第3章 第2節 4.地域のネットワークの活用

  虐待、あるいはその疑いの発見は教育の場においてだけではない。虐待は主に家庭内で発生しているのであるから、学校教育の時間や場以外の方が、むしろ虐待の事象を呈しているといえる。「子どもの泣き叫ぶ声が聞こえる」、「家に入れず外に放り出されている」、「夜遅く子どもが一人で外を歩いている」、「この頃、子どもの姿を見受けなくなった」、「学校に行っている時間なのに子どもが一人公園にいる」等、地域住民は、非常に発見しやすい立場にある。
  地域住民に躊躇なく、学校に子どもの異変を知らせてもらうためには、地域の種々の組織への児童虐待防止法の趣旨の啓発ならびに学校への協力を要請する場やルートが求められる。地域と日常かつ積極的な連携を行うことは、子どもを更なる虐待の被害から守るための術であると認識し、積極的な働きかけを行ってほしい。特に、本人の安全を確認しにくい土日や夜間、長期休業中においては、地域の見守りが学校対応の隙間を埋めてくれる。
  学校が地域のネットワークを活用することは、1抱え込みによる状況の悪化防止、2チームワークにより複雑化する問題への対応、3被害の内容に応じた専門的対応、4子どもへの多様なサポートネットワークの形成、5学校関係者のストレスの軽減等から重要となる。
  地域のネットワークの関係機関等との連携にあたっては、1目的の確認(被虐待児の最善の利益の最優先)、2校内体制整備と明確化(窓口、担当者)、3学校の継続的関与4他機関の特徴把握(長所と限界)などが必要である。
  さらに重要なことは、関係機関との関係の全体を把握して系統的な支援を行う調整役を教育委員会が担う必要がある。

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課

-- 登録:平成21年以前 --