努めるとともに、「児童生徒の教育相談の充実について」(平成29年2月3日付け28文科初第1423号初等中等教育局長通知)及び「児童生徒の教育相談の充実について ~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~」(平成29年1月教育相談等に関する調査研究協力者会議)を踏まえ、引き続き、未然防止、早期発見及び支援・対応等への体制構築、学校内の関係者がチームとして取り組み、関係機関と連携した体制づくり、教育相談体制の点検・評価、活動方針等に関する指針の策定など、限られた人員の中でもより効果的な活用の工夫を行い、学校における教育相談体制の充実に努めること。

 加えて、都道府県・指定都市教育委員会等における小学生、中学生及び高校生に関する教育相談件数が約20万件であるなど、学校外における教育相談も重要な役割を果たしている状況を踏まえ、教育委員会にあっては、学校外における教育相談体制についても学校内における教育相談と連携させながら体制の充実に努めるとともに、相談内容の分析など更なる取組の充実にも努めること。


8.生徒指導上の諸課題への組織的な対応及び関係機関との連携強化について

 いじめ、不登校、暴力行為その他生徒指導上の諸課題への対応に当たっては、校長を中心に、学校が組織的に行うことが必要であり、事案に応じて設置者(教育委員会等)への報告及びその指示に基づく対応が求められること。

 その際、児童生徒の問題行動・不登校等の背景には、家庭環境など様々な要因が考えられるところ、事案に応じて、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等を活用するとともに、警察、児童相談所、法務局又は地方法務局、人権擁護委員、福祉・医療等の関係機関との連携を積極的に図ること。

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課