「いのちに触れ、かかわり、実感する体験活動」
ニワトリがキツネに襲われ死んでしまい、ニワトリの命について考える時間を持ち、初めて全員が同じ場で同じ時間に命と死を体感し、お墓づくりや小屋の掃除、校庭に散らばった羽拾いを行った。また、このことを子どもたちの心に刻むため、「にわとりといのち」という文集を作った。
「学校でニワトリを飼いたい」という子どもからの声をきっかけに、もう一度ニワトリを飼うことについて話し合い、飼うだけでなく、育てることの大切さを気付かせていった。
命の大切さを感じる感性を体験活動の中で育てようと考え、卵の孵化(転卵、水替え、温度管理)に取り組み、ひよこの誕生への感動を飼育の工夫へとつなげた。子どもたちは、初めて「いのちの誕生」に出会い、生まれたひよこを「ピッコロ」と名付け、ピッコロの世話は日直が担当することにした。
また国語の時間に、「放送原稿をつくろう」の単元でピッコロの特番をつくり、全校児童にビデオ番組を見てもらうことになった。
誕生の瞬間に立ち会った子どもたちを、ピッコロは親のように慕い、子どもたちも手作りの餌をやるなどまるで親子のような絆が生まれていた。ところが、寒い朝、孵化器から出してしまったことをきっかけに、ピッコロが急によろめき始めた。子どもたちは自責の念と、どうすることもできない無念の思いの中で、「命の終わり」と向き合い、「たったひとつしかない命」を実感し、命のはかなさを感じた。
ピッコロを孵化器から出したことについて、「まちがい」と気づいていたかを子どもに尋ねると、7、8人の子どもが手を挙げたため、命の大切さにしっかり向き合わせつつ、おかしいことに気づいていてもそれが言えない弱さに気づかせた。また、全員がピッコロへのお別れの手紙を読むなど、ピッコロが子どもたちの心に残してくれたものを確かめ合った。
学校に隣接した畑地を借用し、専門的な技能や知識を持った教員の指導により、農園活動を実施した。野菜の成長を目の当たりにすることにより、成長の喜びを感じさせるとともに、命のつながりを考えさせた。具体的には、事前指導として、高学年にリーダーとしての意識付けをした上、高学年と低学年のペアで1本のキュウリを育てさせた。高学年は農園の土づくりにも取り組み、キュウリ以外にスイカや里芋、サツマイモやインゲンの栽培も行うとともに、スイカの人工受粉も体験した。
キュウリの命を育てていくためには害虫であるウリハ虫の命を奪わなくてはならないことを知った。このことで、とまどいを感じ、悩んだが、そのことを通じて、命の連続性や関連性について考えるようになった。そして、ウリハ虫の命の犠牲の上にキュウリの実りがあることを感じながら、その成長を喜んだ。
栽培活動の中では、受粉の仕組みを知り、自然の神秘の力を体感したり、成長のスピードに驚いたりしながら、夏には立派なキュウリを収穫することができた。
-- 登録:平成21年以前 --