平成30年3月26日 いじめ防止対策の推進に関する調査結果に基づく勧告を踏まえた対応について(通知)

29初児生第42号
平成30年3月26日

 各都道府県教育委員会担当課長
 各指定都市教育委員会担当課長
 各都道府県私立学校主管課長
 附属学校を置く各国立大学法人担当課長
 附属学校を置く各公立大学法人担当課長   殿
 小中高等学校を設置する学校設置会社を
 所轄する構造改革特別区域法第12条
 第1項の認定を受けた各地方公共団体の担当課長


文部科学省初等中等教育局児童生徒課長
坪田知広
 

(印影印刷)


いじめ防止対策の推進に関する調査結果に基づく勧告を踏まえた対応について(通知)


 平素より,文部科学行政に対する御理解・御協力を賜り誠にありがとうございます。
 いじめの防止等のための学校,教育委員会等における的確な対応については,これまでも,各種通知等によりお願いしてきたところです。
 この度,総務省によるいじめ防止対策の推進に関する調査(以下「総務省調査」という。)の結果に基づき,本年3月16日,総務大臣から文部科学大臣に対し,いじめ防止対策の推進について,別添2のとおり勧告がなされました。
 総務省調査の結果を踏まえ,いじめ防止対策を一層推進する上で留意すべき事項を下記のとおり整理しましたので,都道府県教育委員会・指定都市教育委員会にあっては所管の学校及び域内の市区町村教育委員会等に対して,都道府県にあっては所轄の学校法人及び私立学校に対して,附属学校を置く国立大学法人及び公立大学法人にあっては附属学校に対して,構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体にあっては認可した学校に対して,周知徹底を図るとともに,御指導をお願いします。

1.いじめの正確な認知の推進
  いじめを正確に認知することは,いじめへの対応の第一歩であり,いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)が機能する大前提である。また,いじめの認知と対応が適切に行われなかったために重大な結果を招いた事案がいまだに発生していることを真摯に受け止める必要がある。
  このような認識の下,いじめの認知に関する考え方については,「平成26年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の一部見直しについて(依頼)」(平成27年8月17日付け27初児生第26号文部科学省初等中等教育局児童生徒課長通知)や「いじめの正確な認知に向けた教職員間での共通理解の形成及び新年度に向けた取組について(通知)」(平成28年3月18日付け27初児生第42号文部科学省初等中等教育局児童生徒課長通知。以下「平成28年通知」という。)等において示してきたところである。
  しかしながら,今般の総務省調査の結果においては,教育委員会及び学校において,いじめの正確な認知に向けた取組が不十分な実態がみられたことや,法のいじめの定義を限定的に解釈していると考えられたり,いじめの認知漏れと考えられたりする実態がみられたとの指摘がされている。
  これを踏まえ,教育委員会や学校等においては,以下の点に留意し,いじめの正確な認知を行うこと。
(1)いじめの認知件数に学校間で大きな差がある場合や,認知件数の少ない学校が多い場合は,その原因を分析し,いじめの認知に関する消極姿勢や認知漏れがないかを十分確認すること。
(2)各学校において,毎年度実施している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の集計過程で,いじめの認知件数が零であった場合は,当該事実を児童生徒や保護者向けに公表し,検証を仰ぐことで,認知漏れがないか確認すること。
(3)平成28年通知の別添資料である,いじめの認知に関する考え方をまとめた教職員向け資料(別添3)の全ての教職員への配布や,職員会議や各学校に設置する「いじめの防止等の対策のための組織」の会合,いじめ問題に関する研修会等において,管理職等が当該資料の内容を説明するなどにより,いじめの正確な認知に関する教職員間での共通理解を図ること。
(4)いじめの認知に当たっては,加害行為の「継続性」「集団性」や「一方的」など被害・加害児童生徒の力関係の差等の要素により,いじめの定義を限定して解釈しないようにすること。また,実際の事案においても,いじめの定義とは別の要素(加害行為の「継続性」「集団性」等)を判断基準とすることにより,いじめとして認知しないことがないようにすること。

2.重大事態の発生報告など法等に基づく措置の徹底(別添4参照)
  法第28条第1項に基づく重大事態の調査等については,「「いじめの防止等のための基本的な方針」の改定及び「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」の策定について(通知)」(平成29年3月16日付け28文科初第1648号文部科学省初等中等教育局長,生涯学習政策局長,高等教育局長通知)において,「重大事態の調査に関するガイドライン」を示し適切な対応を促してきたところである。
  しかしながら,今般の総務省調査の結果においては,重大事態が発生しているにもかかわらず,法に基づく措置が確実に講じられていない実態やいじめの防止等のための基本的な方針(以下「基本方針」という。)等に基づき適切に対応されていない実態がみられるとの指摘がされている。
  重大事態については,法に基づき,1 学校から教育委員会への発生報告(法第30条第1項),2 教育委員会から地方公共団体の長への発生報告(法第30条第1項),3 教育委員会から地方公共団体の長への調査結果の報告(法第30条第2項),4 教育委員会又は学校からいじめを受けた児童生徒及びその保護者への調査結果の情報提供(法第28条第2項)を行うことが義務付けられていることから,これらを確実に講じること。
  また,5 教育委員会から教育委員会会議への発生報告,6 調査報告書の作成,7 教育委員会から教育委員会会議への調査結果の報告等については,法において義務付けられているものではないが,基本方針等に基づき適切な対応をとること。
  なお,国立学校,私立学校及び構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12条第1項に規定する学校設置会社の設置する学校においても,重大事態への対処に当たり,法に基づく措置を確実に講じるとともに,基本方針等に基づき適切な対応をとること。

3.教職員,児童生徒及び保護者に対するいじめ防止対策の周知の徹底
今般の総務省調査の結果を踏まえ,域内の学校及び学校の設置者において,以下の事項について確実に対応が行われるよう指導するとともに,本年5月末時点において全ての学校で取組がなされたか確認すること。なお,確認結果については,必要に応じてフォローアップすることを予定している。
(1)平成28年通知の別添資料である,いじめの認知に関する考え方をまとめた教職員向け資料(別添3)を,全ての教職員に配布するなどにより,いじめの正確な認知に関する教職員間での共通理解を図ること。
(2)入学式・始業式や保護者会等の機会を捉えて,児童生徒及び保護者に対し,「知っていますか「いじめ防止対策推進法」」(別添5),「いじめとは,何か」(別添6)及び「いじめのサイン発見シート」(別添7)を配布するなどにより,法の趣旨・内容やいじめの定義等を確実に周知すること。その際,基本方針に基づき,各学校における学校いじめ防止基本方針についても,併せて説明することが望ましいこと。

(参考)いじめの防止等のための基本的な方針(抜粋)
 策定した学校いじめ防止基本方針については,各学校のホームページへの掲載その他の方法により,保護者や地域住民が学校いじめ防止基本方針の内容を容易に確認できるような措置を講ずるとともに,その内容を,必ず入学時・各年度の開始時に児童生徒,保護者,関係機関等に説明する。

【添付資料】
○別添1 いじめ防止対策の推進に関する調査結果に基づく勧告(概要)
○別添2 いじめ防止対策の推進に関する調査結果に基づく勧告(平成30年3月総務省)
     http://www.soumu.go.jp/main_content/000538674.pdf
○別添3 いじめの認知について(平成28年通知別添資料)
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/03/19/1304156_005_2.pdf
○別添4 重大事態の発生報告など法等に基づく措置に係る規定内容(公立学校の場合)
○別添5 知っていますか「いじめ防止対策推進法」
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/03/19/1304156_003_2.pdf
○別添6 いじめとは,何か
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/03/19/1304156_004_2.pdf
○別添7 いじめのサイン発見シート(平成28年通知別添資料)
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/03/19/1304156_003_2.pdf

 

 

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文部科学省初等中等教育局児童生徒課

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