「児童虐待の防止等に関する法律」の施行について

文生参352
平12年11月20日

各国公私立大学長 殿
各国公私立高等専門学校長 殿
国立久里浜養護学校長 殿
関係文部省各施設等機関長 殿
各都道府県知事 殿
各都道府県教育委員会 殿

文部省生涯学習局長
文部省初等中等教育局長

 現在我が国においては、児童相談所への虐待に関する相談件数が年々増加の一途をたどっているなど児童虐待に関する問題が深刻化しており、児童虐待の早期発見・早期対応及び児童虐待の被害を受けた児童の適切な保護を行うことは喫緊の課題となっております。
 このため、「児童虐待の防止等に関する法律」(平成12年法律第82号。以下「法」という。別紙1参照。)が平成12年5月24日に公布され、平成12年11月20日から施行されたところです。
 もとより、学校においては、校長のリーダシップの下、全教職員が一致協力し、教職員一人一人が自覚と責任感を持って、日頃から幼児児童生徒の状況の把握に努めるとともに、幼児児童生徒がいつでも相談できる雰囲気を醸成することにより、児童虐待の早期発見に努めていただくことが大切であります。
 また、従前より、児童福祉法第25条に規定する虐待等を発見した者の福祉事務所又は児童相談所への通告義務は、広く国民一般に課された義務であるとともに、特に、職務上、虐待等を受けている児童を発見しやすい立場にある教職員等の学校教育・社会教育関係者についてはその履行が強く要請されているところであります。
 ついては、都道府県教育委員会及び都道府県知事におかれては、児童虐待の早期発見・早期対応と被害を受けた児童の適切な保護が行われるよう下記の事項に留意のうえ、本法の施行に関して、域内の市町村教育委員会、所管又は所轄の学校及び社会教育施設その他の教育機関及び学校法人に十分了知いただくとともに、教職員に対して周知が図られるようご連絡願います。
 なお、本件については、厚生省児童家庭局長より各都道府県知事及び指定都市市長あて通知されており、これを添付(別紙2)しますので参考としてください。

1.法の目的(第1条関係)

児童虐待は、家庭内におけるしつけとは明確に異なり、親権や親の懲戒権によって正当化されるものではなく、児童の心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに、次の世代に引き継がれるおそれもあり、早期に発見し対応することが喫緊の課題となっているところである。
 本法は、こうした状況を踏まえ、本問題の解決の緊急性にかんがみ、児童虐待の防止等に関する施策を促進するため、児童に対する虐待の禁止、児童虐待の防止に関する国及び地方公共団体の責務、児童虐待を受けた児童の保護のための措置等を定めるものであること。

2.国及び地方公共団体の責務等(第4条関係)

 国及び地方公共団体は、児童虐待の早期発見及び児童虐待を受けた児童の迅速かつ適切な保護を行うため、関係機関及び民間団体の連携の強化等に努めることを規定したものであること。
 この関係機関の例として教育関係では、学校(幼稚園を含む)、教育委員会、教育相談センター、社会教育施設などが想定されており、児童相談所、福祉事務所、児童福祉施設、保健所、警察等の関係機関との連携を日頃から十分に行うべきであること。

3.児童虐待の早期発見及び児童虐待に係る通告(第5条及び第6条関係)

(1)学校の教職員その他児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならないことを規定したものであること。(第5条)
(2)児童虐待を受けた児童を発見した者は、速やかに、児童福祉法第25条の規定により福祉事務所又は児童相談所へ通告しなければならないことを規定したものであること。(第6条第1項)

(参考)
児童福祉法(昭和22年法律第164号)
第25条 保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認める児童を発見した者は、これを福祉事務所又は児童相談所に通告しなければならない。但し、罪を犯した満十四歳以上の児童については、この限りでない。この場合においては、これを家庭裁判所に通告しなければならない。

(別紙略)

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課

生涯学習政策局男女共同参画学習課

-- 登録:平成23年09月 --