前ページまでで紹介したY校の児童の「生きる力」の変容をみるため、「IKR評定用紙」(簡易版28項目)を用いたアンケート調査を事前と事後に行い、各回の平均値を比較しました。
事前事後で比較すると、児童の「生きる力」は全体で向上しています。これは、統計的に見ても有意な差です(t2.979**(0.01以下))。「生きる力」を構成する「心理的社会的能力」「徳育的能力」「身体的能力」(注)の各3指標についても、全ての指標で向上しており、統計的に見ても有意な差があります。
この結果、長期の宿泊体験活動が子どもたちの「生きる力」の向上に影響を与えたと考えられます。
他の1週間の宿泊体験活動において、各指標につき5項目、計70項目の「IKR評定用紙」を用いて、「1週間前」「初日」「最終日」「1ヶ月後」「2ヶ月後」の計5回にわたり調査を行った結果が下の表です。この長期宿泊体験活動は、小学校6年生全員(45名)が7泊8日、自然の家に宿泊しながら学校に通う、通学型合宿です。夕方から朝にかけては、7日目に設けた児童自ら企画・実施する日に向けて班ごとの話し合いや、夕食作りや洗濯等の生活体験が行われた活動です。
事業終了後に向上した値が、1〜2ヶ月を経過してもほとんど変化していないことがわかります。
しかし、長期の宿泊体験活動を行うことで向上した子どもたちの「生きる力」は、その後も継続していく可能性があります。体を使って行う「本物体験」を行うことで、子どもたちに「生きる力」が一層身に付いていくものと考えられます。
-- 登録:平成21年以前 --